僕に出来る事をやるしかないんだ
「、、、、ハァァ」
「アルバ、大丈夫かぁ?」
「別に、、、、平気だ」
「でも、それでため息は12回目」
「監視始まって4日目。それなりに疲れてるだろ?アルバ」
「まぁな、明浩」
4日後の昼休み、警察からの監視に疲弊しているアルバとそれを励ましながらサンドイッチを食べているノアとおにぎりを食べている明浩。
警察は2人体制で少し離れた所からの監視の為、下手に行動が出来ないむず痒さと監視されているだけでのストレスで既に限界を迎えそうなアルバ。そして今日も今日とてFBIのクリスも監視している。
こんなのがまだ続くかと考えるだけで春なはずなのに全身に寒気を感じる。
「んで、お前を狙ってるのはバーンズの手下なんだよな?」
「あぁ、そうだ、ノア」
「未だに狙っていたのか、あの男は」
「いや、、、、義父さんの手筈で俺の居場所はバーンズには伝わらない様になってた。だが、何処からかそれが漏れた、と俺は考えてる」
「んじゃあさ、、バーンズにとって痛手になる様な情報を手にしてしまったアルバの親父さんに気付いて、バーンズは手下を使って殺した。そのついでに後ろ盾がなくなったアルバをまた自分の元に持って来ようって算段?」
「ノアにしては良い考えじゃないか。因みに、僕も同意見だ」
「だろうな。あの男ならやりかねない」
ノアの推理に肯定をして、弁当を食べ進めるアルバ。バーンズと言う男がどれほど自分に執着をしていて自分の手元に置いておく事しか考えてない事も知っているからだ。
あの、欲望を孕んだ瞳を思い出すだけで、吐き気を催してしまうアルバであった。
だがそれもバーンズを喜ばれるのを知っているアルバは思わずイラついてしまった。
「なんか、考えただけでイラついてきた」
「「落ち着け、落ち着け」」
「それで、アルバはこれからどうするんだ?監視付いてたら思う様に動けないだろ」
「それなら、既に手は打ってある」
「「?」」
アルバはそう言って鞄から大きな茶封筒を取り出す。その中から取り出した物を見てノアと明浩は顔を上げてアルバの方を見つめる。
それは日本にある研究施設や病院の侵入方法やパスワード、職員IDの書かれた書類だった。
警察やクリスの視界に入らない様に見せている為、バレていない。2人はとうとうやりやがったな、と言う感情で言葉を紡ぐ。
「これ何処から入手したの、アルバ」
「新達をを使った」
「今回はガチじゃんね、アルバ」
「当たり前だろ、ノア、、、、今回は本気だ」
「でも、これでどうするんだ?」
「悪鬼羅刹で死んだ人間が居ないか、その死体の解剖履歴、悪鬼羅刹の分析、などを調査をするつもりだ」
「確かにその使用者を辿れば何処から買ったとか、捌いてる奴らが分かるか」
「確かにそうじゃん」
新達とは、アルバがボス、リーダーをしている不良組織のメンバー達だ。潜入調査などが得意なメンバーが多い。
アルバの内心では、悪鬼羅刹の調査はいまだに進んでいないのが事実、この機会にやった方が早いと言う気持ちがある。
だが、今の状況下ではアルバ達3名が簡単には行動に移せる場面ではないのも事実だ。
「でも、どうやって行動するんだ??アルバは動けないでしょ?僕やノアだって目立つ行動は出来ないし」
「そうじゃん!明浩は特に!、、、、何か案があるっぽいけど」
「まぁな、、、、薫経由から新達に頼む事にはしている。今日の放課後に薫を呼び出しているから」
「そっか、、、、俺らがなんか手伝える事があったらやるからな!」
「サンキュ、ノア」
「僕もやれる事があれば言ってくれ。親友なんだからな」
「明浩もサンキュ、、、こう言う時の親友、だな」
親友という言葉が、こう言う時に役に立つんだなと心が温かくなるアルバ。その姿を見て、もっと頼って欲しい、1人で抱え込まないで欲しいと願ってしまい、悔しいと言う感情になってしまうノアと明浩の2人だった。
