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ワープで逃走しようとしたので、倉庫の中に飛び込んだら、サーリアⅢは私を乗せたままワープしてしまいました

 巡洋艦ジュピターは四百メートル級の巡洋艦だ。

 しかし、このクラスでは最大規模のエンジンを搭載していた。

 いや、エンジンだけで言うと一千メートル級の戦艦よりもデカイエンジンを搭載していた。

 出力、最大出力、大きさともにおそらく船では最大規模だ。

 そのエンジンを全開にするとあっという間に大気圏外に出た。


「ボニファーツ、オスモがどこにいるかトレースできる?」

「今探しているところじゃが、船の数は多いからの」

 気難しい顔をしてボニファーツのホログラムが首を振ってくれた。


「そう言えばアーダにペンダント渡しているのよ。それをトレースできないかな」

 確か位置を特定できる微弱な電波を出していたはずだ。

「それは領主邸にあるのは確認しましたが、おそらく取り上げられたんじゃないかと思います」

 アンネが教えてくれた。

「えっ、取り上げられないと思って安物のペンダントに見えるようにしたのに!」

「奴隷となれば何でも取り上げられますよ」

「オスモ絶対に許さないわ。丸焼きの刑にしてやるんだから」

「えっ、姫様、今度はフッセンの恒星を超新星爆発させるんですか?」

「凄い!」

「1億の民が死にますね」

 アーロン達が好き勝ってな事を述べてくれた。

「そんなことする訳ないでしょう」

 むっとして私が3人を睨み付けると皆首をすくめていた。


「姫様。サーリアから情報が入いりました。オスモはサーリアの所有する高速宇宙船サーリアⅢに乗ってフッセンに向かったそうです」

「有り難う、ヨーナス。ボニファーツ聞いた通りよ」

「サーリアⅢじゃな、ほんに人使い荒い姫様じゃの」

 私の言葉にボニファーツは眉を上げてくれけれど、

「頼むわよ。ボニファーツ、あなただけが頼りなんだから」

「はいはい、サーリアⅢはここじゃの」

 ボニファーツが苦笑いをして、操作して立体図を出してくれた。


「えっ、フッセンまで後80光年のところね」

「高速船と言うだけに早いですな」

「ここから120光年ですね。一回のワープでいける距離です」

「ようし、フッセンに着くまでに勝負をかけるわ。艦長ワープよ」

 私が艦長を見た。

「了解です」

「ワープアウトと同時にマーキュリーで囲んで停船させるわ。全機発進用意よ」

 私はそう言うと愛機のビーナスに向けて駆け出した。艦橋のアードルフ達も慌てて駆け出す。


「目標サーリアⅢ。ワープ準備に入ります」

「総員戦闘配置。繰り返す総員戦闘配置」

「全マーキュリー発進準備に入れ」

 オペレーターの声が艦内に響く。

「ワープ1分前」

 私は艦橋のすぐ傍にあるビーナス専用格納庫に入る。


「姫様、整備は完璧です」

 私の専属のロボット『ボッチ』が報告してくれた。

 マツドサイエンティストのボニファーツが作り出した万能ロボットだ。ボニファーツの気質を受け継いで気難しくて誰にも靡かなかったのを、10歳の私は何も知らなくて、生意気なことを言ってくれたボッチを張り倒した。それから何故かボッチは私の言う事を聞いてくれるようになったのだ。

