■ 第三話 「初ドロップ」
(▭-▭)φカタカタ:頑張ってます。
竜星が若干引いた目でこっちを見ているが……まあ無視だ。
コブリンの死体のそばを見ると、赤黒い小さな石が落ちていた。
「ふむ……」
俺はそれを拾い上げる。
手のひらサイズの、どこか鈍い光を放つ石。
「ラノベとかだとこういうの、売れたり素材になったりするんだよな」
竜星が覗き込んでくる。
「それ何?」
「たぶん魔石」
「たぶん!?」
「まあ一応持っとこう」
ポケットに入れておく。あとで役に立つかもしれない。
……そういえば。
さっきの表示。
確か「ステータス情報が一部開示」みたいなこと言っていたな。
俺は手を前に出した。
「ステータスオープン!」
目の前に光のウィンドウが現れる。
===================
名前:神無月 龍凱
種族:人類♂
レベル:2
HP:100
MP:20
スキル
<剣術Lv.2>
<速読Lv.5>
<算術Lv.7>
<言語理解Lv.2>
<記憶力上昇Lv.4>
<短剣術Lv.1> new!
ユニークスキル
<器用貧乏>・<創造魔法>
===================
「おお……」
思わず声が出る。
義務教育の恐ろしさを知った。それは置いとき、
レベル上がってるし、スキルも増えてる。
しかも――
ユニークスキル。
「これ、かなり強いんじゃないか?」
竜星が横から声をかけてくる。
「おーい」
無視。
「スキルの詳細見てみるか」
「おーい」
さらに無視。
「ステータス見てんのか?」
仕方ないので一言だけ返す。
「ちょっと待て」
俺は戦闘に使えそうなスキルをタップする。
<器用貧乏>
スキルを獲得しやすくなる代わりに、レベルが上がりにくくなる。
器用値に上昇補正。
「……微妙だな」
便利そうだけど、デメリットもある。
次。
<剣術Lv.2>
剣を使用時、扱いに補正。
剣道授業でやったからか?
<短剣術Lv.1>
短剣を使用時、扱いに補正。
「なるほど」
さっきハサミで戦ったからか。
そして――
<創造魔法>
MPを使用しスキルを創り出せる。
ユニークスキルを創る場合は膨大なMPが必要となる。
「……え」
俺は思わず二度見した。
「スキルを創れる?」
これ、普通にヤバくないか?
竜星が怪訝そうに聞く。
「さっきから何ぶつぶつ言ってんだ?」
「いや……」
俺は腕を組む。
「創っておきたい能力、二つあるんだよな」
竜星が眉をひそめる。
「いきなり何言い出した?」
俺は小さく呟く。
「創造魔法」
その瞬間。
意識が――沈んだ。
まるで水の中に落ちたみたいに、世界の音が遠ざかる。
暗闇。
そして。
声が響いた。
『汝』
低く、どこか威厳のある声。
『どのような能力を望む?』
え?
誰?
声が出ない。
口を動かしている感覚はあるのに、言葉にならない。
『どのような能力を望むと聞いている』
いやいやいや。
声出せないんだけど。
聞こえてないのか?
『聞こえているぞ』
え?
あー……なるほど。
ラノベでよくあるやつだ。
心読んでくる、自称:神とかそういう存在。
じゃあ欲しい能力は――
頭の中で考える。
一つは。
<鑑定>
情報を読み取るスキル。
もう一つ。
物を収納できる能力。
<空間魔法>
異空間を作って、物を入れたり持ち運んだりできるやつ。
絶対便利。
声が再び響く。
『汝の不遜な態度はひとまず許そう』
いや怖。
『汝、過大な力を持ったとしても奢らず――』
その瞬間。
意識が一気に引き戻された。
「ぷはっ!」
思わず大きく息を吐く。
体が重い。
めちゃくちゃ倦怠感がある。
「なんだこれ……」
竜星が覗き込んでいた。
「お前どうした?」
「いきなり『創造魔法!』とか言ったと思ったらさ」
「頭下げて、すぐ上げて、なんかブツブツ言って」
「急に息切れしてるし」
……え?
俺は固まる。
体感だと、あの空間に結構いた気がする。
少なくとも一分くらいは。
でも竜星の話だと――
一瞬?
「あ」
なるほど。
これもラノベの定番だ。
精神世界的なやつ。
……うん。
たぶんそうだ。
俺は軽く手を振った。
「あー、大丈夫大丈夫」
「ほんと?」
「うん」
そして一言。
「大丈夫だよ。二人とも」
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