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僕らの物語〜シェル編〜/クアッカワラビーの旅×チャットGPT

作者: 昼月キオリ
掲載日:2025/12/01


海の匂いが混じった風が、シェルの髪を揺らした。

歩き慣れた島の小道を抜けると、桟橋の先に青い海が広がっている。


「クゥ、準備できてる?」


背中のリュックに声をかけると、中からぽすっと柔らかいものが動いた。


「きゅっ!」


顔を出したのは、いつも笑っている小さなクアッカワラビー──クゥ。

シェルはまだ十代半ばの人間の少年で、クゥは彼が拾った唯一の旅の相棒だ。


「今日から、いよいよ本当の旅だね。島を出るなんて初めてだよ」


「きゅっきゅ!」


クゥはやる気満々で、シェルは自然と笑った。


リュックの中にすっぽり入ったまま、

クゥは期待で尻尾をちょこんと揺らしている。


「でもさ……本当に大丈夫かな。僕、地図も作ったけど、完璧じゃないし……」


不安を漏らした瞬間、リュックの中からクゥが前足でシェルの背中をぽんぽんと叩いた。


「……そうだよね。行ってみなきゃわからないよね」


思わず笑顔が戻る。


シェルは小さな船に乗ろうと桟橋へ向かった。

そのとき──。


ぱさっ。


「えっ……!? 地図!!」


慌てて振り返ると、シェルの大事な自作の地図が風にさらわれ、ひらひらと海へ落ちていくところだった。


「うそ、待って! あれがないと……!」


追いかけるシェルの腕から、クゥがぴょんと飛び出した。


「きゅっ!!」


クゥは驚くほど素早く砂浜に降り、海に入るギリギリの地図へ跳びついた。

波に飲まれる前に、小さな手でぎゅっと掴んでいる。


「クゥ!! 危ないよ!」


シェルが抱き上げると、クゥは得意げに胸を張った。


「……ありがとう。君がいてくれて、本当に良かった」


シェルは濡れた地図を優しく撫で、クゥの頭をそっと触る。

クゥは満足そうに目を細めた。


そのとき、空から声がした。


「いいコンビだね、君たち」


見上げれば、白いカモメが羽をたたんで降りてきた。

名をアルトという、旅人を導くと噂の鳥だ。


「地図は助かったみたいだけど、それがなくても旅はできるよ。シェル。そしてクゥ」


「え……僕たちの名前、知ってるの?」


「風はなんでも運んでくれるからね。君たちの旅、少し興味があってさ」


アルトは翼を広げ、潮風を受けてふわりと浮かぶ。


「最初の目的地は“風の渓谷”だ。虹が道を開く、不思議な場所。案内してあげようか?」


シェルはクゥと目を合わせた。


「行こう、クゥ。僕らの旅が……本当に始まるんだ」


「きゅっ!」


クゥはリュックの中にちょこんと戻り、しっかりと顔をのぞかせた。


風がそっと吹き抜け、二人と一羽の前に広い世界が開けていく。

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