そんな3人の感情を表すかのように、暖かい日差しと強い風が吹く。
「え、放課後にアルバに会いに行って欲しい?」
「うん、お願いします、光」
「ちょ、頭上げてよ」
それと同時間に、高等部の方の校門で薫に呼び出された光は、頭を下げてお願いして来た薫に驚いてしまって困惑してしまう。
「光にしかお願い出来ないんだ。今のアルバには俺の声は伝わらない、、、、今のアルバを変えれるのは光だけ!!」
「でも、俺じゃなくても他のアルバのお友達とか、俺なんて全然仲良くないし」
「確かにそうかもしれないけど!」
「(確かにそうなんじゃん)」
「それでも、、、、アルバは人を極度に信用しないし頼らないんだ。だけどそんなアルバが興味を持ったのが光だったんだ」
「正直無関係な光に頼むのはお門違いだって俺は分かってる。でも今のアルバが1番心を寄せられるのが光なんだ。だからお願いします。アルバを助けて下さい」
「!、、、、分かったよ。それに、アルバは自分の身とかかえりみない所あるしね笑、そこまでお願いされたら断れないし」
再び薫に頭を深く下げられてお願いされてしまった光は結局、承諾した。
光自身もアルバの身の安全を考えているし、経った3日しか関わってきてないが、大事な友人だとは思っているからだ。
薫からお願いされた事で、光は行動する権利を与えられたと思っている。嬉しさで思わず表情筋が緩みそうになる。
「ありがとう、光。今日の放課後の中庭に行って欲しい」
「うん、薫はどうするの?」
「俺はちょっと仲間に会いに、かな」
「仲間?、、ぁ、アルバがリーダーの?」
「そう!、じゃ俺授業があるから!」
「うん、また」
薫は承諾された事で表情が緩み、嬉しそうな顔をしながら手を振ってその場から立ち去った。
光はその後ろ姿を見て、頼まれる嬉しさとアルバが何をしようとしているのかと言う考えをしながら、教室に向かうのであった。
「、、、、アルバは俺より年下なのに、俺よりも難しい世界に居るな」
初対面の時から思った年不相応な雰囲気。自分の命なんてかえりみない様な姿を見て、光は何も出来ない自分にただただ怒りが湧いた。
今の自分がアルバに受け入れられているんだったら、アルバの為に何かしたい。何かやり遂げたい。
「、、、、そう思ってしまうのは傲慢、なのかな」
「2人にはあぁ言ったものの、どうやって薫に伝えるか、、、、だな」
5時間目の体育のバスケに出ているアルバ。試合をしている姿を見ながら、バスケットボールを両手で持ちながら、放課後の事を考える。
その姿を体育館から監視している警察2名。
「(警察2人にバレない様に、伝える方法は難しい)」
どんなに距離があったとしても読唇術などでバレる可能性はある。
そうなれば、薫にまで監視もつくし動きに制限までされる。出来れば、監視解除の日までは目立った事は起こしたくはない。
「(、、、、そうなると、あの方法か)」
「!、闇雲!危ない!避けろ!」
アルバは頭の中で考えて導き出した事を実行しようと、決め顔を上げる。
すると、いきなり遠くからアルバに対して注意する様な声が届く。
その瞬間、ドンっと言う鈍い音が体育館に響く。なんと、バスケットボールがアルバの頭に当たってしまったのだ。
試合をしていた生徒の1人が手を滑らせて、アルバに当たってしまった。
「ッ」
強い衝撃に耐えられず、アルバはその場に膝をついてしまう。頭がクラクラしながら、顔を顰める。その光景を見ていた刑事2名はアルバにすぐに近づく。
「大丈夫か?」
「、、、、大丈夫、に見えるか?」
「とりあえず、保健室に連れて行きましょう」
「あぁ、掴まれ」
「、、、、」
警察官に軽口を叩きながらも、流石に強い衝撃に弱ってしまう姿を曝け出すアルバ。それを見て刑事2名は顔を見合わせてから、アルバを立たせて保健室に連れて行く。
クラスメイト達はアルバの弱った姿を見て少し動揺しながらも、体育館を出る後ろ姿を見る事しか出来なかった。
