守るべき者
あの事件から2ヶ月が経ち、季節も変わりすっかり春へと移行し暖かさが目立っているとある朝。
闇雲アルバは養父の残したデータの一部を手に持ち、通っている学校の制服を着崩して元気良く校門を通って行く生徒達を眺めていた。
中学生とは思えないルックスとその185cmと言う身長もあり、アルバは校内では有名であるのは本人も容認している。
見惚れている生徒達の視線など気にもせず、生徒達の顔を確認する。
その視線は冷静で集中している。だがそんなアルバの意識を乱す2人の影がアルバに近づく。それに気づかないほどに集中している。
「、、、、チッ、今日も居ないか」
「アールバ!何してんだ?」
「教室に居ないと思ったらこんな所に居たのか」
「!ノア、明浩」
それは左側から現れたのはアルバの親友でありアルバより年上の高1でイギリス系のアメリカ人で緑に染めた髪に褐色肌で少しヤンチャ系だと感じる顔立ちをしたノア・ケリー。
そして右側から現れたのはアルバの1つ上の中3で中国人のハーフで綺麗な黒髪に白い肌に眼鏡をかけて整った顔立ちをした白明浩だった。
2人はアルバの肩を掴んでその手に持って居た紙を見つめる。
「まだ探してんのか?お前と同様に狙われてるっつー奴」
「そうだ。義父さんが言うには俺と同じ学校に通っているって言っていたからな」
「でも中等部にこんな子見た事ないし、ノア知らない?」
「え?うーん、、、、見た事あるような、ないような」
「「どっちなんだよ」」
「酷くね?!」
「曖昧な答えは今、アルバは求めてないから」
「明浩が言うなよ!」
そう軽く揉めているノアと明浩の2人を気にせず、紙を見つめるアルバ。
義父さんが出来なかった分、自分が陰から守らないといけないと言う気持ちが抱えている表情をしている。
それを見たノアと明浩はアルバの気持ちを察して、眼を合わせて目だけで会話をしたのか頷いてからまたアルバを挟み言葉を発する。
「大丈夫だって、何かあったら俺らが助けるし」
「そうそう、僕達の組織も協力するんだし、安心して欲しいな」
「ノア、、、、明浩、、、、」
元イギリスマフィアの祖父を持ち、不良組織のリーダーをしているノアと中国系マフィアのボスをしている明浩の2人の言葉を聞いたアルバは一瞬驚いた顔をするが、すぐに少し呆れとだが嬉しそうな顔をする。
だが、すぐにその表情が崩れる発言をするノアと明浩。
「それに、目を離した隙に自己犠牲するし、俺らが見てないと危ない危ない」
「勝手に命かけられる僕達の気持ちも考えて欲しいよね、本当」
「、、、、、、、、命なんて滅多にかけてない、し」
「「どの口が言う」」
2人の言葉に図星だったのかアルバは顔を背けながら言う。その表情は年相応と言った所だ。
親友の前だと、精神的にも年相応に戻れるらしい。
それを見たノアと明浩は嬉しそうにしており、安心した表情を浮かべて会話を続ける。
「それに俺らだってお前の問題を解決したいんだしさ」
「僕達はアルバの親友だからね。ちゃーんと協力するよ」
「、、、、ありがとう、2人とも」
「「、、、、アルバが俺/僕に感謝!!?!?」」
恥ずかしいのか顔を少し赤ながら言ったアルバの言葉に、少し間を開けてから目を見開いて叫ぶノアと明浩。
その反応にアルバは嫌な顔をして一歩後ずさる。
滅多に人に感謝や素直に気持ちを伝えないのが仇になったと思っているらしい。
ノアと明浩はその様子を見て、少しニヤついており、本気で言った訳ではなく親友同士で会話だと伺えれる。
「そんなに俺は感謝を口にしないのかよ!!チッ、もう行く」
「「冗談だって!」」
拗ねてしまったアルバはぷんぷんさせながら2人の元から立ち去る。
それを見て笑いながら、追いかけるノアと明浩。その2人を押すかのように、春風が吹き桜の花びらが辺りに舞うのであった。
それから数時間後、放課後の時間になり帰宅する生徒達がまばらになって来た頃、大雨とも呼べる雨が降って居た。
「うわっ、予報よりヤバくね?」
「傘持って来といて良かったね、、、、アルバ?」
傘をさして、昇降口から出ようとしているノアと明浩。
傘をささずに立ち止まっているアルバを見て明浩は不思議そうに話しかける。
が、雨粒が地面に弾ける音が大きく、アルバには届かなかった。
アルバの視線の先に居たのは、ノアと同じ高等部の制服を着た少し幼さが残り可愛い系の顔立ちの黒髪で腰まで伸びた髪をポニーテールをした日本人の少年だった。傘を忘れたのか、雨の様子を見ながら昇降口で立ち止まっている。
その顔を見て雨の音など気にしないほどに、少年の顔に見つめていたアルバ。
「(あの顔、、、、まさか)」
「アルバってば!どうしたの?」
「!、いや、何でもない。帰ろう」
「?、うん」
「2人とも早く帰ろうぜ」
少年の顔を見てアルバは何か思う事があったが、その考えの前に明浩に肩を掴まれて声を掛けられた。
アルバはすぐに返事をして、傘をさして2人と一緒に少年に背を向け歩き始めた。
雨粒が傘に弾けその中でもアルバは先ほどの少年の事を考える。
この2ヶ月間、ずっと見続けたデータにあった写真。アルバはその写真を頭の中で、思い出す。
「(義父さんが残してたデータに写ってた子に似てた、よな)」
「やっぱり、帰りハンバーガー屋行かない?」
