■ 第三十三話 「王の盤に落ちた四つの駒」
門を抜けると、街の音が一気に押し寄せてきた。
人の声。
馬車の車輪。
鍛冶屋の金属音。
焼いた肉の匂いまで混ざっている。
竜星が周囲を見回す。
「おお……」
「でけえ街だな」
青森もきょろきょろしている。
「店多いな」
通りの両側には店が並んでいた。
武器屋。
防具屋。
宿。
食堂。
屋台まである。
朱は無言で街を見ていた。
人の流れ。
建物。
路地。
全部観察している。
その時。
通りすがりの冒険者がこちらを見た。
「……おい」
「見ろ」
小声。
もう一人が振り向く。
「何だよ」
そして。
目が止まる。
「……S級?」
胸元のカード。
ランク表示。
すぐに気づく。
さらにもう一人。
「おいおい」
「四人ともじゃねえか」
竜星が小さく笑う。
「目立ってるな」
青森が肩をすくめる。
「しょうがないだろ」
S級は少ない。
それが四人もいれば目立つ。
しかも若い。
通りを歩く人間の視線が少しずつ増えていく。
だが。
誰も近づいてはこない。
S級というだけで、距離を取る人間も多い。
竜星が言う。
「とりあえず宿探すか」
朱が頷く。
「荷物」
「置く」
青森が前を指す。
「あそこ」
木の看板。
宿のマーク。
四人でそこへ向かう。
扉を開く。
中は酒場になっていた。
昼だが、すでに客がいる。
カウンターの奥に宿主が立っていた。
「いらっしゃい」
竜星が言う。
「四人泊まれるか?」
「空いてるよ」
宿主が頷く。
「部屋は二つでいいか?」
「それでいい」
朱が答える。
宿主が帳簿を出した。
「名前を書いてくれ」
竜星がペンを取る。
名前を書く。
青森。
朱。
俺。
宿主がカードを見る。
そして。
手が止まる。
「……S級?」
竜星が笑う。
「まあな」
宿主は三枚目を見る。
そして四枚目。
しばらく黙る。
それから。
「うちの宿でいいのか?」
少し困った顔だった。
「もっといい宿もあるぞ」
青森が笑う。
「気にすんな」
「寝れればいい」
宿主は少し迷ってから頷いた。
「……わかった」
鍵を二つ出す。
「二階だ」
竜星が受け取る。
「ありがと」
階段を上がる。
部屋に入る。
荷物を置く。
竜星がベッドに倒れた。
「ふー……」
青森が窓を開ける。
「いい街だな」
外の通りが見える。
人の流れ。
店。
かなり活気がある。
俺は短剣を取り出した。
籠手。
チェーン。
短剣。
机の上に置く。
青森がそれを見る。
「武器屋行くか?」
竜星も起き上がる。
「三刀流改造だな」
確かに。
チェーンは少し短い。
操作もしにくい。
調整したい。
朱が扉の方へ歩く。
「行くぞ」
それだけ言う。
竜星が笑う。
「はいはい」
四人で部屋を出る。
階段を降りる。
外へ出る。
通りは相変わらず賑やかだった。
武器屋の看板が見える。
鉄の剣のマーク。
その店へ向かう。
その時。
通りの反対側。
一人の男が立っていた。
黒いコート。
腰に細剣。
門の近くにいた男だ。
腕を組みながら。
こちらを見ている。
「四人のS級……」
小さく呟く。
「面白い」
そして。
ゆっくりと歩き出した。
俺たちの後を追うように。
最後までお読みいただきありがとうございます!
ブクマ&反応&コメント待ってます!
【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれるとまじで喜びます!
ゴホン、失礼。
↓↓ここをポチってくれたら幸せ(笑)↓↓