「保険医は居ないか」
「私、呼んできます」
「俺も行く。闇雲君、ジッとしているんだよ」
「分かってる」
刑事2名は出て行った事で誰も居ない保健室にアルバ1人になった。
椅子に座っていたアルバは、部屋を出て2人が遠のいて居るのを察知したら、弱って居る姿から一変して、いつも通りの雰囲気に戻った。刑事達を油断させる為にアルバは演技をしていたのだ。
それが上手くいったのにアルバは口角を上げる。そのまま立ち上がって、保健室にある棚に近づく。
「たしか、此処に包帯があったはず」
前にブルックスに連れて来られた時に、包帯が視界に入っていて覚えていたのだ。鍵が開いていた事もあり、簡単に開けて、包帯を手に取る。
手慣れた様に盗む姿に、アルバの過去が垣間見えるのは気のせいだろうか。その姿を陰から見て居るのが1人居る。
「(クリス、、、、見てるな)」
アルバは気付いては居るが何も言わないし、あっちも下手に動けない事を気付いて居る。
そこを利用して自由に動いている節があるのを気付いて、クリスはため息を付きながら下手な事をしないでくれ、と内心思いながら様子を見ている。
「とりあえず、ゲットは出来たか」
手に入れた包帯を体操服のポケットに入れ、椅子に座る。数分後保険医を連れて来た刑事2名が保健室に入って来た。椅子に座ってジッとしている姿を見て安心しているが一応問いただす姿勢になる。
「何もしていないな?」
「弱ってんのに、何か出来ると思ってんのかよ」
「、、、、そうか」
それから、椅子に座り来ていたジャージでポケットの膨らみが見えない様にしながら、手当を受ける。
治療後、6時間目の授業を受けながら刑事2名の視界に映らない死角で包帯を取り出した。
「(、、、、書ける分は書いておくか)」
「何処に行く?」
「中庭、変な動きなんてしないから疑うなよ、一々」
「、、、、変な気は起こそうとするなよ」
「へいへい」
放課後、アルバは軽口を叩きながら昇降口を出て中庭に向かう。その後ろ姿を見て少し距離を空けて着いて行く刑事2名。
この時のアルバはまだ薫が中庭に来ると考えながら、包帯の入ったポケットに手を突っ込んでただ薫が来るのを待つ。
「、、、、、、、、!、は?」
そして現れた人物を見てアルバはいつもの余裕そうな表情が崩れて、唖然としながら現れた人物、そう光を見つめる。
そんな光はアルバの姿を見てホッと安心して近づき声をかける。
「!、アルバ」
「なんで、光が此処に、薫は??」
「薫はアルバの仲間達の所に」
「ハァ???意味分かんねー、すぐ呼ぶから光は帰っ 「帰らないよ」ッ、何言ってんのか分かってんのか?光」
薫に連絡をしようとスマホを取り出そうとしているアルバをすぐに止める光。
光の真剣な声にアルバは動きを止め、光の真剣な表情を見て、本気だと感じ取りアルバ自身は深呼吸をして覚悟を決める。
「危ない事だって分かってるよな?」
「俺のせいでアルバが傷付くのは嫌だ。だから、アルバの為にやりたい!」
「、、、、、、、、ハァァ、本当お前って、お人好し過ぎるだろ」
光の真剣な表情と心からの言葉を聞いたアルバは、片手を口元にもう片手を腰に置き深いため息を付きながら、顔を下に向けて顔を赤くしながら言う。
こんな自分の為に真剣に伝える姿を見て、喜びを覚えてしまったらしい。
そんなアルバの姿を見て、馬鹿にされているのかな?と思いながら良いのか、ダメなのかの答えが聞きたくてソワソワしている光。
「(光を頼るのは申し訳ない、、、、が、しょうがないか)」
アルバはポケットに手を入れ、光に近づく。光は何も言わずに近づかれてキョトンとして顔を傾け、アルバの次の行動を待っている。
すると、空いている片手を光の後頭部に置くとグイッと自分の方に押し込んだと思ったら、唇と唇を重ね合わせるアルバ。
「!!?!?」