「良いけど、ノア食べ過ぎたりするでしょ。ポテトとか、、アルバはチキンナゲット好きだよね?、アルバ?」
「(もしかしたら、、、、)」
「?アルバ〜?どうした?」
「何足止めて、」
「ごめん、ちょっと先行ってて」
「は?何言って」
「ちょっ、!」
ノアと明浩の会話に入らず、頭の中で考え事をして居たアルバは立ち止まったがすぐに2人に誤りを入れて背を向けて先ほどの少年の元に向かった。
それを見て動揺するノアと明浩が止める前に、既に姿がなかった。2人の心情は同じでどうした?と言う気持ちだった。
そしてアルバは、昇降口につき、顔を下に向けている少年に傘をさす。
「?」
傘で影になったのに気づいたのか、顔を上げる少年。目の前に立っている自信より15cm以上高いアルバを見て驚く顔をする。内心は誰?と言う感情と綺麗な顔をしているな、だった。
「えっと、、」
「この傘使って良いよ」
「え?でも」
「他に入れてくれる人居るから、、、、それに、放って置けないし」
「ありがとう、、、、ん?」
アルバの拒否などさせるものかと言うオーラに断りきれず傘を受け取る少年。
その少年の視界に入ったのが、懐でその懐にある物を見て困惑の表情をする。そこに有ったのは、まさかの拳銃であった。これは養父が持っていた拳銃の1つである。
拳銃だと気づいた少年は固まり、雨音が静寂を壊すかの様に降る。
「?、、、、ぁ、ヤベっ」
アルバは少年の視線に気づいたのか、焦った表情をして拳銃を隠そうとするが、明らかに遅いのが分かる。
怖がられたか?と思うアルバだがアルバの心配を他所に、少年は目を輝かせながら話しかける。
「ぁ、あの、それ拳銃、だよね?」
「そうだけど、、、、絶対誰にも言うなよ」
「うん、言わない。だから、その、、、、触らせてくれない?」
「え、」
まさかの触らせてと言う言葉に驚くアルバ。少年は怖さなどないのか、ワクワクしながらもお願いをする。その内心は触りたい、構造を知りたいと言う興味からで、怖さなどは感じてないと分かる。
その反応にアルバは少し警戒していた心がゆっくりと解かれるているのに気づいてない。
2人の心と肉体の距離が段々と近づいて行く。
「良いけど、気を付けろよ」
「うん、ありがとう」
「ほらよ」
アルバはそっけないが、少し興味深そうにしながら懐から拳銃を取り出して少年に手渡す。その声はいつもより声色が優しい。
少年は拳銃を丁寧に受け取り、上にあげて眺めたり形を手で確認する。
「こう言う構造してるのか、、」
「、、、、」
「触らせてくれてありがとう、綺麗にしてるから大事にしているんだね。このことは誰にも言わないよ」
少年は少し触って満足した様な表情をして納得したのか、拳銃をアルバに手渡す。拳銃の構造を知れたのが余程嬉しかったらしい。
アルバは少年の接し方に少し動揺してしまったのか、気が動転しているのを隠そうとする様に言葉を紡ぐ。
それを見抜いているかの様に雨の降りが大人しくなる。
「アンタ、怖くねーの?拳銃とかあって」
「怖くないよ。だって、君にとってはこれは大切な物なんでしょ?それに、俺拳銃は見慣れてるし」
「!、、、、なんか、調子狂う」
少年の純粋で汚れのない花の目に見つめられて言われたアルバは赤くなった顔を見られない様に背ける。
こんな反応をする人が周りに居なかったのもあるが、普通に怖がられないのが嬉しいのが分かる。
少年は少年で何でこんな少しカッコつけて居るんだろうか?と考えている。怖さなどは1つも感じておらず、他に考えている事と言えば綺麗な顔だな、ぐらいだ。
そんな2人の時間を壊すかの様に、少し離れた所から声をかけられる。
「光様!お迎えにあがりました」
「!」
「知り合いか?」
「ぁ、うん。俺の護衛、、じゃあ俺行くね?傘、使わなかったけど、貸そうとしてくれてありがとう!じゃあね!」
「ぁ、あぁ」
少年の名は光と言うらしく迎えに来た護衛の元にリュックで頭を隠してからアルバにお礼と別れを言って立ち去った。長い髪を揺らし、風の様に立ち去る姿に一瞬アルバは目を奪われた。
アルバは一瞬の事で少し反応に遅れるが返事をする。
アルバが気付いた時には、少年こと光は居らず、冷静になったアルバは思い出した。彼の名前と彼の顔を思い出した。
その瞬間、傘を持っていない右手で口元を押さえて、ニヤリと笑みを浮かべる。
「、、、、やっぱり、か」
「ぁ!いた!」
「何やってたんだよ」
「いた」
「「ハァ?」」
急に立ち去ったアルバを追って来たノアと明浩に声をかけながら近づかれる。
だが、そんな2人の言葉に返事をする前にアルバの言葉にまた驚かされる。
そう先ほどの光と言う少年こととある日本のトップの極道の組長の養子である終夜光はアルバ同様に世界中から狙われた者であった。
それに気付いたアルバは嬉しさのあまり、笑みが溢れ出ている。
「へぇ、、、、ちゃんと守らないと、だな」
「「????」」
アルバの言葉が理解出来ないノアと明浩を他所に、1人頭の中でこれからの事を考えている。
それがアルバの感情を表しているかの様に、雨が止み太陽が出て来た。
これが、人生を賭けお互いの命を守り合う生涯の親友とで会った瞬間だったのはお互いにまだ気付いて居なかった、、、、。