 天才と周りからもてはやされていたボニファーツが私のような小国の王女のところに来てくれたのも、私がボッチを従えたのが一番大きな理由だった。

 日頃はボニファーツの助手をしているのだが、万能ロボットのボッチはビーナスの整備もしてくれていた。


「有り難う」

「どういたしまして」

 私がお礼を言うと優雅にボッチがお辞儀をしてくれた。

 動きだけ取ったら私より余程優雅だ。

 私はタラップを登ってビーナスの胸にあるコクピットに飛び込んだ。


「ワープ最終カウントダウンへ」

「座標最終調整しました」

「ワープ10秒前」

「全員対ショック用意」

「3、2、1 ワープ」

 軽い衝撃とともにあっという間にジュピターはワープした。

 外の様子がホワイトアウトする。

 真っ白い亜空間をジュピターは突き進む。

 外が真っ白でワープ中の眺めは今ひとつだ。


「全員、スタンバイ出来た?」

 私がホログラムを見ると

「アードルフ小隊準備完了です」

 アードルフの顔が映る。

「アーロン小隊も同じです」

「ヘイモ小隊もいつでもいけます」

「ヨアキム小隊、完了です」

「姫様全機発艦準備完了しました」

 アンネが報告してくれる。


「姫様、サーリアⅢの艦内図送ります」

 ヨーナズかどこから手に入れたのかサーリアⅢの詳細な艦内図を送ってくれた。

 船は三百メートル級で中を見ると大きな倉庫があった。

 最悪そこをぶち破って侵入すれば良いだろう。

「ヨーナス、有り難う」

「一応の全機の配置図も送ります」

 ヨーナスが想定の包囲図を出してくれた。

 タイムスケジュールもある程度記載されている。

 私の位置は敵船の倉庫の入り口の真ん前だ。私の性格もよく判っているヨーナスに任せておけば問題なかった。

「有り難うヨーナス。ここまでよく調べてくれたわ」

「それが私の仕事ですからね。では、姫様ご武運を」

ヨーナスが敬礼してくれた。


「全員、見たわね。これでいくわよ」

「「「了解です」」」

「ワープアウトまで後1分です」

「カタパルトスタンバイ」

「姫様、カタパルトに移動します」

 私のビーナスがカタパルトに接続された。

「10秒前」

「全機発艦準備」

「3、2、1 ワープアウト」

 白い画面から星が飛び出してあっという間に元の空間に戻った。

 艦全体に軽い衝撃がくる。


「全艦発進」

 私はビーナスのバーニアをふかした。

 射出機が動いて私の体にGがかかる。

 あっという間に私は宇宙空間にいた。


 前方に赤いサーリアⅢが見えた。

 ビーナスからは2つの射出機で次々にマーキュリーが射出される。


 前方では慌てたサーリアⅢがバーニアをふかして逃走を開始した。


「逃がさないわよ」

私はバーニアを全開した。

一気に私のビーナスがサーリアⅢに追いついた。


敵船から必死にビーム砲を撃ってくるが、ビーナスのバリアで弾くので全然問題はなかった。


「敵に降伏勧告して」

私がアンネに指示を出すと

「サーリアⅢに継ぐ。こちらはセラフィーナ王女専用巡洋艦ジュピターです。直ちに停戦しなさい。停戦しない場合は攻撃します。繰り返します。直ちに停戦しなさい。しない場合は攻撃します」

「何言っているんだ。ここは帝国内だぞ。既に領域侵犯している上に攻撃すれば帝国への敵対行為だぞ」

オスモが平然と言い返してくれた。

私はブラスターを一射した。


ズキューーーーン!


赤いエネルゴーの塊がサーリアⅢの船首をかすめた。

「煩いわね。さっさと停戦しなさい! 次はないわよ」

私が叫んでいた。

「さすが姫様、敵に容赦なしですね」

「普通は艦橋直撃させるはずなのに」

「少し大人になられましたな」

アーロン等が馬鹿なことを言ってくれたが、私にも少し油断があった。

エンジンくらいをぶち抜けば良かったのだ。


「姫様、敵はワープに入ろうとしていますぞ」

ボニファーツからの一言で私は我に返った。

「そうはさせないわ」

私はブラスターの出力を最小限に絞って倉庫の入り口を吹き飛ばした。

敵船が大きく揺らぐ。

そして、その中に私は愛機を飛び込ませたのだ。


「「「姫様!」」」

しかし、次の瞬間、サーリアⅢは私一機を載せたままワープしてくれたのだ。




















ここまで読んで頂いて有り難うございます。

敵船に1人残ったセラフィーナの運命や如何に?

続きをお楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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