蜂蜜喰い熊の追い払い
私達は、リエルスに到着した翌日に宿屋にテリスを置いていく。
冒険者ギルドで受注した依頼は、果樹園に入り浸っている蜂蜜喰い熊を追い払うというものだ。
テリスにもしものことがあればいけないということで、プラウクトとザリュシュがテリスの護衛で宿屋に待機してもらった。
蜂蜜喰い熊を退治ではなく、追い払うのが依頼だ。
私は魔法が使えないので、魔法が出せる魔晶石という水晶みたいな玉を幾つか買って、蜂蜜喰い熊が入り浸っている果樹園があるアーベレという地区に赴いた。
りんごみたいな赤い果実が樹にいくつも成っていた。
金色の毛に覆われた熊を見かけたが、襲ってくる気配はなかった。
作業着を着た経営者に詳細を聞いた。
蜂蜜喰い熊の追い払いを始めたクストとシルティ、私だった。
経営者が用意した蜂蜜がたっぷり入った瓶をクストが抱え、果樹園の外に蜂蜜が入った瓶を置いて、こちらに気を逸らす。
「おい、蜂蜜喰い熊!おまえの好きな蜂蜜が此処にあるぞ!」
クストの声に反応した蜂蜜喰い熊がのそのそと立ち上がり、歩いてきた。
蜂蜜喰い熊が歩きながら、私達を睨んできた。
蜂蜜喰い熊が蜂蜜の入った瓶が置かれたところまで来て、座って、瓶を掴んでそのまま飲んでいく。
蜂蜜喰い熊が果樹園に戻らないか見守る私達だった。
蜂蜜喰い熊が、瓶に残った少量の蜂蜜を食べる為に瓶を投げて割った。
蜂蜜喰い熊が蜂蜜を食べ終わると立ち上がり、果樹園に戻ろうとしたので、シルティが氷の鎖を出現させ、足止めをした。
「氷バインド!!」
シルティが出現させた氷の鎖では足止めできず、壊されてしまった。
私は魔晶石を取り出し、氷の鎖が出るように叫んだ。
「氷バインド!!」
私の掌にあった魔晶石がバリッと砕けて、使えなくなった。
「メグリさん、ありがとう」
クストがお礼を告げ、長剣を構えて、蜂蜜喰い熊と戦いだした。
クストが大怪我を負いそうになると、蜂蜜喰い熊の攻撃を最小限になるように支援した私とシルティだった。
私の支援は12回して、魔晶石が12個も壊れた。
私達3人は蜂蜜喰い熊を果樹園から追い払えた。
なんとか依頼を終えれた。
冒険者ギルドへ向かった。
街全体が、赤レンガで出来ているので眼が疲れる。
噴水だけが白くてなんだかなぁ、と思う。
冒険者ギルドに脚を踏み入れ、受付カウンターに歩み寄った。
受付カウンターに依頼書を提出し、報酬を受け取る。
受付カウンターから離れようとした刹那、低い男性の声が私達を呼び止めた。
「おい、おまえさんらが新しく来た奴らか?」
「ええ、そうですけど。何か?」
「俺らは《サザンクロス》っていう冒険者パーティだ。アルデバランだ。暇なら相手してくれ」
「そういう気はないんです、私ら」
クストとシルティが、割り込む前に終わらせた。
アルデバランと名乗った兜を被った上裸に袖のない緑のベストを着た男性冒険者は、無駄に絡んでこなかった。
この冒険者パーティも日本人と関わりがあるのか?
そう疑問を抱いて、顔が曇った。




