■ 第十五話 「覚悟あるいは自覚の差」
武器屋を出た俺たちは、そのまま冒険者ギルドへ向かった。
初依頼を受けるためだ。
「やっぱ最初はスライムとかだよな」
竜星が掲示板を見ながら言う。
「ゴブリンでもいいぞ」
朱が腕を組む。
俺は依頼書を一枚取った。
「これでいいんじゃないか」
内容は単純。
森のウルフ討伐
難易度も低い。
「決まりだな」
三人で頷いた。
そして街を出た。
◇
森は静かだった。
風が木を揺らす音だけが聞こえる。
「なんか平和だな」
竜星が言う。
「まあ初心者依頼だし」
俺も答える。
その時だった。
――ガキン!
金属がぶつかる音。
「……!」
三人同時に顔を上げた。
音は森の奥からだ。
「誰か戦ってる」
朱が言う。
俺たちは走った。
◇
そこにいたのは――
男が一人。
そして
三人の男たち。
「金出せって言ってんだろ!」
「くそ……!」
どう見ても状況は明白だった。
盗賊だ。
男は剣を構えていたが、完全に押されている。
「どうする?」
竜星が聞く。
だが答える前に――
盗賊の一人が叫んだ。
「殺せ!」
その瞬間だった。
朱が動いた。
「っ!」
拳甲を装着した拳が振り抜かれる。
ドン!
盗賊の一人が地面に倒れた。
「なっ!?」
残りの盗賊が振り向く。
「ガキ!?」
「邪魔すんな!」
剣が振り下ろされた。
朱が避ける。
そして――
踏み込んだ。
拳が、振り抜かれる。
鈍い音がした。
盗賊が倒れる。
もう動かない。
その瞬間。
時間が止まったように感じた。
俺も竜星も――
動けなかった。
目の前で
人が死んだ。
朱の拳で。
残った盗賊が逃げようとする。
朱が追う。
そして
もう一撃。
静寂。
森の音だけが戻った。
俺は動けなかった。
竜星も同じだった。
朱だけが立っていた。
肩で息をしている。
拳を見ている。
そしてゆっくり言った。
「……終わった」
声が震えていた。
助けられた男が呆然としていた。
「助かった……」
そう言って膝をつく。
俺はようやく口を開いた。
「大丈夫ですか」
男は頷いた。
だがすぐに言った。
「……いや」
「まだだ」
顔が歪む。
「娘が……」
俺たちは顔を見合わせた。
男が続ける。
「娘がさらわれた」
静かな声だった。
「盗賊に」
俺の胸がざわつく。
「ギルドに依頼も出した」
男が笑う。
乾いた笑いだった。
「でも誰も受けてくれない」
声が震える。
「危険だからって」
拳を握る。
「だから……」
森の奥を見る。
「一人で来た」
そして静かに言った。
「このままじゃ」
「娘が……」
その言葉は最後まで続かなかった。
沈黙。
竜星が言う。
「……行くか」
だが朱が首を振った。
「いや」
俺たちを見る。
「お前らは帰れ」
「は?」
竜星が戸惑う。
「俺が行く」
俺は言った。
「危ない」
朱は笑った。
「わかってる」
森の奥を見る。
「でも」
拳を握る。
「さっき人を殺した」
静かな声だった。
「だったら」
「最後までやる」
そして言った。
「俺が行く」
そう言って
朱は森の奥へ走っていった。
俺と竜星は
その背中を見ているしかなかった。
――これが
最初の分岐点だった。
最後までお読みいただきありがとうございます!
(▭-▭)φカタカタ:話が重くなっていくと思います。
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