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悪鬼羅刹〜違法麻薬と変態に立ち向かう2人の少年〜  作者: 橋本衣


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8/10

潜入調査って案外楽しいかも!!




「よし、、、、どう?双葉(ふたば)?」


「お似合いでございますよ、(ひかり)様」


「だよね〜」


黒のセーラー服に黒のカーディガンを着て、黒のタイツを履き髪を下ろし、ウサ耳と尻尾を生やした光の姿を相変わらず女装が似合うな、と思いながら黒スーツを着て黒のサングラスを付けて褒める双葉。

アルバがコリンズに襲われる少し前の時間、光は学校を無断で休み双葉と共にアルバから託された書類に書かれた内にあった病院の近くに居る。

今から、潜入する為に変装をしているのだ。光は自分の格好を客観的に考えて、真顔で双葉に問う。


「でもさ、、なんで俺女装?」


「必要な書類を貰うって事なら、此処の病院の院長の娘って設定で侵入の方が早いです。それに今日は院長来ませんし」


「でも、明らかに違うしバレない?」


「院長の娘は病院に来た事もないですし院長が過保護過ぎて写真も見せた事がないのでご安心を」


それ(情報)何処から入手してるの?毎回」


「知り合いの情報屋です」


「便利だね、その言い回し」


双葉の用意周到な情報量に思わず引いてしまう光。だが、これが日常茶飯事なので少し慣れてしまっている自分が居るのが悔しい光。

その様子を見て別に疑われても最悪、相手を消せば良いだけ、と思っているヤクザな双葉。

真逆な事を考えている2人は裏からアルバが用意した社員証をかざして中へと入って行く。中に入る際、扉を開けて先に光を入らせる双葉。


「それで、必要な書類が置かれてる所って?」


「院長室ですね。あそこに大抵のデータが保存されていますので」


「へぇ〜」


「でも、なんで此処の病院なの?他にもあったよね?」


「、、、、此処は他の病院とも提携をしていて、他の病院からのデータも保存されていると、事前情報から分かってます。それに他の病院から採取するなんて手間ですよ、手間」


「あぁ、簡単に言えば、」


「「手っ取り早い」」


「から、ですね」


「ですよね〜」


ジト目で面倒くさそうな表情をして廊下を歩く双葉とその双葉の性格を理解して苦笑いをする光は、揃って言う。

院長室までの道のりは幸運なのか誰も通らず、光は内心良かったぁ、と思いながら院長室の前に立つ。

誰も居ないよな、とキョロキョロカーディガンを口元で押さえながら辺りを見渡す光。そんな光を見て双葉は一言。


「その様子は側から見たら怪しいですよ」


「確かに」


「まぁ、俺達不法侵入してる不審者なんですけどね」


「双葉、身も蓋もない事言わないでよ」


苦笑いと呆れ顔をしながら真顔の双葉にツッコむ光。院長室の扉は、専用のカードキー以外では開かないようになっている。

なので、鍵が掛かって居るのでどうやって入ろうか。と、思っていると案の定、院長専用のカードキーを懐から取り出す双葉をて光は内心引く。


「なんで持ってるの?」


「前に此処の院長と旦那様が会食した時に、こっそり、コピーを、、、、いつか使えるかなと思いまして」


「まさか、こう言う事で役に立つとはね」


「同感です。まぁ、やって損な事はないですよね」


「だね」


だが光は思った。なんで、ナチュラルにカードキーのコピーを作ってるんだ??と。

だがそれをツッコむのは野暮だな、と思いながら院長室に入る。部屋に監視カメラがあったが双葉がすぐに電気系統を破壊、じゃなくてハッキングして動画の差し替えをした。

その姿を見ても光が特に何も言わなかったのは日常茶飯事だったからだ。


「重要なデータと書類って確か院長室の机の鍵の掛かった棚だった、よね?」


「えぇ、アルバ様がご用意なさった書類の中に書かれておりましたね」


「双葉、開けてくれる?」


