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前領主の前に引き出されて下卑たことをいろいろ言われましたが、なんとか耐えて奴隷にされた人達と合流しました

 私の愛機ビーナスがその高速船の貨物室に飛び込むと同時にサーリアⅢはワープしてくれた。

 穴の外から亜空間が見えた。

 外は真っ白だ。


 船腹に穴が開いたままワープできるんだ。

 私は初めて知った。

 どうでも良いことで感激していた。


 ということはこのまま外に出ることも出来る?

 それで逃げても良いんだけど……でも、奴隷となった20人を助けたい。

 じゃあ、今から中に入って助けに行くか?

 でも、彼女たちがどこに捕まっているのかも判らない。

 どうしよう?

 私が悩んだ時だ。

 宇宙服を着た重装備の兵士達が倉庫の中に入ってきた。

 このまま全員を倒すことは簡単だったけれど、奴隷として捕まった者達の場所を探すのも面倒だ。

 私はあっさりと捕まることを選んだ。


 私は銃を持った兵士達に囲まれて、武器を取り上げられて、手の前で手錠をかけられて、オスモの前に引き出されたのだ。


「これはこれは王女殿下。お父上に白い塔に入れられたと聞きましたが、何故ここにいらっしゃるんですかな?」

 オスモがほくそ笑んでくれた。

「よく知っているな。誰かお前の手のものが父上の側近にいるのか?」

 私が鎌をかけると、

「さあ、それはどうかは判りませんが」

 オスモは誤魔化してくれた。

 そう言えばヨーナス等が自白剤を使っていろいろ聞いているはずだ。その辺りのことも掴んでいるだろう。ここで誤魔化してもどうしよもないのに……次に帰ったらその辺りの手下達を捕まえようと私は決めた。

「まあ、重罪人のオスモが逃亡したと聞いて慌てて追いかけてきたのよ」

 私は本来はもっと詰問口調で叱責してやりたかったが、もうオスモはどうでも良かった。奴隷にされた子らを解放できれば良いのだ。

 ここは抑えなければいけないと私なりに必死に耐えた。


「ほおおおお、それで私に捕まっていては話になりませんな」

「ほんに、『厄災姫』と言われるような凶悪な方だからどうなるかと思いましたらあっさりと捕まってくれて笑止抜けでした」

 オスモの側近らしき男が笑ってくれた。

 私からしたら笑止だった。そこまで判れば普通はわざと捕まったと別れよ思わず口に出しそうになった。

「どれほどの偉丈夫かと思いましたら思ったよりも見た目は可愛い女の子ではないですか」

「本当に」

「奴隷にして売り出したらさぞ高値が付きましょうな」

 男達が高笑いしてくれた。

 私は切れて絶対防除システムを作動しそうになるのを必死に耐えた。


「でも、オスモ。あなたは奴隷を連れて帝国内を航行しているけれど、こんな事が帝国の皇帝に知られれば皆処刑は免れないわよ。それは良いの?」

 私は一応親切心から確認してあげた。

「何をおっしゃっていらっしゃるやら。殿下、蛇の道は蛇ということわざがあるのです。帝国は表向きは奴隷販売を禁止しておりますが、裏では奴隷取引は盛んなのです。皇帝陛下の側近に金を渡せば、見逃されるのですよ。特に殿下のようなきれいで美しい女奴隷は彼らが言うように高値で取引されるのですよ」

 私が黙っていたらペラペラとオスモは話してくれた。

 最後は私の体を舐め回すように見てくれた。思わず怖気が走った。

 これで今度こそは確実に燃やしてやる。私は心に決めた。


「まあ、殿下も可哀相ですな。私達と関わらねば無事でおられたものを……まあ、前男爵閣下を殺したあなたを閣下に奴隷として差し出せば、閣下も喜んで頂けるでしょうな」

 そう言うと大口を開けてオスモは笑ってくれた。

「閣下、王女を味見してはいけないのですか」

 その横の側近の1人が下卑た笑みを浮かべて私を見てきた。

 虫唾が走る。

 奴隷にされた女達のことを考えなかったら、その瞬間、こいつら全員叩き斬っていた。

 でも、彼女らの居場所を見つけるまではと私はなんとか我慢したのだ。


「フッセン男爵閣下に献上するのだからな。楽しむなら他の女で楽しむのじゃ」

「致し方ありませんな」

 オスモの答えに側近は残念そうに言ってくれた。

 私はオスモの言葉でも領民の女達を食い物にしてくれて許さないと切れそうになったが、歯を食いしばって耐えた。


 そのまま、やっと私は奴隷として捕まっている皆の所に連れて行かれたのだ。


「さあ、ここだ」

 私は手錠を嵌められたまま牢に入れられた。

「セラフィ様!」

 涙目のアーダが驚いて私の所に飛んで来た。

「もう大丈夫よ」

 私はアーダを抱きしめたのだ。

「本当に?」

「当たり前よ。私がここにいるんだから」

 私はアーダを見て笑いかけた。

「でも、殿下まで捕まってしまったら誰が助けてくれるのです?」

 奴隷にされた確かエステリという女が聞いてきた。

「大丈夫よ。ジュピターも来ているんだから。オスモも新フッセン男爵も主砲の餌食にしてあげるから」

 私がそう説明すると

「そんなの無理よ」

エステルが言うと

「そうよ。もう、フッセン星域にワープアウトしたのよ。いくらジュピターでもここまで来たらもう逃げられないわ」

 女達が諦めたように首を振った。

「大丈夫よ。ジュピターはフッセンの艦隊を殲滅したのよ。やりようはいくらでもあるわ」

 私は女達一人一人見て言った。

 女達は半信半疑だった。

「まあ、信じられなくても良いわ。絶対に貴方たちは連れて帰るから」

「セラフィ様。本当に?」

 アーダが私に聞いてきた。

「絶対に!」

「判った。私はセラフィ様を信じる」

 アーダは私を信じてくれた。

「判ったわ。私も信じてみる。上手くいかなかったらその時はその時よ。今より悪くなることはないわ」

 エステルも言ってくれた。

 他の女達も半信半疑ながら私を信じてくれた。

 女達は確保したし、後はジュピターがワープアウトしてくれれば、それで終わる。

 私はそう思っていた。


 でも、ジュピターがこの地にワープアウトするまでにまだ数時間もかかるなんて、私は想像だにしていなかったのだ。



ここまで読んで頂いて有り難うございます。

果たしてジュピターは間に合うのか?

続きをお楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

前作

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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