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謁見3 皇帝の持つ側近と皇帝の2人で条件を詰めてくれました

 これはひょっとしてこのままどさくさに紛れて誤魔化せるかもと私は期待した。

 でも、そんなに簡単には事は進まなかった。


「ボニファーツ、その方がアーダの代わりに文句の言いたいのは判ったが、貴様の流用問題とフッセンの奴隷の問題は関係無いではないか」

 アンドレイが巻き返しに出た。

「何を言うのだ、アンドレイ。皇帝陛下のせいで奴隷にされてしまった女の子を怒鳴りつける皇帝陛下と違って、我が慈悲深い姫様はこのサーリアの奴隷問題について、とても心を痛められたのだ」

 ボニファーツの一言一言に皇帝陛下がショックを受けているように見受けられた。

 ボニファーツは皇帝の少ない良心の傷に塩を塗りたくっていた。


「それと貴様のおもちゃとどう関係があるのだ?」

 アンドレイが横から負けじと言い返した。

「おもちゃではない、最終兵器だ!」

「最終兵器でも金食い虫でもどうでも良いではないか?」

「良くはないわ!」

 ボニファーツとアンドレイががどうでも良いことで言い合っていた。

「判った判った、その最終兵器がどう関係するのだ?」

「そのようなことも判らんのか?」

 馬鹿にしたように今度はボニファーツはアンドレイを見下した。

「お前な! 判る訳はなかろう!」

「だから貴様は三流の補佐官と呼ばれるのだ」

「何だと!」

 ボニファーツの徴発に単純なアンドレイは乗っていた。

「我が国から帝国へはフッセン男爵が奴隷販売をしているからなんとかしてほしいとお願いをしたはずじゃ。にもかかわらず、何と男爵本人が大艦隊を率いて我が国に攻め込んできたではないか? これはどうしたことじゃ?」

「そんなことは知らん」

「ふんっ、何が知らぬじゃ。どのみち皇帝陛下がフッセン男爵を焚きつけられたのであろう」

「いやそのような事はないと」

「そうか? 陛下はフッセン男爵に言ったのでは無いのか? 『その方は奴隷取引に手を出しておるのか』と。それを聞いた男爵が慌てて証拠隠滅のためにサーリアまで攻め込んでき来たのじゃ。ここまで言っても関係無いと言えるのか?」

「それと貴様の最終兵器はどう関係するのだ?」

「関係するに決まっておろう。我が方は400メール級巡洋艦一隻、それに対して男爵側は戦艦1隻を含む25隻もの大艦隊じゃ。まともにやって勝ち目があると思えるか?」

「普通は勝てまい」

「そうじゃ。普通は勝てんわ。悪徳領主が栄えて、可哀相にこのアーダは未だに奴隷のままだったのじゃ」

 ホログラムの中でアンネに抱かれて泣いているアーダを指さしてボニファーツは言いだした。

 さすがの帝国側もこの状況でアーダを見捨てれば良いなんて言えないはずだ。


「だが、貴様の最終兵器が活躍したのだろうが」

 このままではまずいと思ったのかアンドレイが言い出してくれた。

 それを聞いてボニファーツはニコリと笑ったのだ。

「そう、儂の最終兵器が炸裂して悪徳領主のフッセン男爵一味を成敗したのじゃ。全てはこの時のために用意するようにとおっしゃられた我が姫様の思し召しなのじゃ」

「何を言うのだ、ボニファーツ! そんなのは後から付け足したいい訳であろう!」

「そうだ。そんな後付けの理由が通用すると思うなよ」

 アンドレイとゲラーシムが追及してきた

 確かに二人の言う通りだ。

 最終兵器はボニファーツによってその前につけられていたし、赤色巨星ガニメデを超新星爆発させていたのだから。


「ふんっ、何を言うやら、そもそも領域侵犯をしてきたのは帝国軍ではないか。勝手に我が国に攻め込んできて、その言い草は無かろうて。本来は詫びがあってしかるべきであろう」

「それはフッセン男爵が勝手にやったことであってだな」

「ほおおおお、フッセン男爵は皇帝陛下の部下では無かったのか?」

「それはそうだが」

「ならば陛下の指示で攻め込んだと思われても仕方があるまい」

「ボニファーツ、貴様、何が言いたいのだ! さすがに陛下はそのようなことはされんわ」

「させないと言われてもその部下が攻め込んできたのじゃ! 本来は攻め込む前に止めるのが筋であろう」


「ホニファーツ、貴様は何がいいたのだ?」

 皇帝が怒りの形相でボニファーツを睨んだ。


「陛下はもう察して頂いておるでしょう」

 ボニファーツはニコニコして皇帝を見た。

「フッセン男爵の悪行をユバス王国は水に流す代わりに、その方のおもちゃを認めろというのか?」

「さすが陛下でございます。よくご理解頂けまして」

「ボニファーツ、そのようなことが許される訳は無かろう!」

「一京帝国ドルだぞ。貴様のおもちゃにそのような価値はないわ」

 アンドレイとゲラーシムが二人して拒否してきた。

 まあ、当然の事だと私は思った。私が帝国の皇帝ならば絶対に認めない。一京ドルなんて金を使い込んだのだ。一生涯奴隷としてこき使ってやるわくらい言うはずだ。最低でもジュピターを取り上げるはずだ。


「ボニファーツ!」

 皇帝が怒鳴りつけようとしたときだ。

「陛下、お話しが」

 皇帝のところにボニファーツが近付いた。

「おい、待て」

 近衛が慌てて止めようとするが、

「よい」

 皇帝が近衛の動きを止めていた。

 ボニファーツは皇帝に信頼されているみたいだった。


 二人はそこで何かこそこそ話していた。


「ぼ、ボニファーツ、貴様」

「ほんの保険でございますよ。陛下もそれならば文句はございますまい」

「しかし」

 時たま2人の声が聞こえてきたが、はっきりとは聞こえなかった。


「よし、それで手を打とう。本当にそれで良いのじゃな」

「それで結構でございます」

 皇帝にそう頷くと、ボニファーツは戻ってきた。


「どういう風になったの?」

 私が聞くと、

「後でお話しいたします。姫様には不利はございませんので」

 ボニファーツにそう言われて、私は逡巡したが、今までボニファーツの言うことに間違いは無かった。 

 私はボニファーツを信じることにした。


 でも、それは間違いだった。

 ボニファーツを信じていたら帝国から一京ドルだまし取ったことになったのを忘れていたのだ。

ここまで読んで頂いて有り難うございます。

蚊帳の外のセラフィーナ

2人の密約は……

続きをお楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

短編

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