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サーリア星会戦前編 皇帝の側近に帝国男爵の暴言の証拠を送りました

 この地サーリアもユバス王国の中の一つの領地だ。

 そう、王女である私が面倒を見なければいけない民がこの地にもいるのだ。


 なのに、この星に麻薬が充満し、弱い女達が奴隷として帝国に輸出されていたなんて私は知らなかった。

 本当に王女として失格だ。


 でも、それ以上にこんな事をしていたフッセン男爵を私は許さない。

 元々スージーを殺してくれたフッセン男爵は許すつもりはなかったけれど、わざわざここに来てくれるのならば返り討ちにするだけだ。



 惑星サーリアはカンノン太陽系の第三惑星だ。

 そして、その傍にはアステロイドベルトが流れていた。

 失敗して海賊船が爆発して流星雨を降らしたことは記憶に新しい。


 敵の艦隊としては、おそらく一つに固まってやってくるはずだ。

 敵としてはこのジュピターを正面から25隻で一斉攻撃して沈めるつもりだと思われた。

 何しろこの宙域には私のジュピター一隻しかないのだ。

 機動歩兵も全てあわせても二十一機しかないし、敵は簡易空母まで連れてきているから五十機はいるはずだった。

 圧倒的に敵の戦力の方が多い。

 普通は正攻法でくるはずだ。



「姫様、どう戦いますか?」

 艦長が尋ねてきた。


 このジュピターの百センチブラスターは敵戦艦以上だが、三門しかない。それで攻撃しても二十隻の相手するのは中々大変だ。


「ここはボニファーツの最終兵器に頼るしかないわ」

「そうでしょう。姫様。ついに我が最終兵器が日の目を見るときが来たのですな」

 いきなりホログラフに現れたボニファーツは喜々として頷いていた。


「この前の超新星爆発の時みたいに、発射したは良いが船が動かなくなったりしたらしゃれにもならないけれど、そこは大丈夫なのよね」

 私が念押しすると、

「姫様。いつのことをおっしゃっているのですかな。私の兵器は日々進化しているのです。二度とそのようなことは起こりません。まあ、問題は発射後1分間は他の兵器が使えなくなるくらいですな」

