■ 第二話 「ここは異世界だ⋯⋯」
竜星は、こんな摩訶不思議な状況だというのに妙に落ち着いていた。
――いや。
落ち着いているというより、理解できていないだけかもしれない。
俺はため息をつきながら聞く。
「竜星。ここにとどまるのと、探索して他の奴らを探すの、どっちがいいと思う?」
竜星は即答した。
「決まってんだろ? 探索だ。冒険してぇ!」
……一発、頭を叩きたくなってきた。
「そうか……。じゃあさ」
俺は腕を組む。
「『ステータスオープン』って言ってみろ」
これを見れば、さすがに現実を理解するだろう。
竜星は眉をひそめた。
「は? お前頭おかしくなったのか?」
お前だよ!と言いたいのをぐっとこらえる。
「いいから言ってみろ」
「はあ? ……『ステータスオープン!』」
案外ノリノリだった。
その瞬間。
竜星の目の前にも、俺と同じように光のウィンドウが現れた。
「えぇ!? どゆこと!? グー〇ル先生!?」
「こんなときに使えねえだろ」
俺は肩をすくめる。
「異世界だろ。ここ」
「いきなり眠って、起きたら大自然にいたんだぞ?」
竜星の顔が青ざめていく。
「え? ヤバイヤバイヤバイヤバイ。どうしようどうしよう!」
「どうした?」
竜星は真剣な顔で言った。
「2月28日に発売された本、まだ読んでないのにぃ!?」
無言で一発叩く。
「いてっ」
「落ち着け」
俺は指を立てる。
「ここが異世界で、大自然。これが意味することは?」
竜星は考え――
「本が読めない!(泣)」
二発目。
「痛いよ!」
「アホか! モンスターとか出てくるだろ普通!」
「あ」
竜星の顔が引きつる。
「確かに。え? やばいじゃん。武器ねえよ!?」
「ステータスに戦えそうなスキルなかったのか?」
竜星は画面を確認する。
「剣術Lv.1。……剣ねえよ!」
「そこら辺の棒で代用しろ」
竜星は近くの木の枝を拾う。
「お前はどうすんだよ?」
「安心しろ。俺は元から持ってる」
そう言って、俺はブレザーの内ポケットからハサミを取り出した。
さらに財布を固定していたチェーンを外す。
ハサミの持ち手に通し、もう片方を袖のボタンに引っ掛ける。
簡易的な武器だ。
竜星が目を丸くする。
「いやズリーよ! 俺も欲しい! あとなんで持ってんの!?」
そして少し考えてから言った。
「あ、そういえば龍凱お前そういうやつだったわ」
自己完結できたようで何よりだ。
「まあこれで武器はいいだろ」
「……いや、お前と俺の差おかしくね?」
何か言っているが無視する。
俺は地面を指差した。
「竜星。その棒を地面に垂直に立てろ」
「え?」
「いいからやれ」
「ほい」
竜星が棒を立てる。
「手を離して」
「はい」
棒はゆっくりと倒れた。
「よし。倒れた方向に進もう」
竜星が目を輝かせる。
「おぉ! お前天才だ!」
……アホだ。
俺たちはその方向へ歩き始めた。
しばらく森を進む。
木々の間を慎重に歩いていると――
ガサッ。
前方の茂みが揺れた。
俺はすぐに手で制止する。
「コブリン(?)発見。止まれ」
竜星もしゃがむ。
木の影からそっと覗く。
そこにいたのは――
緑色の小柄な人型の生物。
ボロい布を巻き、棍棒を持っている。
「……コブリンだろこれ」
竜星が小声で言う。
次の瞬間。
「おぉ! 行くぜ!」
竜星が飛び出した。
「アホか!?」
竜星は木の棒を振り上げる。
「おらぁ!」
ゴンッ!
棒がコブリンの頭に当たる。
奇襲は成功したが――
コブリンが怒りの声を上げる。
「ギャッ!」
振り向いた。
その瞬間。
俺は走り出す。
「もぉ!」
ハサミを振り上げ――
目を狙って突き刺した。
グシャッ。
コブリンは数歩よろめき、そのまま倒れた。
静寂。
そして――
俺たちの前に光の文字が浮かぶ。
【コブリンを倒しました】
【レベルが上がりました】
【ステータスを一部開示します】
竜星が俺を見る。
少し引いた顔で言った。
「……龍凱」
「なんだ」
「お前、一切ためらいなかったな」
最後までお読みいただきありがとうございます!
(▭-▭)φカタカタ:こういう愉快な友が中学生時代にはいました。
ブクマ&反応&コメント待ってます!
【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれるとまじで喜びます!
ゴホン、失礼。
↓↓ここをポチってくれたら幸せ(笑)↓↓