「良いですよ。全然、、光様も早くピッキング出来るようになった方が良いですよ」


「あのね、人はピッキングが出来るようになるなんて無理だから」


「、、、、確かにそうですね」


「(納得しちゃった)」


光は心の中で思った。光自身もある程度ピッキング技術を身に付けているが、そんな素早くも簡単にも出来ないぐらいの腕だ。

目の前で軽々と鍵を開けていく双葉を見て内心、こう言う大人にはなりたくないな、と思う光であった。

その考えがお見通しな双葉は、なれませんよ、貴方はと思いながら1番下の大きな棚を引く。

中には青色の分厚いファイルが何個も入っていて、棚の取手の内側にテープで押さえられたUSBメモリがあった。

光はしゃがみ込んで、大量のファイルを見て唖然としているのか口をぽっかりと開ける。



「このファイル全部かな」


「いや、多分ですが、この悪鬼羅刹と書かれたファイル4つでしょうね」


「悪鬼羅刹?、双葉何か知ってるの?」


「知り合いの情報屋が言ってましたが最近世間を騒がせている違法麻薬、です」


「!、麻薬!?」


双葉の言葉に目を見開きバランスを崩してしまって、その場に座り込んでしまった光。

いくら極道の養子でも動揺するものは動揺するようだ。


「えぇ、異能力に作用する麻薬らしく、過剰摂取や薬物中毒死、急性薬物中毒、あとは体に合わずに死に至るケースがある事が分かっております」


「ヒェェ」


双葉の説明にビビりながらも、今のアルバにそんな物の関連した書類が必要になるってどう言う事だ?と、疑問に思いながらも、此処で目を背ける事は出来ない、と光は決意をして悪鬼羅刹と書かれたファイルを棚から取り出す。

光はパラパラと開けると、あるページが目に入って、すぐにそのページに戻る。


「?、どうしました?」


「これ見て、アルバの養父さんの名前、それに写真もある」


「!、と言う事は」


「悪鬼羅刹で死んだ、って事だよね?」


「ですね。此処に載っていると言う事は」


だから、アルバは悪鬼羅刹の事を調べようとしていたのかな、と光は内心考えて初めて見るアルバの養父の写真を見つめる。

検死された情報を見て、顔を顰めてしまう光。それを見て、優し過ぎる人だな、と双葉は思いながらテキパキとファイル内に入っている書類を抜き出して、白紙の紙に入れ替え、USBメモリを持って来ておいたUSBメモリに入れ替えておく。


「、、、、!、、、、(酷い)」


「、、、、、、、、光様、何か見つけましたか?」


「うん。これ見て」


「これは、、、、、、、、もし、本当なら最悪ですね」


「うん、、、、こんなのアルバが知ったら辛いよ」


アルバの養父さん、闇雲光明(やみくもこうめい)の検死内容を見て1つ、光が引っかかった文章。それは『ナイフの刺し傷と深さから見て、まだ意識のある状態の内に闇雲光明自身が刺したと見られる』と書かれていたのだ。

光は、怒りに任せてファイルを力一杯握りしめそうになったが、双葉が優しく拳を掴んで耳元で一言。


「怒っても何も解決しません」


「、、、、うん、ごめん、、、、ありがとう」


「いえ」


双葉の言葉に落ち着いた光は、改めて闇雲光明に関する検死の書類を見る。光の心は悔しいと、なんで人を殺すような麻薬が存在するんだと言う怒りに苛まれていた。

でも、今そんな事を考えても自分になんか何にも出来ないと言う事で、更に自分自身に怒りを覚える背中をするのであった。

だが、この事はアルバ自身も知らない事だ。だが、確実に闇雲光明自身に悪鬼羅刹と言う麻薬を接種させた犯人がこの地球上に居ると言う事だけは事実だ。


「よし、これで全部かな」


「そうですね。身元バレたらバレたで手を出そうなんて考える人は居ないとは思いますけどね」


「双葉物騒」


全部取り終わった書類とUSBメモリを見て、この書類の数だけ被害者や自ら摂取したアホが居るんだなと思うと光の心情はだいぶ複雑であった。

それを封筒にしまって懐に入れる双葉。だが、見た目からして分厚い封筒が入っているとは思えない見た目に何もツッコまない光からして、慣れている事であり気にしたら無駄と言う事なんだと分かる。