「やっぱりロストするじゃないか」

 アーロンがブツブツ呟いていたが、


「一分だけ兵器が使えないのならば問題はないわ。発射前にマーキュリーを展開して、攻撃を逃れた敵を叩き潰せば良いだけよ」

 私は頷いたんだけど……

「しかし、姫様ボニファーツ博士の最終兵器に全てをかけるのは危険ではありませんか?」

 艦長が心配して聞いてきた。

「まあ、元々この艦自体、ボニファーツがいないと出来なかったのよ。どのみちボニファーツにかけるのは変わらないんだから、私はボニファーツの最終兵器にかけるわ」

私は最終判断を下した。


「判りました」

「了解」

「ボニファーツのじいさんと心中か」

「あんまりぞっとしたもんじゃないんだが」

 ヘイモやヨキアムが余計な事を言っていた。


「ほおおお、その方等の機体がいきなり空中分解しなければ良いがな」

「ちょっとボニファーツ様。嘘です。お許しください」

 ボニファーツの言葉に慌ててヘイモ達が頭を下げだしたんだけど、

「さあ、生意気な奴はその身に染みた方が良いからの」

「そんなこと言わずに、この通り謝りますから」

「申し訳ありません」

 ヘイモ達がボニファーツの画面に向けて必死に謝りだした。



「姫様、第四惑星の軌道上に空間震多数、敵艦隊のワープアウトと思われます」

 アンネが報告してくれた。

「よし、総員戦闘配置よ」

「了解しました。総員に次ぐ。第四惑星軌道上に敵艦隊がワープアウト、第一級戦闘配置、繰り返す総員第一級戦闘配置」

警報が鳴ってアンネが館内放送に切り替えて指示を飛ばした。


「敵、戦艦フッセンを中心に巡洋艦2、駆逐艦14、揚陸艦2、空母1、後方に補給艦5です」

 ヨーナスが敵の艦影をスクリーンに出してくれた。


 真ん中に巨大な戦艦を中心にこのジュピターと同じ大きさの巡洋艦2隻、更に空母一隻とその周りに護衛の駆逐艦が14隻現れた。

 少し後ろに補給艦が5隻見える。

 合計25隻だ。

「姫様、また敵は25隻ですよ」

「また、碌でもないことが起こりそうだ」

「25の恐怖だ」

アーロン達がブツブツ言い出した。

「貴方たち黙っていなさい。25隻だろうが30隻だろうが関係無いわ」

私が言い切ったが、

「本当かな」

「怪しい」

「今度はカンノンが超新星爆破か」

「する訳内でしょ。勝ってな事を言っていないで機動歩兵に乗りなさい」

私はいい加減鬱陶しくなったので、命令していた。

「えっ」

「とても不安なんですけど」

「オラ、行くぞ」

アードルフが愚痴愚痴言うアローン等をまとめて連れ出してくれた。

「何が25よ。私には関係無いわ」

そう、25隻だろうが26隻だろうが関係は無いのだ。



「敵、高速でこちらに接近中」

「敵に向けて全速前進」

「了解しました。敵艦隊に向けて全速前進」

 私の声に艦長が指示を飛ばす。


「了解しました。艦首、敵艦隊に向けて微調整」

「ブースター全開します」

 エンジン音が艦橋に響く。

 艦に加速がかかって敵艦隊に向けてジュピターは動き出した。


「姫様、敵から通信が入っていますが」

 アンネが教えてくれた。

「今更、何の用があるんだ?」

 ヨーナスが聞いてきたが誰も答えられなかった。

「愚痴でも言いたいんじゃない。繋いで、相手の言い分は聞くわ」

 私はアンネに合図した。


「貴様がユバスのじゃじゃ馬か」

 画面に出たでっぷりと太った男がいきなり喧嘩口調で話し出してくれた。

「帝国の人間は言葉も知らないの? 普通はまず挨拶からだと思うけれど」

 私は馬鹿にして言ってやった。


「何を言う、貴様、儂の金を何に使ったのだ?」

「はああああ、あなたの金なんか知らないわよ」

 私は平然と言い切ってやった。母相手に誤魔化すのは慣れていたのだ。


「嘘をつけ! サーリアの銀行にあった儂の預金が全て無くなっているではないか」

 青筋立ててフッセン男爵が文句を言ってくれているけれど、元々我が領地であくどいことをして儲けた金だ。それを接収したところで文句を言われる筋合いはない!


「何を言っているか判らないけれど、あなたこそ、我が国の領地で麻薬販売や売春、果ては領民を勝手に奴隷にして帝国内で取引してくれたそうじゃない! そのような不法なことをして儲けた金は全て接収させてもらったわ。当然の事じゃない」

「き、貴様、生きてこの地から出れると思うなよ。ひっ捕まえて奴隷としてこき使ってやるわ」

 カンカンに怒ってフッセン男爵は言ってくんれるんだけど、こいつらはここは我がユバス王国の領地だと理解しているんだろうか? 不法侵入しているのはそちらだ。


「何を言っているかよく判らないけれど、領空侵犯しているのはあなたなのよ。生かしてここからださないと言う権利があるのは私よ」

 私はきちんと反論したのだ。


「ふんっ、そのちゃちな一隻で何が出来るというのだ。笑止だな」

男爵は笑ってくれた。


「いい気になっていられるのは今のうちよ」

 私も笑い返してやった。

「一隻で何が出来るというのだ?」

 馬鹿にしてフッセン男爵が鼻で笑ってくれた。


「帝国皇帝にははっきりと抗議させてもらうわ。今のあなたの言葉そのままにね」

「な、なんだと!」

「ヨーナス、今の録画したわね」

「ハイ、姫様を奴隷としてこき使うという所まではっきりと」

「ボニファーツ、直ちに帝国皇帝にダイレクトで送って」

「また、面倒なことを」

 ボニファーツがブツブツ文句を言ってくれたが、

「良いのよ。領空侵犯した上に暴言を吐いたんだから。皇帝陛下は奴隷販売は厳禁しているって話よね。あなたがしていたって聞いたらどう思われるかしら」

 私はニコリと笑ってやった。


「何を言う、貴様等が皇帝陛下になどダイレクトで送れる訳はなかろう」

 フッセン男爵は余裕で笑ってくれたが、

「姫様、陛下の補佐官に直接送りましたぞ」

 ボニファーツははっきりと宣言してくれたのだ。



ここまで読んで頂いて有り難うございます。

ボニファーツは誰に送ったのか?

続きは次回です。

次はサーリア星域会戦後編です

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

短編

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『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/

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でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
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