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■ 第十話 「顎の外し方講座(?)」


「おい、どういうことだ?」


 厳ついおっさん――おそらくこのギルドの偉い人が、受付嬢に低い声で尋ねた。


 受付嬢は慌てた様子で答える。


「な、なんと……タイキ=アオモリ様と同じS級判定が、三人同時に現れたんですっ!」


『は?』


 ギルドマスターとカインさんの口が、顎が外れるんじゃないかというほど大きく開いた。


「本当なんです!」


 受付嬢は必死に言う。


 疑うような視線を向けられ、俺たちはもう一度水晶の前に立たされた。


「……もう一回触ってみろ」


「はい、これでいいですか?」


 俺は戦闘力診断石に手を触れる。


 ――瞬間。


 水晶は再び、まばゆい金色に輝いた。


 竜星も触れる。


 金色。


 朱も触れる。


 金色。


『――ぁぇ?』


 とうとうギルドマスターとカインさんの顎が、本当に外れた。


 ◇


 場所はギルドの応接室に移った。


 椅子に座るギルドマスターとカインさんは、シャルさんの治癒魔法を受けながら何やら話している。


「あおうおおぁ〜」


(なるほどなぁ〜)


「は、はい」


 俺は必死に笑いをこらえていた。


 気を抜いたら確実に笑いが止まらなくなる。


 ちなみに竜星は早々に撃沈し、席を外している。


 廊下の方から微かに笑い声がずっと聞こえてきていた。


 完全にツボったらしい。


「あぁ、いい。おうえんあゃいあうぅえああいあぅあおあ?」


(まあいい。冒険者になるって話だったよな?)


「は、はい!」


「ぐふっ」


 今度は朱が撃沈した。


 席を外して廊下へ逃げていく。


 ギルマス恐るべし……。


「えうううゅうおうえんいゃあーおあ、おえ」


(S級冒険者カードだ。ほれ)


 カードを差し出される。


 その頃には、ギルドマスターの顎もほぼ治っていた。


「お、治った。ありがとな」


「いえ……」


 シャルさんは今度はカインさんの治療を始める。


 その様子を見ながらギルドマスターが呟いた。


「しっかし……これ、そんなに面白いか?」


「はい!……あ、いっ、いえ……」


 慌てて取り繕う。


「そうか」


 ……なんか落ち込んでない?


 まずい。


 この空気はまずい。


「あ、そうだ!魔石とかここで売っていいですか?」


 話題転換である。


「いいぞ」


 まだ少し落ち込んでいるように見えるが、とりあえず許可は出た。


 俺は頷き、床の方へ手を向ける。


「――<空間魔法>」


 次の瞬間。


 ドン。


 ドドン。


 ドドドドド……。


 大量の素材が床に出現した。


「――ぃぁ?」


 ギルドマスターとカインさんが、仲良く再び顎を外した。


 ……おかわりである。


 シャルさんの反応がやたら薄いのは気のせいだろうか。


 ◇


 出した素材のほとんどは、ゴブリンやウルフからのドロップだ。


 ただし中には、スライムキングの魔石もある。


 ちなみにウルフの牙や毛皮は、使い道がありそうなのでいくつか温存してある。


 査定が終わるまでの間、俺は色々考えていた。


 いくらになるのか。


 そもそもこの世界のお金の単位は?


 交換比率とか物価はどんな感じなんだろう?


 そんなことを考えているうちに、査定が終わったらしい。


 ギルドマスターが言う。


「白金貨1枚、金貨99枚、大銀貨9枚、銀貨9枚、銅貨10枚だ」


 どうやら端数は切り上げて、白金貨2枚にすることもできるらしい。


 だが、俺はそれを断った。


 物価も知りたいし、大きい金だけじゃなく、小銭も欲しかったからだ。


 そう説明すると、ギルドマスターは納得し、親切に教えてくれた。


 ……今日で二回も顎を外したその口で。


 ちなみに交換比率はこうだ。


 銅貨10枚で銀貨1枚。

 銀貨10枚で大銀貨1枚。

 大銀貨10枚で金貨1枚。

 金貨100枚で白金貨1枚。


 さらに上には、光金貨、王金貨、魔金貨などがあるらしいが――。


 「説明が面倒だから割愛する」と言われた。


 王金貨や魔金貨レベルになると、もはや一種の魔道具扱いらしい。


 技術すげえ。


 ちなみに価値は――。


 一枚で国の経済を動かせるほど、らしい。


「ありがとうございます」


 俺は礼を言った。


 なお、顎の治療は査定中にシャルさんが済ませていた。


 ……どんまい。


 ――断じて俺のせいではない。


 うん。


 うん。


 きっとそうだ。


最後までお読みいただきありがとうございます!


ブクマ&反応&コメント待ってます!


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ゴホン、失礼。


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