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いざ、池を【浄水】しよう!

 私はサウラインスに到着して、宿屋で一泊して一日が過ぎた。

 それにしても空気が悪すぎる。

 窓を眺め誰も歩いてない大通りを見下ろす。

 早朝だから、という理由だけではない。空気が汚れ過ぎているから、誰も見掛けない。

 宿屋のおかみさんに此処がどうしてこうも汚染されているのか聞いた。

 20年以前に魔王の幹部が此処を荒らして、汚染までしていったというのだ。

 迷惑なことだ、此処に住む者たちからすると。

 それにしても、あのスニエスにいた玉座に座っていた王様は嘘はついていなかったのか。

 私たちを召喚したスニエスが、他国を攻めるためのアレではなかったらしい。

 おかみさんは此処に長く住んでいそうだったが、冒険者ギルドに赴くのだ。冒険者ギルドの受付嬢に聞けば一気に済む。


 私は宿屋を出て、冒険者ギルドに赴いた。

「おはようございます。今日はどういった用件でしょうか?」

「おはようございます。サウラインスは空気が汚染されてますが、汚染された池や湖はありますか?」

「この通り空気まで汚染されていますので、汚染された池や湖はあります。ユムツに汚染された池が三ヶ所、ピーエネースに大きな湖があります」

「その池や湖に浄水を行ってほしいという依頼は出されてますか?魔物は出ますか?」

「依頼は出されています。金貨10枚からといった報酬で。魔物は出るか定かではありません、この有様ですので冒険者が探索に向かうこともなくわかっておりません」

「そうですか……サウラインスで腕利きの冒険者はいますか?いたら紹介してほしいんですが」

「このサウラインスで腕利きの冒険者ですか……いるにはいますが万全の冒険者ではないですがそれでも紹介しないと——」

「それで構いません」

「承知しました。少々お待ちください」

 受付嬢が奥に消え、2時間も経過した頃に受付カウンターに姿を現した。

「冒険者が直ちに来ますので、それまでお待ちください」

「はい」

 私は受付カウンターから離れ、依頼書が貼られたボードを眺めた。


 咳き込む中年男性の物音がして、冒険者ギルドの扉の方へ顔を向けた私。

「メグリさん、腕利きの冒険者の一人ジェルズさんがそちらの方です」

 私は扉に身体を預けて近づいて来ないジェルズに歩み寄って、挨拶した。

「メグリです。護衛を依頼したいです、よろしくお願いしますジェルズさん」

 私は片手を差し出す。

「ジェルズだ、メグリさん……だっけか?老いぼれだが、やれるだけやる。よろしく」

 私とジェルズは握手を交わし、挨拶を終えた。


 冒険者ギルドを後にして、徒歩でユムツにある池へと赴いた。

 5時間は歩いた。


 樹々を掻き分け、進んでいくと池が見えてきて、触りたくないほど黒く汚染された池だった。

 魔物は現れず、拍子抜けした。

 池の縁に屈んで、汚染された黒い水に片手を触れ、スキルを叫んだ。

「【浄水】、【浄水】、【浄水】ぃぃーーッッ!!」

 池の水が先程の汚水とは違った飲めそうなほど綺麗な水へと浄水されていった。

「おぉぉーー!!昔の池へと戻った。すげぇぇなぁぁーー!!!」

 カーンカーン、と脳内で軽い鐘の音が鳴り、アナウンスが聞こえた。

 〈葛西巡璃のスキル【浄水】がレベルアップしました〉

 〈スキル【浄水】がレベル3になりました〉

 アナウンスが聞こえなくなり、私は呟いた。

「レベル3か……これで」

 私は立ち上がり、まだ驚いているジェルズを促し、次の池へと赴いた。

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― 新着の感想 ―
そうか中年差し掛かると冒険者って職業がら老いぼれレベルになるのか
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