腕前が良いジェルズだった
私はジェルズについて行き、二ヶ所目の池へと赴いた。
道中に影狼という魔物に襲われたが、評判通りにジェルズが私に傷を負わせずに無事に追い払ってくれた。
「メグリさん、樹の影に隠れててくれ!」
影狼が姿を現し、咄嗟に鞘から長剣を抜き、身体の前で構えたジェルズ。
「「「ガルルルッッ!!」」」
巨体というほどではない影狼が威嚇して、襲い掛かった。
影狼がジェルズに襲い掛かると同時に長剣を振り、斬り掛かった。影狼に傷を負わせた。
斬られなかった残りの影狼が食い掛かろうとした影狼が口を開けながら来たのを長剣の刃に噛ませ、もう一匹の影狼にぶつけた。
「おりゃーーッッ!!」
「「キャァンンッッ!!」」
可愛い高い鳴き声をあげ、二匹の影狼が地面に倒れた。
仲間の影狼が倒れ、斬られた影狼が逃げ去った。
「はぁー、もう少し戦わなきゃならないかと思ったが逃げてくれて助かった」
ジェルズが深い息を吐いて、感想を独りごちた。
「もう出ていっても良いですよね?」
「あぁ、もう出てきて良いぞ。さぁ、急ごう……ごほごほ」
二ヶ所目の池は少し大きかった。
池の縁に屈んで、池の水に手を漬けて、スキルを叫んだ。
「【浄水】、【浄水】、【浄水】ーーっっ!!」
黒く濁った水が、池の底まで見えるような綺麗な水になった。
脳内で鐘の音が聞こえた。
カーンカーン、と鐘が鳴り、またアナウンスが聞こえた。
〈葛西巡璃のスキル【浄水】が上がりました〉
〈スキル【浄水】がレベル4になりました〉
「あんた、ほんとすげぇよ!どうしたら、あんな濁った池の水を——」
「もう一ヶ所あるんですよね。先を急ぎましょ、夕方までには帰りたいので」
「あぁ……そうだな、夜は強い魔物が出るかもしれん。急ごう」
三ヶ所目の池までの道中はゴブリンの群れに出くわした。
ゴブリンに囲まれたジェルズは今度は流石に危ないかと思ったが、棍棒で顔を殴られた傷だけが見えただけで大したことはなかった。
「お前らに倒されるほど、弱ってねぇのよぉおおっっっ!!!」
ジェルズが長剣でゴブリンたちを薙ぎ払い、一体ずつに3回斬り掛かって倒していく。
私は茂みから出て、ジェルズに歩み寄って回復薬を渡した。
「はい、回復薬です」
「ありがと。ごくごく……さぁもう少しで三ヶ所目の池だ。急ごう」
三ヶ所目の池でも【浄水】を行い、サウラインスに戻ってきた。
帰る道中は魔物に遭遇せず、無事に戻れた。
冒険者ギルドに赴いて、受付嬢から報酬を受け取れなかった。
5日以内に騎士団を三ヶ所の池に派遣し、昔のように綺麗になっているかを確かめてから報酬が貰えるらしい。
ジェルズに金貨3枚を渡し、ジェルズとは別れ、宿屋に帰った。




