初代ユバス王国国王視点 聖女の秘密を教えてもらいました
パシーン!
俺は何かの音を聞いた。
この音を聞くのは、昔学校をサボって悪ガキ等とつるんで遊んでいたときにお袋に見つかって張り倒されたとき以来だ。
パシーン!
再度リ俺の頬がなった。
誰かが俺の頬を張っているらしい。
「ちょっとアレクシス、目を覚ましなさいよ」
この声は聞き覚えがあるぞ。
でも、誰の声かすぐには思い浮かべられなかった。
パシーン!
俺の頬を激痛が襲った。
「ナ、何しやがるんだ!」
俺は目を開けた。
「良かったわ。あなたが目を覚まして。本当にもう死んだのかと思って。本当にものすごく無理してあなたを助けてあげたのに、死んでしまったらこれまでの努力が無駄になるところだったじゃない!」
なんかピンク頭は怒っているが、頬を散々張られたのは俺だ。ここは怒っても良いか?
俺は頬を押えて、俺はなんとか起き上がった。
そして、目の前の女に文句を言おうとして俺は目を見開いた。
そこには桃色の髪の毛は少し変わっていたが、惚れ惚れするようなきれいな顔立ちの女がいた。
「何をほおけているのよ! アレクシス、起きたのならば早速働きなさいよ」
女はしかし性格は悪いみたいだった。
「働くって一体何をすれば良いんだ?」
俺が取りあえず聞くと、
「久々に固形食じゃなくて、ちゃんとした食事が食べたいわ」
女は好きなことを言い出してくれた。
普通は自分が散々頬を張った俺にまずは謝る事から始めるべきだと思ったのだが、女が美人だったので、取りあえず俺は怒りを収めることにした。
「で、料理って食材はどこにあるんだ?」
俺は自炊したことがあって少しくらいなら料理は出来る。その女に野菜や肉がどこにあるか聞いた。
「食材って何よ? このチューブを渡せば良いの?」
でも、女はビタミンとか書かれたチューブを渡ししてくれた。
「はああああ? 何だ、これは?」
俺は呆れていた。
その他にも栄養素のチューブはあったが、食材らしいものは全然無かった。
「あなた料理が出来ないの?」
「出来る出来ない以前に、このチューブを造る元はどこにあるんだよ?」
「えっ、これは命じれば機械が勝手に作ってくれるわよ」
俺の言う事と女の言う事は全くかみ合わなかった。
取りあえず、俺はそのチューブを適当にもらって食べたが、全く食べた気がしなかった。
人類が初めて宇宙に行ったときの宇宙食がこんな感じじゃなかったのかと思ってしまった。
まあ、取りあえず、歯磨きのチューブみたいなものから適当に食べて無理矢理腹を膨らませた。
「で、君は誰なんだ?」
なんとかチューブで腹一杯になった俺はやっと少女に尋ねられた。
「私はエレオノーラよ。先史文明の生き残りね」
「そうか、エレオノーラって言うのか! で、エレオノーラちゃんは先史文明の生き残り? 生き残りっなんだ?」
俺は改めてまじまじとエレオノーラを見た。
確かにピンクの髪なんて人類にはいない。染めていたんだと思っていたんだが、先史文明の生き残りなら、ピンクの髪の毛の女がいるのも理解できた。
「そのままよ。私達は人類よりも25万年年くらい前にこの宇宙を治めていたのよ。私はその先史文明の最後の生き残りよ」
「で、先史文明の生き残りの君が何故私を助けてくれたんだ?」
素朴な質問をすると、
「私が助けようとしたのはトーマスよ。10年前に彼はあと少しでこちらに来れたのにわざわざ戻っていったのよ。今回はこちらに少しでも近付けば強引にこちらに引っ張ろうとしたのよ。貴方たちの乗った船が見えたので、強引にこちらに引っ張ったのよ」
「強引に引っ張ったってどうやってやったんだ? 普通はそんなことは出来ないだろう?」
俺が聞くと
「私は先史文明の生き残りなのよ。人類みたいな遅れた文明じゃないんだから出来るに決まっているじゃない」
なんでも、エレオノーラは15歳の時に祖母が亡くなり先史文明の最後の一人の生き残りになったそうだ。そこで、タイムスリープの中に入って別の文明人が来たら起きるように設定していたらしい。
「じゃあ、君はユバスに会ったのか?」
俺はこの星を発見したユバスのことを聞いてみた。
「そんな人のことは知らないわ。私が知っているのはトーマスがこの宙域に入ろうとした10年前よ。でも折角私が起きたのに、トーマスは戻って行ったのよ。
それから10年間は本当に暇だったわ。私は外宇宙の情報を集めてこの地に来させるように色々と手を打ったんだけど、人類って本当にどうしようもないヘタレね。こんな単純な暗黒雲を突破できないなんて。本当に貴方たちを待っているうちに私は25歳になってしまったじゃない。今回もトーマスが再び戻って行ったらどうしようと本当にハラハラしたわ。強引に引っ張ったら船が空中分解してしまって慌ててトーマスだと思って捕まえてこの星まで引っ張って来たらあなただったのよ」
「で、俺を助けてどうするつもりなんだ?」
俺はストレートに聞くと何故かエレオノーラは顔を赤くしてくれた。
「そんなの、あなたを助けのは召使いにするために決まっているでしょ。命を助けてあげたんだから取りあえず、私のために働きなさいよ。アレクシス。判っていると思うけれど、私に逆らったら即座に暗黒流の中に放り込んであげるんだから」
エレオノーラはきっと私を睨み付けてそう言ってくれた。
エレオノーレが行ったことは本当で、その後やってきた海賊は瞬時にエレオノーラの怒りで暗黒流の藻屑と化していた。約束が違うと攻め込んできた帝国の艦隊もあっという間に殲滅してくれた。
エレオノーレはどうやら、暗黒流の流れも自由自在に変更できるみたいだった。
いやそれどころか、この星の気候を変えることや、物を浮かすことも、山を自由に作り出すことさえ何でもないようにやってくれたのだ。
俺達が結婚した後にそのやり方をエレオノーラは教えてくれたが、俺では機械は動かなかった。何でも、ピンクの髪と緑の瞳がないと動かないらしい。
俺達が結婚して俺達の間には子供が3人生まれたが、ピンクの髪の娘は生まれたが、緑眼の子供は生まれなかったのだ。
俺はこのユバス王国の国王となり、その妻のエレオノーラは聖女としてこの国に君臨したのだ。
先史文明の機械を使えばエレオノーラは無敵で、帝国の艦隊も海賊達も決してこの国を襲うことはなかった。
25年後にエレオノーラは永眠した。
俺は死にかけた俺を助けてこの国の国王にしてくれたエレオノーラを生涯愛した。
そして、俺は我が子孫達に伝える。
ピンクの髪で緑眼の者が生まれれば直ちに聖女として、将来この国を継がせよ。
その力は例え帝国の攻撃を受けたとしても十二分に対抗できるであろう。
ユバス王国の知られざる聖女の秘密でした。
次回戻ります。
ついに帝国軍の魔の手が迫ります
お楽しみに!








