難しいけど、頼られるのって嬉しい!
「!!?!?」
その一連の行動にびっくりする光。体が思わず硬直してしまう。
だが、お尻に伝わる感覚にアルバの意図を感じ取り、真剣な表情になってキスを受け入れる姿勢を取る。
その場面を見ていた刑事2名とクリスは目を見開きそう言う関係!?と内心思いながら、様子を見ている。
3人の視線は2人のキスしている顔に向けられている。
「、、、、じゃあ、また来いよ」
「!、うん」
アルバはキスをし終わり、唇を離し「これで良い」と思いながら光の尻を強くポンッと叩く。
それに驚きながらも光は返事をする。その光景に違和感を感じず、監視体制に戻る刑事2名とクリス。
そのまま、光はアルバの元から立ち去った。その後ろ姿を見ながらアルバは口角を上げ、計画完了、と小さく呟いて中等部の校門の方に足を向けるのであった。
2人の間にさっきまであった熱い関係が誤解をされたまま。
「アイツら、あー言う関係だったのか、、、、つか、一緒に居た奴、終夜組の組長の養子だよな?」
クリスは後を追いながら、先ほどの事を思い出す。光の事まで調べていたらしく、そんな相手にまで手を出しているアルバに尊敬と畏怖の念を抱く。
だが、すぐにある違和感を覚えクリスはその場に立ち止まった。下を向き、手を口元に持って行き先ほどの光景を良く思い出した。
「待てよ、アイツ、何かをポケットに入れた?」
キスしている場面を見た時に視界に入った場面を良く思い出した。アルバがキスをしながら光のポケットに何かを入れるのを。
それを思い出したクリスはアルバの根端に気付い、焦った表情で元来た場所に戻り、光の後を追う。
だがそれは一歩遅く、光は既に双葉が運転する車に乗って、家まで向かっていた。
光はアルバにポケットに入れられた包帯を取り出す。
「、、、、光様、それは?」
「アルバからの、お便り、かな」
「?、そうですか」
包帯のお便りってなんだ?と疑問に思いながらも運転を続ける双葉。
光は包帯を開いて中に書かれているはずのメッセージを見る。車で揺れる車内でなんとか確認をすると、そこ書かれていたのは『東京都〇〇区××二丁目△△屋敷、ポスト裏』
「?何処?」
初めている住所に困惑しながらも、その住所を双葉に伝える。
すると双葉は知っていたのか、あぁ、と言ってから、信号で止まって光の方に顔を向ける。
「そこ、彼、、、、アルバの養父である闇雲光明が所有している屋敷の1つですよ」
「あ、そうなの?!、、、、確か、亡くなってるんだよね?殺された、とかで」
「えぇ、、何者かに刺殺された、とか。指紋や監視カメラにも映ってない、、、、と分かってます」
「まだ犯人も分かってないの??」
「警察が調査してますが、まだ犯人には辿り着いてはないですね」
双葉は持ち前の情報で、平然と光に伝える。警察情報にも詳しく、内部事情も知っている様子だ。光はなんで詳しいのかは知らないが、双葉だしな、と思いながら納得して包帯を見つめる。
光は心の中では、養父さん亡くなってたんだ、辛いよね。もしかして狙われてるのも亡くなった原因?と考えながら、アルバから託された使命を完遂しようと心の中で決めたのであった。
「此処、か、、、、双葉は待っててね」
「承知しました。夜になる前に戻って来て下さいね」
「はーい」
闇雲邸に着いた光は車から降り、周りは既に夕陽が落ちるまでの時刻だった。
寒がりな光は茶色のコートを来て闇雲邸の入り口だと思われる門に辿り着く。ポストを発見して、光は周りを見てからポスト裏を覗くと、少し分厚めの茶封筒を見つけた。
ここ最近に付けられたと分かるぐらい新品で、ガムテープで付けられている。
「これか」
光はピリッとガムテープを剥がして、茶封筒を封しているテープを剥がし、中身を取り出して確認する。
