僕らの物語〜シェル編〜/クアッカワラビーの旅×チャットGPT
海の匂いが混じった風が、シェルの髪を揺らした。
歩き慣れた島の小道を抜けると、桟橋の先に青い海が広がっている。
「クゥ、準備できてる?」
背中のリュックに声をかけると、中からぽすっと柔らかいものが動いた。
「きゅっ!」
顔を出したのは、いつも笑っている小さなクアッカワラビー──クゥ。
シェルはまだ十代半ばの人間の少年で、クゥは彼が拾った唯一の旅の相棒だ。
「今日から、いよいよ本当の旅だね。島を出るなんて初めてだよ」
「きゅっきゅ!」
クゥはやる気満々で、シェルは自然と笑った。
リュックの中にすっぽり入ったまま、
クゥは期待で尻尾をちょこんと揺らしている。
「でもさ……本当に大丈夫かな。僕、地図も作ったけど、完璧じゃないし……」
不安を漏らした瞬間、リュックの中からクゥが前足でシェルの背中をぽんぽんと叩いた。
「……そうだよね。行ってみなきゃわからないよね」
思わず笑顔が戻る。
シェルは小さな船に乗ろうと桟橋へ向かった。
そのとき──。
ぱさっ。
「えっ……!? 地図!!」
慌てて振り返ると、シェルの大事な自作の地図が風にさらわれ、ひらひらと海へ落ちていくところだった。
「うそ、待って! あれがないと……!」
追いかけるシェルの腕から、クゥがぴょんと飛び出した。
「きゅっ!!」
クゥは驚くほど素早く砂浜に降り、海に入るギリギリの地図へ跳びついた。
波に飲まれる前に、小さな手でぎゅっと掴んでいる。
「クゥ!! 危ないよ!」
シェルが抱き上げると、クゥは得意げに胸を張った。
「……ありがとう。君がいてくれて、本当に良かった」
シェルは濡れた地図を優しく撫で、クゥの頭をそっと触る。
クゥは満足そうに目を細めた。
そのとき、空から声がした。
「いいコンビだね、君たち」
見上げれば、白いカモメが羽をたたんで降りてきた。
名をアルトという、旅人を導くと噂の鳥だ。
「地図は助かったみたいだけど、それがなくても旅はできるよ。シェル。そしてクゥ」
「え……僕たちの名前、知ってるの?」
「風はなんでも運んでくれるからね。君たちの旅、少し興味があってさ」
アルトは翼を広げ、潮風を受けてふわりと浮かぶ。
「最初の目的地は“風の渓谷”だ。虹が道を開く、不思議な場所。案内してあげようか?」
シェルはクゥと目を合わせた。
「行こう、クゥ。僕らの旅が……本当に始まるんだ」
「きゅっ!」
クゥはリュックの中にちょこんと戻り、しっかりと顔をのぞかせた。
風がそっと吹き抜け、二人と一羽の前に広い世界が開けていく。




