成ったのは
私は《五恐指》のアジトではない洞窟内で起床した。
呼吸が荒い。
「ハァハァハァハァ……あの日の夢か、また……」
私は上半身を起こし、こめかみを人差し指で押さえ、呟く。
私が産まれた村が、全焼して生き残ったのは私だけだった。
悲しむ余裕なんて無かった。
普通に歩ける力なんて入らず、地面を這って村を出ようとした私。
村の前で、能面の表情が分からない少女が佇んでいた。
佇む少女は革靴などの履き物を履いておらず、裸足でいた。
少女の脚は、大人に虐待されているには傷が無い真っ白な脚だった。
少女は腕を露出させ、膝から下の脚を露出したシルクのような白い布を纏わせただけの姿だった。
「……なんだ、生き残りがいたのか。運が良い……いや、キミにとっては運が悪いか。生き続けたいならコレを受け取りなさい」
シルクのような白い布を纏っただけの少女に見える生物が掌サイズの白い木箱を投げてきた。
私は、顔の前に落ちた掌サイズの白い木箱に触れる前に聞いた。
「こんな物が無くても生きていけるんじゃ——」
「この世はそんななまぬるいモノじゃない。開けてみろ」
「でも——」
「それを開ければキミの望む世界に生きれるぞ。さぁ、開けろ」
私の望む世界を生きれる。
私の望む世界ってこの少女みたいな生物に判るのか?
私は少女が投げた白い木箱を掴み、痛い喉で唾を飲み込んでから、恐る恐る木箱を開けてみる。
白い木箱の中には綿が詰められており、紫色の玉がひとつ入っていただけだった。
「少しだけ苦しいがそれを耐えれたら、キミの望む世界を生きれる」
少女が言い終わると勝手に口が開いて、蛇のような太いものが体内に入ってくる感覚があり、身体をばたつかせ、死にそうな苦しみを生きたい生きたいと願いながら耐えた。
心臓が潰されたような痛みを味わい、苦しみが終わると少女が一着のローブと分厚い本を一冊投げてきた。
「死なずに済んで良かったな、ヴェリュ」
少女が吐き捨てるように言ってから立ち去った。
私は名乗っていないのに、はっきりと銀髪の少女が言った。
私は一着のローブと分厚い本を持って、立ち上がる。
喉の痛みがいつのまにか引いていた。
「強引だったな、さっきの奴。なんだこれは……」
私は分厚い本を開いてみる。
分厚い本の中は白紙の頁が何百頁も続いた。
分厚い本を確認していると睡魔が襲ってきて、抗えずその場に倒れて、寝息を立てた。
私がこのような流れで、《五恐指》の幹部に成ったのだ。
私が起きた数分後に部下の一人が寄ってきた。
「御気分が優れないのですか?お水です」
部下が握っていたコップを受け取り、水を一気に呷る私だった。
「本日はどのような任務でしょう?」
「今日は——」
ベッド代わりにしていた岩から降りて、歩き出したヴェリュだった。