「、、、、双葉」


「なんでございましょうか」


「、、、、ハグ」


「、、、、了解しました」


光の言葉に従って双葉は、正面から優しく抱き締めた。この一連の行為に何か理由があるのか、と言うのであれば汚い世界を見た、と言う事なんだろうか。


「(全く、この人は変な所で繊細なんだから)」


心の中で呆れる双葉だが、頭を撫でながら光が落ち着くのを待つ。この2人の間にある信頼関係と主従とは違う関係が、この状況を生み出しているのかもしれない。

数分後、平常心に戻った光は、双葉の胸元に埋めていた顔を上げて、双葉に話しかける。


「よし、行こう」


「了解しました」


そうして光と双葉は院長室を後にして、あとは病院内から出るだけだ。

だが、そんな2人の行手を阻むように、最上階にある院長室に向かっている途中の2人の前に、白衣を着た男性3人が向かってくる。

2人は顔を見られないように、端に移動して歩くが、真ん中の初老の男性が光の姿を見て、何かに気付いたのか声をかける。


「もしかして、院長の娘さんかい?」


「!、ぁ、、、、はい。えっと」


「あぁ、私は後藤(ごとう)と言います。外科部長をしております」


「外科部長、そうなんですね」


双葉が用意した資料に載っていたような、と薄い記憶を頼りに話す光。早く切り上げたいが、そう言う雰囲気ではないと察しているのでなんとかバレずに通り抜けたいと思いながら話を続ける。


「初めてですよね、病院に来るのは。どうしたんですか?お父様である院長は今日はいらっしゃっておりませんが」


「えっと、それは」


「院長が明日、県に提出する書類の資料を取りに来たんです。旦那様は今日は、市長の所に訪問なさっておりますから」


「あぁ、そうだったんだね。流石、院長、娘さんを信用ならって居るんだ。じゃあ、お嬢さんお気を付けて」


「はい」


1人の医者の探りにすぐに声のトーンを変えず返答をする双葉。それに安堵を見せる光と納得をする医者3名。

光と双葉は軽い会釈をして、その場から立ち去る。が、外科部長がまた探りを入れるかの様に2人の足を止める質問をした。


「ぁ、そう言えば、院長の好物はなんだったでしょうか?忘れてしまったんですよね」


「!(バレたか?)」


外科部長の言葉に思わずいつもの冷静さが欠如し、引き攣ってしまう双葉。

そんな情報事前に伝えれてないのに、と不安になりながら隣に居る光見下ろす。

だが、そんな双葉の不安など吹き飛ばすかのように、少し間を開けて、光は堂々と言った。


「確か、、、、私の手作りハンバーグ、オニオンソース付き、だったはずですね」


「、、、、あぁ、そう、それでした。すいません、野暮な質問をしてしまって。では、」


「はい」


光の発言が合っていた事もあり、外科部長は笑みを浮かべて一礼して他2名と共に立ち去った。光と双葉も背を向けて、出口へと向かった。

車の中に入って、運転席に座りサングラスを外した双葉は振り返って光の方を見て一言。


「何故分かったんですか?」


「、、、、ぁ〜、前にお義父さんと此処の院長が会食してた時に、糸から、知って」


光はそう平然と言いながら、人差し指をくるくると回す。双葉には見えないが、無数の糸が光の指に絡まっている。

そして双葉は双葉で光の発言を聞いて、唖然としたが、流石だな、と言う考えに至った。


「貴方の方がよっぽど、極道じゃないですか」


「それはどうも〜」


「ですが、もう少しは危機感を持って下さい。もし違うものになっていたらどうなさってたんですか」


「その時は外科部長の糸から知るね!」


「このチートが」


「双葉には言われたくない」


そんな会話をしながら、2人は次の潜入場所である研究施設へと向かった。双葉はこの危うさが狙われる原因なんじゃないかと思いながら運転をする。

光は、髪ゴムで髪を結びながら、案外楽しいし結構楽勝かもと思いながらにこやかな表情で外の景色を楽しむのであった。






































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