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悪鬼羅刹〜違法麻薬と変態に立ち向かう2人の少年〜  作者: 橋本衣兎


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9/10

狙われてるって初耳なんですけど




「次が此処か」


倉田(くらた)研究所ですね。表向きは異能力の研究や制御薬の研究など、となってますが、アルバ様から貰った資料とこちらが調べた情報によりますと、、、、」


「よりますと?」


双葉(ふたば)は資料に目を通して言葉を紡ぐのを辞めてしまう。それほどまでに書かれている内容を(ひかり)に伝えるのが酷だと分かっているからだ。その様子を異能力を使わずに表情から汲み取った光は、しょうがないな、と内心思いながら双葉の両頬をムギュッと手で掴み引っ張る。


「!」


「俺に変な隠し事はしないって、前に約束したでしょ!」


「ですが」


「俺は双葉の口から聞きたい。教えて、何をしているのか」


「、、、、分かりました」


光の真っ直ぐな上目遣いと自分を信頼していると言うオーラに双葉は陥落した。

少し間を開けてから、承諾しまた資料をチラッと目線を向けてから言える範囲内を伝えようと、光の目を見て片手を腰に当てて内容を言う。


「裏では政府からの補助金を使って、、、、悪鬼羅刹を服用して生存した人々を保護と言う形で、、、、、、、、洗脳まがいな事をしたり、悪鬼羅刹を接種させたり、脳や体内の変化を見る為の違法な手術、、言わば人体実験などを行ってます。そのせいで、身元不明の死体として処理されていると、書かれております」


「!何それ、、、、酷い」


「、、、、(死、、、、光様が心の底から嫌っているのも。そんなのが身近にあるこんな場所に来させたくなかった)」


「、、、、、、、、双葉、行こう」


「!、、、、はい」


双葉の心配を他所に、真剣な表情で研究施設を見つめ歩む光。

その姿を見て光の成長を感じ嬉しさと少しの寂しさを感じながらも返答して後をついていく双葉。此処でも所長の娘として入る為、光は少し大人っぽく見せる為にカジュアルなワンピースにカーディガンを着て髪をポニーテールにしている。

内部に入ると微かに薬品の匂いが充満しており、白衣を着た研究員と思われる人物が数名、光と双葉の視界に入る。

光と双葉に気付いた研究員の1人が近づく。その後を数人の研究員が追ってくる。その中に居る2名が少し怪しさを感じる。


「どなたでしょうか?」


「所長である薬師寺(やくしじ)の娘の蓮香(れんか)様でございます」


「!、あぁ、あの蓮香様ですか。始めて拝見しましたので、気づきませんでした。それで今日はどの様なご用件で」


「旦那様から、急ぎで必要な書類を取って来てと言われたので、来ました」


「あぁ、そうなのですね。所長室は3階の1番端にありますので」


「ありがとうございます。教えてくださり」


「いえいえ、では失礼します」


双葉の冷静な対処と情報のおかげでなんとか、怪しまれずに侵入する事が出来た。研究員と離れて、光と双葉の2人は何の問題もなく所長室に侵入成功した。

此処でも何処から入手したのか不明のカードキーを使って開ける双葉を見て若干引いた光。


「此処からはUSBメモリだけを抜き取るんだよね」


「えぇ、他に何か必要な物があるかもしれませんので、光様はデータの獲得まで何かお探しになって下さい」


「はーい」


光はそう言って、何の問題もなく進められている潜入調査を楽しみながら、部屋の探索を行う。

その中に何かの成分表、みたいなのを発見した。そこには、悪鬼羅刹の効果などが書かれており、光は小さく目に入った効果の所を双葉に聞こえない声量で呟く。


「幻覚作用、、、、洗脳状態、、、異能力の暴走、強化、、、、発現、、、、臓器への負担、、、、腐食」


目に映る効果の全部が自分の目を腐らせるかの様に感じた光は、思わず目を瞑って紙をくしゃくしゃに丸めて、ポケットに入れた。

その様子を見て、本当に感受性が豊かな人ほど、汚したくないな、と考えながらデータが全部入ったUSBメモリを抜き取る双葉であった。


「では、光様、出ますよ」


「はーい」


2人は所長室を出て、研修所から出る道中でガラス越しに研究員達の研究している姿を見る。そこには、信じられない姿があり、光は思わず足を止め眉を顰め拳を握りしめる。

そこにあったのは、双葉が言っていた様に悪鬼羅刹を服用して生存したであろう人間にまた悪鬼羅刹であろう麻薬を摂取させている場面だった。

抵抗している人間を押さえつけ、無理矢理注射器で手首に注射している姿を見て光は嫌悪感を覚える。薬品の匂いがいつも以上にして、鼻腔をツンと刺激する。


「、、、、何であんな事をするんだろ」


「、、、、ひか、蓮香様、わざわざ直視しなくてもよろしいのですよ」


「うん」


痛ましい光景に慣れている双葉は、純粋な光が辛そうな顔をされるのだけは慣れないらしい。2人はそのまま廊下を歩いていると、とある部屋から出て来た白衣を着た研究員2名の話が聞こえて来た。