中身の情報はアルバが持っていた研究施設や病院の内部情報の更に詳しく書かれている書類だった。それを見て最初は怪訝な顔で見つめていた光だったが、すぐにアルバの意図を理解した。
「、、、、そうか。潜入調査、か」
書かれた内容からして、死体の解剖結果や運ばれた患者の検査結果を入手して欲しい、と考える光。
「じゃあこう言う時は、、、、双葉にも協力、かな」
光は小さく呟きながら楽しそうな笑みを浮かべながら、書類を封筒の中に戻して、双葉の車に戻る。
その足取りは此処に来た時よりも楽しそうに見えるのは、頼られている事への嬉しさとこれからするミッションのへのドキドキから来ている。
車内に戻ると、茶封筒を双葉に手渡す。それを受け取って、中身を確認するとルームミラー越しに映っていて、顔を顰める双葉。
「(やりたくないんだな笑)」
表情の意図をすぐに理解してだけどそれを口にしない辺り、双葉らしいなと思いながら光は外を見つめる。
全部を確認し終わった双葉はため息をつきながら、ルームミラーから光の顔を確認して、書類を助手席に置いて一言。
「危ないですよ」
「それでもやりたい。やらないと、頼られた意味がない」
「、、、、また怪我をする可能性があるのは分かっていますか?」
「分かってるよ。そんな事が分かんないぐらい馬鹿じゃないよ。それに、俺は自己犠牲、が1番嫌いだからさ」
「、、、、、、、、俺もやりますから、危ない事はしないで下さいね」
「はーい、了解しました」
「この事、旦那様には?」
「教えたら絶対に怒られる」
「事後報告の方が怒られる事は分かっているでしょう」
「、、、、その時はその時!」
「アホですか」
「双葉酷い!」
「酷くて結構です」
2人は楽しく話している姿は護衛と主人ではなく、心を許し合う友人の様に見える。
双葉は自分がどんなに言っても実行する事を、光は双葉が自分に何も言わないのは自分の性格を理解している事をお互いに分かっているからだ。
光は友人関係と言える人が学校には居ない。と言っても人当たりも良い、仲良くしているクラスメイトも居る。だが、本心で心を許しているのは双葉、そしてアルバの2人だと言うのを本人は気付いていない。
「なぁ、トイレの前に立つの辞めろって言ってるよな。入り口で待っとけよ」
「、、、、逃げようなんて思うなよ」
「なんで学校から逃げるって考えになるんだ。馬鹿じゃねーの」
次の日の休み時間、アルバはいつも通りに軽口を叩きながら個室トイレに入る。ポスト裏に茶封筒を設置した人物からの連絡を聞いた事で、いつも以上に余裕そうな表情になっている事に本人は気付いていない。
便座を上げないまま座り、スマホを取り出して前に隠し撮った光の写真を見る。
「光の奴、大丈夫だろうか。ヘマとかしてねーと良いけど」
危険な目に遭ってないと良いがと、失敗される不安から言っていると本人は思っているが、その本心はもし怪我をしたらと言う心配からだ。
光の笑っている姿を見ると、アルバは安心する。ノアと明浩にも心を許しているが、アルバ自身光と関わる事で考え方が変わっている事に少なからず気付いている。
「写真撮られてるの気づかないとか、鈍感だろ」
そう呟きながら、戻ろうとスマホの電源を切って後ろポケットに入れて、スイッチを押してトイレから出ようとしたその瞬間、校内にジリジリジリジリと言う高い音が響く。
これは火災報知器が誰かが押したらしい。
「!?」
その音を聞いて、アルバはすぐに警戒モードに入る。誰かがこの学校に侵入したか、校内で火災が起きているかのどっちかだと一瞬で理解しトイレから出て入り口に向かうと、監視していた刑事2名の姿は無かった。
「クリスの姿も、ないな」
アルバは辺りを見渡して、3人の姿がない事に違和感を感じる。クリスは兎も角、刑事2名がないと言う事は火災か?
