ティークルスを発つことに
私はジェルズと言い争いをした。
ジェルズが妻のリリヤを教会へ連れて行き、病を治してもらった後のことである。
私はリリヤとクチェーリスの意見を聞くことなく、テリスを連れて冒険者ギルドに赴いた。
冒険者ギルドに脚を踏み入れると、《雪の層》のプラウクトの姿が目にはいって、近づいていった私。
「プラウクトさん、良いところに。あの私達、ティークルスを発つことになって。《雪の層》は護衛って請け負ってくれませんか?」
「メグリさん。ずいぶんと急いでますか?」
「まあ、そんな感じです。ははは……」
引き攣った笑い声を漏らした。
「訳アリみたいですね。行きたいとこは決まってますか?」
「いやぁそれがまだ決めてなくて……」
私は後頭部を掻きながら、返答した。
「そうですね……リエルス方面なら良いですか?」
依頼書が貼られた掲示板から1枚の依頼書を剥がして掴んで聞いてきたプラウクトだった。
「リエルスですか……あぁここか。はい、お願いしても」
「わかりました。仲間達に知らせてきます。1時間後に馬車停で集合しましょ」
「はい。ありがとうございます。依頼料は——」
「集合したときにで良いですよ」
プラウクトはそう言って、走って冒険者ギルドを出ていった。
「メグリさん、おじちゃん達とはバイバイ?」
「そうだよ。シルティお姉さんの仲間達と新しいとこへ行くの」
私はテリスに同じ目線になるように屈んで返答した。
「そっか。寂しいけど我慢する。バイバイ言いに行かなきゃ」
「そうだね」
私はテリスと手を繋ぎながら、宿屋に戻った。
ジェルズとリリヤ、クチェーリスの3人に別れの挨拶を交わして、宿屋を出た。
馬車停に赴いたが、まだ《雪の層》の面々はおらず待った私とテリスだった。
約束をしていた時間の5分前に《雪の層》の全員が姿を現した。
クストが改めて挨拶をしてくれた。
「メグリさん、テリスちゃんこれからよろしくね」
「皆さん、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
私に続いてテリスが頭を下げて挨拶をした。
私とテリス、《雪の層》の面々はリエルス方面に向かう馬車に乗り込んだ。
シルティが疑問を投げかけてきた。
「メグリさん、ジェルズさんとはどうして別れることに?」
「ジェルズさんには奥さんがいて、奥さんに重きをおいた意見で少しの間ティークルスに滞在するっていうのでね。まあ、深くは突っ込まないでくれると嬉しいなー」
「そ、そうですか。はい……」
ザリュシュは何も聞いてこない。
馬車は面倒ごとに巻き込まれることなく、進んでいく。




