元領主を捕まえましたが、戦闘で操縦桿が壊れたので、宇宙ステーションの25番デッキに激突しました
「エステリ、あなたどうしたの?」
私はレイガンをエステリに突きつけけられて一瞬何が起こったか理解できなかった。
「どうしたのって、王女様も能天気だね。私はオスマ様に通じることにしたんだよ。オスマ様はお金をくれるって言ったからね。奴隷の身分も解放してくれるって言ってくれたんだよ」
エステリは笑って教えてくれた。
「あなたは元からオスマに通じていたってこと?」
「元からじゃないさ。オスマ様が復活された時からだよ。オスマ様は金払いも良いからね。金を一銭もくれない王女様よりは余程いいさね。すぐにいなくなる王女殿下と違って、オスマ様は生粋のこのサーリアの領主様だからね。サーリアにはサーリアのやり方があるのさ」
エステリは笑ってくれた。
私が突然いなくなってオスマが復活したので、エステリは私に失望してオスマに付いたそうだ。
ということは全ては私を呼び戻した父が悪いのではないか!
こんな事ならば遠慮する必要はなかった。
父もクフモと同じで思いっきり殴り倒せば良かったと私は後悔した。
「嘘よ。あり得ないわ!」
「エステリ、本当なの?」
「そんな、エステリ、あなたが私達を裏切るなんて!」
アーダ達も唖然としていた。
「何とでも言いな。オスマ様はオスマ様に付けば奴隷から解放してくれるって約束してくれたんだよ。それにそれとは別に金も払ってくれるって言って頂けたしね」
エステリは笑ってくれた。
レイガンは強く私の首筋に押しつけられたままだ。
「そういう事だ。王女殿下、そのレイガンを下ろして頂けますかな」
オスモが笑って私達を見下ろしてくれた。
「周りの生意気な奴隷達も今一度教育が必要だな。じっくりとしつけてやるわ。王女殿下も一緒にしつけましょう」
そう言うと、ゆっくりと立ち上ってくれた。
「そうよ。王女も私と同じ目に合えば良いんだわ」
エステリが後ろで笑ってくれた。
「王女殿下がどのような反応をされるか楽しみですな」
ズバッ
私はいやらしそうにほくそ笑んだオスモの右膝をレイガンで打ち抜いた。
「ギャーーーー!」
オスモは膝を押えて転がってくれた。
「何するのよ!」
笑っていたエステリは慌てて、私に突きつけていたレイガンを撃ったのだ。
これは完全に本人の責任だ。
「ギャッ!」
首筋につけようが何だろうが、絶対防御システムが作動してレイガンはそのまま反射した。
レイガンの銃口に反射したのだ。
ドカーーーーン
レイガンが爆発してエステリは吹っ飛んでいた。
「おのれ」
私に向かって次々に銃を撃ってくるが、絶対防衛システムは健在だ。尽く跳ね返して、あっという間に抵抗する者はいなくなった。艦橋内はきな臭いにおいで充満した。
「さあ、オスモ子爵、私に何をするのかな?」
私はレイガンをオスモに突きつけた。
「ヒィィィィ、何でもありません」
膝を押えつつ、オスモは恐怖に泣き叫んでいた。
「ふんっ、オスモは随分帝国と悪の商売をしているそうだな。クフモはユバスの王宮で地下牢に繋がれたよ。まあ、オスモを逃がした罪で終身刑、奴隷取引に繋がっていたら下手したら処刑が妥当だよね」
私は銃をオスモに突きつけてオスモに説明してあげた。
「まあ、私としては別にここで貴様を処刑してやっても良いが」
私はトリガーの指に力を入れた。
「そんな、殿下お助けを!」
必死にオスモは私にすがりつこうとした。
「ならばどうするつもりだったかすぐに吐け」
私が脅すと、早速ペラペラと話し出した。
私に関しては私も含めた全員を話した通りに新しいフッセン男爵に捧げるつもりだったそうだ。
また、ユバスの王宮は父の側近の補佐官がスパイだと吐いてくれた。
「それで……」
私が他のことももっと聞こうとしたときだ。
ビービービービー
いきなり警報がけたたましく鳴り出した。
「何事だ?」
「判りません!」
私の質問にオスモは答えられなかった。
計器を見るとスピード超過と出ていた。
「セラフィ様! ステーションが大きくなっています」
「このままだとぶつかるんじゃないですか?」
「えっ?」
私が正面を見るとぐんぐんステーションが大きくなりつつあった。
「オスモ、すぐにこの船を止めろ!」
「止めろっと言われても」
オスモは慌てて計器を見ようとするが、こいつは全く操縦が出来なさそうだった。
私は慌てて手動で船を止めようとしたが、航海士の席の操縦桿がさっきの戦闘で壊れているのが目に付いた。
「オスモ、非常停止はどれだ?」
「そんなこと判りませんよ」
「こちらフッセン宇宙ステーション。サーリアⅢに告ぐ。スピードの出し過ぎだ。直ちに速度を落とせ」
「こちらサーリアⅢ、現在操縦装置が故障している」
私が慌てて叫んだ。
「何だと、このままだと1分後に速度超過で正面衝突するぞ。非常停止装置はないのか」
「現在探している」
私は操縦席を色々探したが、古い船種で中々見つからない。
ブーブーブーブー
『非情減速装置作動』
警報音が変わり、赤ランプが付いた。
反対側のノイズが逆噴射する。
でも、サーリアⅢは止まらない。
「このままだとぶつかるぞ。手近な物に捕まるのよ!」
私は皆に指示した。
『25番デッキ』
と書かれていたデッキが急速に大きくなって、速度超過のまま、サーリアⅢは突っ込んだ。
「「「キャーーーー」」」
ドカーーーーン
女達の悲鳴が響き、次の瞬間凄まじい衝撃が艦内を襲ったのだった。
ここまで読んで頂いて有り難うございます
一難去ってまた一難です。
セラフィ達は助かるのか?
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