アルバはそう思いながら、校内から出ようと昇降口に向かう。火災報知器の音を聞いた生徒が慌てて歩いている。
「訓練、、、、ではないみたいだな」
冷静になりながら、階段を降りていると1階の階段付近で倒れている刑事2名の姿を見て、硬直する。
アルバは顔を顰めながら首元に手を当てると脈を確認出来て、気絶しているだけだと分かり一安心する。だが、これが火災じゃないと言う事に気づき、一気にアルバの警戒モードのレベルが上がった。
「、、火災報知器を押す、何て卑怯な事をするって事は、、、、お前だな、コリンズ」
「ヨォ、アルバちゃーん。久しぶりだな」
「お前は相変わらず卑怯に、手下連れて参上かよ」
アルバは振り返って背後に居た男を見下す様な目で見つめながら軽口を叩く。
茶髪のこの男はコリンズと言い、バーンズとブルックスの部下で、過去にアルバを強姦した内の1人だ。コリンズはアルバをねちっこい目で見ながら周りに居る手下と共にジリジリと近づく。
「刑事もお前らが?」
「あぁ、、、、ブルックス様が連れ去り失敗したって聞いたからな。それで俺に任されたって訳だ」
「ふーん、お前が出来るとは思わねーねど」
「あ゛?ガキが一丁前な事言ってんなよ!」
ドンッと言う鈍い音をさせながら、右足でアルバの腹を蹴ったコリンズ。
その衝動に思わず顔を顰めて、後退ってしまうアルバ。流石にこの痛みには耐えれなかった。周りには他に生徒もおらず、自分とコリンズとその手下だけ。
それが分かっているからか余裕な表情をしながら、アルバの腕を勢い良く掴む。
「連れて行く前に可愛がってやるよ、、、、来い」
なんの抵抗もせず、アルバはそのまま連れて行かれる。思いの外、腹に来た痛みが強かったと思われる。
対抗もしないアルバを見て、口角が上がったままのコリンズと笑っている手下達。自分を見ている視線が気持ち悪く嫌悪感を感じながらアルバは保健室のベッドに押し倒される。
「(コイツら、保健室でヤる事しか脳にねーのなよ)」
内心で悪態をつきながら、コリンズ達からの下賎な行為に耐えるのであった。
その行為に体と心が汚される感覚に陥り、苦しいと思って枕に顔を押し当てる。するとアルバの髪を掴み自分と強制的に目を合わせるコリンズ。その目は欲望を孕んでいる。
「やっぱ、この体のこの綺麗な顔を好きに出来てるって実感出来るのは最高だな、おい」
「ッ、、、、」
「良いか?アルバ、、、、お前は一生バーンズ様に囲われる鳥で、俺らのオモチャ、なんだよ」
そうしてアルバは心を殺して甚振られるのを我慢するのであった。
その我慢している顔を見て更に興奮をするコリンズ。自分の下で苦しそうにしているアルバの姿を見るのが、堪らなく興奮するらしい。
「、、、、さて、そろそろ連れて行くか」
コリンズがそう言って、ベッドから起き上がろうとすると、遠くからパトカーのサイレンの音と保健室に急いで近づく様に2名ほどの足音がする。
コリンズがそう言って、ベッドから起き上がろうとすると、遠くからパトカーのサイレンの音と保健室に急いで近づく様に2名ほどの足音がする。
コリンズとその手下は動きを止め、コリンズは舌打ちをする。マフィアだろうと日本の警察が厄介な事を理解しているらしい。
「チッ、、、、行くぞ、お前ら」
「リーダー、あの者は?」
「今回は諦める。次は必ずな」
「フッ、、、、出来ると良いな」
「言ってろ」
コリンズ達はアルバの軽口を聞き、平然としながらその場から立ち去る様に保健室の窓を開けてそこを飛び越えて素早く立ち去った。
コリンズ達が立ち去った数秒後に、保健室を勢い良く開け中に入ってくる刑事2名。その顔は息も大概で、ゼーハー、と言い焦った表情でベッドに座り込んでいるアルバに向かって、一言。
「「大丈夫か!?/ですか!?」」
「うるさっ」
「誰か居ましたよね?」
「窓が開いてる、、、、正直に言って下さい」
「別にただ眠たくなったから来ただけだっての。窓は空気入れ替える為に、、、、つうか、なんで俺がここに居るの知ってるんだよ」
保健室の窓枠に手を置く刑事1人とアルバに近づく刑事1人。アルバに近づいて尋問に近い問いをかける。
それに平然と嘘をつき、逆に何故居場所を知っているのかと言う疑問を投げかける。それを聞いて、動きを止め気まずそうな表情をしている。
その姿を見て、アルバはため息をついて脱いでいた制服の上着を手に取ってポケット内部に手を入れ、抜き取ったのは小さな機械だった。
「GPS、いつの間に付けてたんだか」
「、、、、何かあったら、の為だ」
「それで気絶させられてんじゃん」
「ッ、、、、病院に行こう」
アルバに問い詰められて、全てを話す刑事。それでもアルバの乱れた服と、強く掴まれたのが分かるぐらい痕の付いた手首を見て刑事は言い近づく。アルバの痛ましい姿を見て、何も出来なかった自分達に悔しいと感じる刑事2名。
「監視が長くなるのは覚悟しておいてくれ」
「、、、、へいへい」
刑事の言葉に軽口を叩くアルバ。若い刑事は今はこれしか出来ないと言う自分達の不甲斐なさを感じながら、アルバを立たせ来ていたスーツを上に羽織らせ保健室から出る3人であった。




