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■ 第三十六話 「誤解の刃」

 男が地面を蹴った。


 速い。


 さっきより明らかに速い。


 剣が横から走る。


 俺は受ける。


 金属音。


 同時に。


 短剣が動く。


 男の横腹を狙う。


「っ!」


 男が体を捻る。


 避けた。


 だがその瞬間。


 俺の剣が迫る。


 男が慌てて受ける。


 火花が散る。


「くそっ!」


 男が距離を取る。


 額に汗が浮いている。


「なんだその戦い方……!」


 竜星が後ろで笑っている。


「言っただろ」


「三刀流だ」


 観客がざわつく。


「見たことねえ」


「短剣が浮いてるぞ」


 男は息を整える。


 俺を見る目が変わった。


「……本物か」


 男が剣を下ろす。


 戦いが止まった。


 周囲がざわつく。


「終わりか?」


「え?」


 男は剣を鞘に戻した。


「もういい」


 俺も剣を下げる。


「理由を聞いてもいいか?」


 男は少し黙る。


 それからため息をついた。


「悪かったな」


 そう言った。


 周囲の冒険者も驚く。


「え?」


「謝った?」


 男が頭をかいた。


「確認したかっただけだ」


「S級って聞いてな」


 俺は黙って聞く。


 男は続けた。


「最近増えてるんだよ」


「貴族のボンボンが」


「金でランク買うやつがな」


 竜星が眉をひそめる。


「買えるのか?」


 男は少し首を振る。


「いや、ランクそのものは買えねえ」


「ギルドもそこまで腐っちゃいない」


 そう言ってから、小さく息を吐いた。


「だがな」


「推薦とか、依頼の回し方には口を出せる」


 青森が目を細める。


「……貴族か?」


 男は苦く笑った。


「この街は王都に近いからな」


「影響力が強い」


 周囲の冒険者も黙って聞いている。


 男は地面を見ながら続けた。


「危険な依頼を避けてランクだけ上がるやつもいれば」


「逆に」


「無理な依頼を押し付けられるやつもいる」


 竜星が腕を組む。


「……なるほどな」


 男の拳がゆっくり握られる。


「俺のパーティーに来たやつは」


「前者だった」


 静かな空気が落ちる。


「貴族の息子だった」


 男の声は低い。


「S級ってことになってた」


 青森が小さく息を吐く。


「それで」


 男は少し黙った。


 そして言う。


「ダンジョンに潜った」


「B級の魔物だった」


「本来なら問題ない」


 男の目が細くなる。


「でもな」


「そいつ」


「最初の一撃で逃げた」


 周囲の冒険者の何人かが顔をしかめる。


「俺たちは前に出てた」


「隊列も崩れた」


 男の声が少し震える。


「結果」


「二人死んだ」


 誰も何も言わない。


 風だけが静かに吹いた。


 男はゆっくり息を吐く。


「だからだ」


 俺を見る。


「若いS級が四人」


「また同じかと思った」


 竜星が肩をすくめる。


「疑う気持ちは分かるな」


 男は少し笑った。


「でも違った」


 俺の短剣を見る。


 チェーンが静かに揺れている。


「あんな戦い方するボンボンはいねえ」


 青森が小さく笑う。


「確かに」


 男は手を差し出した。


「ガルドだ」


「B級冒険者」


 俺はその手を握る。


「龍凱」


 ガルドは頷く。


「いい腕だ」


 それから少し声を落とす。


「……一つ忠告しておく」


 竜星が眉を上げる。


「何だ?」


 ガルドは空を見上げた。


「この国」


「もうすぐ戦争になる」


 青森が言う。


「どこと?」


 ガルドは答える。


「帝国だ」


 その言葉に空気が変わる。


「王国は準備してる」


 ガルドは続ける。


「騎士団だけじゃ足りない」


 竜星が言う。


「つまり」


 ガルドは頷いた。


「冒険者も使う」


 静かな沈黙。


 俺は空を見た。


 青い空。


 だが。


 その下で。


 国同士は、すでに動き始めているのかもしれない。

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