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■ 第三十一話 「新たな戦法あるいは増えた死の選択肢」

 昼の休憩。


 隊商は街道脇で止まっていた。


 馬車の影で、俺は荷物を下ろす。


 その時、袋の中に触れた。


 布に包まれたもの。


 取り出す。


 短剣だった。


 あの時、作ってもらったやつだ。


 刃は短いが、よくできている。


 軽い。


 扱いやすい。


 だが。


「……使ってないな」


 戦闘ではいつも剣だけだった。


 短剣を使う余裕がない。


 剣を振るだけで精一杯だからだ。


 短剣を手の中で回す。


 その時。


 籠手に触れた。


 金属の感触。


 そして。


 そこから伸びる鎖。


 短剣と繋がるチェーン。


 その瞬間。


 頭に浮かんだ。


「……これ」


 籠手。


 チェーン。


 短剣。


 もし。


 魔力を流したら。


 籠手から。


 鎖へ。


 鎖から。


 短剣へ。


 魔力を伝わせる。


 そのまま操作できれば。


 手を使わなくても動く。


 三つの刃。


 剣。


 短剣。


 そして自分。


「……できるか?」


 魔力を籠手へ流す。


 だが。


 うまくいかない。


 魔力は流れるが。


 操作できない。


「……やっぱ無理か」


 いや。


 違う。


 これは。


 魔力の扱いが下手なだけだ。


 魔力を動かす技術。


 それが必要だ。


 なら。


 作る。


 創造魔法。


 目を閉じる。


 魔力を集める。


 その瞬間。


 意識が沈む。


 ――とぷん。


 水の中に落ちたような感覚。


 暗い空間。


 静かな場所。


 そして。


 声。


「汝」


 響く声。


「どのような能力を望む?」


 俺は答える。


「魔力を扱う力」


「流す」


「動かす」


「操る」


「自在に」


 静寂。


 そして。


 声が返る。


「……理解した」


 魔力が震える。


 頭の奥に何かが刻まれる。


 意識が戻る。


 目を開ける。


 街道。


 昼の空。


 同じ場所。


 だが。


 体の感覚が変わっていた。


 魔力の流れが見えるような感覚。


 言葉が浮かぶ。


<魔力操作>


 新しいスキル。


 すぐに試す。


 籠手へ魔力を流す。


 そこから。


 チェーンへ。


 鎖を通って。


 短剣へ。


 そして。


「……動け」


 短剣が浮いた。


 チェーンがわずかに揺れる。


 宙に浮く刃。


 成功だ。


 だが。


 次の瞬間。


 思考が一気に動き出す。


 どう戦うか。


 三方向攻撃。


 剣との連携。


 回転軌道。


 防御。


 回避。


 いくつもの案が頭に浮かぶ。


「……っ」


 頭が痛んだ。


 思考が多すぎる。


 処理できない。


 戦いながらこれをやるのは無理だ。


 なら。


 また作る。


 思考の力。


 もう一度。


 創造魔法。


 目を閉じる。


 魔力を集める。


 そして。


 ――とぷん。


 あの空間。


 あの声。


「汝」


「どのような能力を望む?」


 俺は迷わず言う。


「思考」


「同時に考える力」


「戦いながら魔力操作をする」


「それでも余裕がある思考」


 沈黙。


 そして。


「……理解した」


 魔力が震える。


 意識が戻る。


 頭の奥に刻まれる感覚。


 言葉が浮かぶ。


<並列思考>


 思考が分かれる。


 一つは戦闘。


 一つは魔力操作。


 同時に動く。


 痛みはもうない。


 俺は剣を抜く。


 右手に剣。


 そして。


 短剣を浮かせる。


 チェーンを通して魔力を流す。


 短剣が動く。


 右へ。


 左へ。


 回転。


 三つの刃。


 竜星の声がした。


「おい」


 振り向く。


 青森と竜星が立っていた。


 青森が言う。


「それどうなってんだ」


 短剣が宙に浮いている。


 竜星が笑う。


「かっこいいじゃん」


 青森も頷く。


「三刀流だな」


 確かにそうだ。


 剣。


 短剣。


 自分。


 三つの刃。


 その時。


 朱がこちらを見る。


 短剣。


 チェーン。


 籠手。


 全部見て。


 短く言った。


「……戦い方、増えたな」


 俺は短剣を戻す。


「ああ」


 まだ未完成だ。


 だが。


 鍛えれば強くなる。


 三つの刃。


 新しい戦い方だった。


 その時。


「出発するぞ!」


 護衛の声。


 休憩が終わる。


 隊商が動き出した。


 街道の先。


 遠くに城壁が見える。


 次の街はもうすぐだった。

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