それを聞く為に、視界に入らない所に隠れる光と双葉。その2人に気付かずに、大きな声で話をする研究員達。


「おい、例の104号室の奴、元売人だったんだって?ほら、バーンズ様の」


「あぁ、バーンズ様の部下であるブルックス様の部下の部下、だって噂らしいぜ」


「(バーンズ、ブルックス、、、、って、アルバを狙ってる)」


「警察に捕まって、身体検査の為に病院から此処の研究所に連れて来たけど、悪鬼羅刹の人体実験に使われてるせいで、碌に話せないらしいぞ」


「警察に戻すはずだろ?大丈夫なのか?」


「そこは上手く対処するって、所長が言ってたぜ」


重大な機密事項をベラベラと喋ってから立ち去った研究員達。光と双葉は顔を見合わせて、まだバレてないと言う状況で勇気を受けて、その情報を元に104号室に向い、入る。


「、、、、」


中に入ると、ベッドで起き上がって窓の方に顔を向けていた売人。その売人はまさかの2ヶ月前に倉庫で警察に捕まった売人の男だった。痩せ細り目には光がない。以前のような威圧的な態度が嘘のように、すっかり大人しくなりボーッとしている。


「あの」


「、、、、誰?」


「アルバの事、知ってますか?」


「アルバ?、、、、、、、、ば、バーンズ、バーンズ様の、お気に入り」


「「お気に入り???」」


男は光の質問に最初は不思議な顔をしていたが、思い出したかの様に、小さくボソボソと話し始めた。

バーンズのお気に入りと聞いて、光と双葉は嫌な考えが頭の中で過ぎる。お気に入り、と言う言葉には光自身が辛い思いをしていたからだ。

男はそのまま、下を向きながらボソボソと話し続ける。


「バーンズ様は、アルバの元養父、、闇雲光明(やみくもこうめい)が、養父になるまでは、、縛りつけて、た。2ヶ月前、バーンズ様が、アルバ、の場所を見つけて、それで、部下に命令して、、、闇雲光明を、排除しようと、した」


「!、じゃあ、アルバの養父に悪鬼羅刹を飲ませたのって」


「いや、普通に殺す、ように命令、された、らしい。飲ませたの、は、、、何処かの、博士、研究者だ、って聞いた」


「と言う事は、その博士が計画にはないはずの悪鬼羅刹を服用させた、って事ですね、光様」


「うん。そう言う事になるね、双葉」


「光?、、、、光、、、、もしかして、終夜(しゅうや)(ひかり)?」


「「!」」


男の説明に色々納得と動揺をする光と双葉。だが、光の名を聞いた瞬間、男が少し顔色を変えて、フルネームを発した。それを聞いて、目を見開きて驚き、思わず後退ってしまった光と双葉。

一気に部屋の雰囲気が変化した。


「何故名前を知ってる」


「、、、、知らないのか?狙われてる、事を」


「「狙われてる?」」


「今、世界中、の、、富豪や、権力、者がお前、終夜光を狙って、いる」


「何で?俺を」


「お前の、異能、力を狙って、居るんだ」


男の発言に一気に警戒モードになりながら、世界中にまでとうとう狙われているのかよ、と内心悪態をつく双葉。

自分の異能力ってそんなに貴重なのかな?と自分の新たな才能にソワソワしている光。

そんな2人の様子を他所に、喋り続ける男。


「バーンズ様、達もお前の事、を狙っている、、他にも、沢山狙っている奴、が居る、、、、気を付け、ろ」


「そうか。教えてくれて助かった。失礼する、、、、光様、行きましょう」


「ぅ、うん」


双葉は平常心を保ち、いつも通りの声色で返答し、光を連れて部屋を出る。

双葉はこの時点で嫌な予感をしていた。このままこの施設に居れば、最悪な事が起きると。焦った表情で廊下を歩く双葉を見て不思議そうに見つめ歩く光。

だが、そんな双葉の予想が的中し、最悪な事が起きてしまった。


「薬師寺所長。今、お嬢様である蓮香様がいらっしゃってますよ!」


「蓮香が?」


「はい!、ぁ、ほら!蓮香様、御用は終わりましたか?」


「「!(何で!)」」


居る筈のない、薬師寺所長が目の前に居た。その姿を目視した双葉と光は息を飲み、目を見合わせる。

この時双葉の思考は瞬時に巡らせる。違う人間だと分かる、バレる、そしたら光を連れて逃げる。それを0.02秒の内に考えた。

そして、薬師寺所長は光と双葉を目視して、瞬きをして表情を変えず低い声で一言。


「誰だ、お前達」


「え?、薬師寺所長のお嬢様じゃないのですか?」


「私の娘はこんな顔はしていない。全くの別人で、不審者だ」


「!、警備の奴らを呼べ!!!!!!」


「光様、逃げますよ!」


「ぅ、うん!」


「薬師寺、?、、バーンズ様の、取引、相手」


薬師寺の言葉を聞いて、一気に警戒心を光と双葉に向け、叫ぶ。双葉は、光を抱き上げて逃げ出そうとしていると、ガラッとドアが開ける音をさせ、4人の背後から、先ほどの男が現れて、薬師寺を指差して、そう発した。

