■ 第三十四話 「鉄に映る牙」
武器屋は通りの角にあった。
石造りの店。
入口の横に剣が何本も立てかけられている。
竜星が看板を見る。
「ここでいいんじゃね?」
青森が頷く。
「鍛冶屋っぽいな」
朱はもう扉を開けていた。
店の中は鉄の匂いが強い。
壁には剣。
棚には短剣。
奥には鎧も並んでいる。
カウンターの向こうに大きな男がいた。
腕が太い。
鍛冶屋だろう。
「いらっしゃい」
低い声。
俺たちは店に入る。
竜星が軽く手を上げた。
「ちょっと武器見たい」
「好きに見ろ」
鍛冶屋はそう言って作業に戻った。
青森が短剣を手に取る。
「結構いいのあるな」
竜星は剣を見ている。
「このバランスいいな」
俺はカウンターに近づいた。
籠手。
チェーン。
短剣。
机に置く。
鍛冶屋がちらっと見る。
「……ん?」
視線が止まる。
短剣。
チェーン。
籠手。
「面白い構造だな」
俺は言った。
「調整できるか」
鍛冶屋が短剣を持つ。
チェーンを触る。
籠手を見る。
「できる」
短く答えた。
「何したい」
「チェーンを少し長く」
「あと」
俺は短剣を見る。
「動きやすくしたい」
鍛冶屋は少し考えた。
「投げ武器か」
「違う」
「操作する」
鍛冶屋が眉を動かす。
「操作?」
俺は籠手をはめる。
魔力を流す。
チェーンへ。
短剣へ。
短剣が浮く。
空中で止まる。
鍛冶屋の手が止まった。
「……ほう」
短剣がゆっくり回る。
そして戻る。
鍛冶屋が笑った。
「なるほどな」
「魔力操作か」
俺は頷く。
「三刀流にする」
竜星が横から言う。
「こいつ最近これ始めた」
青森も笑う。
「まだ試作だけどな」
鍛冶屋は短剣をもう一度持つ。
チェーンを引く。
「できる」
「ただし」
俺を見る。
「普通の武器屋じゃ無理だ」
「俺だからできる」
朱が一言。
「いくら」
鍛冶屋が笑った。
「安くはない」
指を三本立てる。
「金貨三枚」
竜星が口笛を吹く。
「高いな」
青森が言う。
「でもS級なら払えるだろ」
鍛冶屋の手が止まる。
「……S級?」
竜星がカードを見せる。
鍛冶屋の目が細くなる。
「ほう」
青森も見せる。
朱。
俺。
四枚。
鍛冶屋は黙る。
それから笑った。
「面白い連中だ」
「四人S級か」
短剣を持ち上げる。
「よし」
「俺が仕上げてやる」
そう言った時だった。
店の扉が開く。
ガンッ。
強い音。
数人の男が入ってくる。
冒険者。
装備はそこそこ。
だが態度が悪い。
先頭の男が言う。
「おい親父」
「注文の剣できてるか」
鍛冶屋がため息をついた。
「まだだ」
男が舌打ちする。
「遅えんだよ」
その時。
男の視線がこっちに向いた。
カード。
ランク。
そして。
「……S級?」
男の仲間が言う。
「おい」
「四人ともじゃねえか」
男が笑った。
「こんな若いS級?」
「嘘くせえな」
空気が少し変わる。
竜星が笑う。
「絡む気か?」
男は肩を回す。
「いや」
ニヤリと笑った。
「ちょっと実力見たいだけだ」
青森がため息をつく。
「面倒だな」
朱はもう動いていた。
「外」
短く言う。
喧嘩になる前提だった。
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