それを聞いて、光はすぐに、その言葉の意図を理解した。


「、、、、薬師寺所長はバーンズとの取引をしていたから、悪鬼羅刹の研究や、人体実験を行っていた?」


「!」


「(図星か)」


光の言葉に顔を引き攣らせ、目を泳がせる薬師寺。その姿を見て、図星だと理解した。すると、研究員の言葉を聞いた明らかに警備員とは思えないぐらい厳つい黒スーツに黒サングラスをかけた屈強な確実に外国人である男達が現れる。

足を止めていた双葉は、動揺を隠せないまま光を抱き上げて隙を探す。


「You two, catch those two. You can kill them! We can't let Mr. Barnes find out

(お前達、あの2人を捕まえろ。殺しても良い!バーンズ様にバレる訳にはいかない)」


薬師寺の英語の命令に、従って男達は拳銃を取り出して双葉と光にジリジリと近づく。

光は薬師寺の発言から、この男達がバーンズの部下なんだろうと予想する。

そう思っている光を他所に目を素早く動かしながら、双葉は男達の隙をつき、逃げ出す。


「光様、ジッとしてて下さいね」


「ぅ、うん」


男達から逃げ出せたが、背後から複数の銃声が聞こえ双葉は光を守る様に抱きしめ、目を力強く瞑る。が、双葉にも光にも痛みが来ない。その代わりに背後から「グッ」と言う苦痛が双葉と光の耳に届いた。

光は目を開けて、何が起きているのか見ると、そこには、


「!クソッ、何で盾になって」


「、、、、嘘」


ヒョロヒョロとなり、震えながら立つ売人であった男。右下腹と心臓部に近い所が血で滲んでいる。双葉と光を庇うように盾になったと、分かる。

力尽きたのか、その場に座り込む男。その様子を見て、ヒュッと顔面蒼白になり目を見開き、過呼吸になりそうになってしまう光。

それを感じ取って、光の背中を撫でる双葉。

バーンズの部下達はまさかの事態に動揺して、動きが鈍くなっていた。


「光様、行きますよ」


「、、、、ヤダ」


逃げようと一歩、歩こうとする双葉の服の袖を握りしめて引き止める光。まさか引き止められるとは思わず、少し驚いた表情をしてしまった双葉。


「はい?」


「あの人も連れて行く」


「!、何言って。アイツは売人ですよ!?」


「それでも!あそこで見殺しになんて出来ない!!俺と双葉を助けてくれた、から、、、、だから、お願い」


「、、、、、、、、それは、主人としてですか?友人としてですか?」


「友人として」


「了解しました。ジッとして下さいね」


光の言葉を聞いて、この人は本当にしょうがないな、と思いながら、決意を決めた表情をしてキリッと男を認識して、瞬時に近づく双葉。

双葉にとっては主人としての命令よりも友人としての命令の方が大切なのであった。



「何、して」


「変に動くなよ。こっちは助けたくないけど、友人の頼みだからな」


双葉はそう言って、男を抱え少し鈍い動きになりながらも逃げる。

その様子を見て、バーンズの部下達はハッとしたのか、すぐに3人の後を追う。

階段を降りて、少し体力が減っている双葉は、息を荒くしながら、柱に手をついて止まる。


「光様、、、、何もしないでこのまま無事に逃れるとは思いませんが」


「、、、、分かった。異能力は使っても良い、、、、だけど、殺さないで」


「了解しました」


光の言葉にそう返事をして、追ってのバーンズの部下達に向かって、双葉は懐から拳銃を取り出して、適当に3発撃つ。

すると、3発とも部下達の肩や足首などに当たる。苦痛の表情をして立ち止まる部下達。

双葉の異能力は【百発百中】、放った弾や矢をどんなに適当に撃っても、敵と認識した的に当たる異能力だ。銃弾を生成する事も出来る。


「グッ、」


「居ますよ」


「うん」


何とか足止めが出来たが、その後ろから数人の追っ手が来る。

双葉の体力の限界も近づいて来ている状況下で、異能力を使って体力の消耗は避けたいと、光は内心考える。どうすれば良い?と、何も出来ずただ命を助けたいとほざく無力な自分にイラついてしまう。

そう思っていると、背後からまた苦痛に似た悲鳴が聞こえて来た。


「これで良い、よな?」


「えぇ、殺してはないのでよしとしましょうか」


「「(誰?)」」


双葉が立ち止まり、後ろに居る男達の方に視線を向ける。丁度、顔の部分が影となっている所が太陽が動いて、顔が見える。双葉と光の目に映った顔は、まさかの、、、、










































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