表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/82

侍女の仇の帝国の暗部の男を討ち果たしました

 グサッと刺された瞬間だ。

 私は優しかったスージーの笑顔を思い出していた。

 これでスージーのに所に行ける。

 私はそう思った。



 スージーを看取った後、私は半狂乱になっていた。

 全部我が儘を言った私が悪いんだと自分を責めて泣き叫んでいた。

 周りは驚き呆れていたが、もうそんな私を抱きしめてくれる者はいなかった。


 結局、何故スージーが殺されたのか、私には誰も教えてくれなかった。


 私が知ったのは大分経ってからだった。


 私にイチゴを買おうとイチゴ農園にわざわざ行ってくれた目の前で帝国貴族が残りのイチゴを全て買い取ったそうだ。

 スージーはその貴族に一つだけで良いから分けてくれないだろうかと必死に頼んだのだ。

 でも、貴族は笑って頑なに聞き入れてくれなかった。

 そのスージーが必死にお願いした時に下げた髪の毛がその貴族に一瞬触れたそうだ。


「無礼者!」

 帝国貴族の護衛の剣が一閃した。

 スージーにも護衛をつけていたのに、護衛は全く動くことすら出来なかった。


「何をする!」

 慌てて騎士が叫んだときは、もう遅かった。


「それはこちらの台詞だ。こちらのお方はフッセン男爵家の若さまでいらっしゃるぞ。王女の侍女風情が触れていい相手ではないわ」

「……」

 スキンヘッドの男の言葉にイスモは何も出来ずにスージーの体だけをなんとか連れて帰ってきたそうだ。


 後日大きくなった私がその時の護衛のイスモを問い詰めて判明した。


 当時、帝国貴族は治外法権を持ち我が物顔で我が本星を歩き回っていたそうだ。

 その時に知っていれば私はそのままそのフッセンの若様に斬りかかっていただろうし、その時に返り討ちにされてここにはいなかっただろう。


 私は自分の至らなさを肝に銘じ、それからは我が儘なこととは言わないように努力した。

 そう、努力はしたのだ。

 私なりに。

 私の専用巡洋艦とか、専用機動歩兵も普通の王族が持っているものだ。きっと……


 そして、そんなことよりも私は自分の力のなさを実感した。

 自分が力さえあればスージーを無礼打ちなんてさせることはなかった。

 そして、犯人をこの国から出すことなんてさせなかった。

 帝国の貴族は許さない!

 でも何も出来ない!


 全ては自分に力が無いからだ。


 それからは必死に剣術を磨き射撃の腕を上げ、機動歩兵の操縦の能力を上げるようにした。

 でも、それだけでは駄目だ。

 のぼり調子の帝国貴族には勝てない。


 敵を知らねばと何回か帝国に社会見学と称して遊学した。

 その時にスカウトしてきたのが、ボニフアーツと、ヨーナスだ。

 彼らと私の専属工房となっていたポルヴィ工業を引き合わせて、私は兵器の増産計画を推し進めたのだ。


 まあ、帝国と全面戦争するだけの戦力なんてこの小国には無理だったが、帝国の小部隊と互角の戦いをするくらいまでの戦力にはなったと思う。


 まあ、でも、私の気も知らずに、ボニフアーツは第25恒星の赤色巨星を超新星爆発させてくれるし、第25ステーションは惑星に落ちてくれるし、25年ぶりにサーリア山まで噴火してくれた。

 帝国のあの貴族に復讐するなんて夢の又夢だ。


 私は自国を守るだけで精一杯だった。


 でも、それはスージーと約束したことだった。

 立派な王女になるのはスージーの希望だった。

 おろそかにする事なんて出来ない。


 まあ、私一人では何も出来ないけれど、私の周りにはアンネを始めとして優秀なスタッフがいる。

 彼女らが賢明に復興計画を立ててくれていた。


「そんな予算などないぞ!」

 父はあっさりとそう言ってくれたから、私はへそくりから懸命に作り出すしかないのだ。

 またマーキュリーの増産型M103を売り込まねばなるまい。

 ヨーナスに頼むしかない。

 確か、ヨーナスの同級生で連邦の武器商人がいたはずだ。

 それに我が国より少し大きなシネッタ王国の王子に売り込もう。彼とは帝国に遊学中に知り合ったのだ。彼なら私が頼み込んだら買ってくれるだろう。


 そんなことが走馬灯のように私の頭の中を通り過ぎた。

 ここまで本当に私は頑張った。もう良いだろう。

 私はスージーの所に行って褒めてもらうんだ。

 私がいい気になったときだ。


「何をふざけた事を考えている! 姫様、左正面、探していたスキンヘッドの男じゃないのか?」 

 私の脳裏にボニフアーツの罵声が響いた。

 頭がガンガンする。

 だから、絶対防衛システムはいやなのだ。

 バリアを張ってくれる代わりに、ボニフアーツとボッチに私の事は丸わかりなのだ。

 目の前にデータが現れる。


 スキンヘッドの男?

 右手20メートルにこちらを爛々と怒りの顔で見ている男がいた。

 カツラを被っているようだが、取ると、指名手配の男の顔になった。

 あの事件の後にイスモに似顔絵を描いてもらったのだ。

 その男とぴったりだった。


 スージーを殺した男だ。

 その瞬間、私は現実世界に帰ってきた。


「貴様!」

 次の瞬間、目の前の老婆の首をアードルフが刎ねていた。

 老婆に化けた暗部の人間だろう。

 容赦する必要は無いはずだ。


 私は絶対防御システムをしているから体に受けたのはショックだけだ。剣は私の体を守っているバリアに振れた途端に溶けていた。

 後でボニファーツに怒られたんだけど、センサーが危険マークを出していたはずだと言うのだ。私はスージーに言われたお年寄りに優しくすると言う行為をすることを優先していてよく画面を見ていなかったらしい……


 そして、私はアードルフに構わず駆け出した。

 スキンヘッドの男目がけて!

 絶対にスージーを手にかけた奴は許さない!

「ウォーーーー!」 

 私は男に向けて駆けていた。

 慌てた男は銃を取り出して私に向かって撃ってきた。

 しかし、ボニフアーツの自慢する絶対防御システムはびくともしなかった。

 全ての弾丸を弾き飛ばしていた。


 一気に男の前まで駆け込むと、光剣を振り下ろした。

 しかし、さすが、暗部の男だ。

 銃でそれを受けとめてくれた。

 しかし、銃なんかで私の光剣は受け止められない。

 あっという間に銃が両断される。男は必死に後ろに飛びすさろうとした。


「喰らえ!」

「ギャッ!」

 しかし、後ろから駆け込んできたイスモが男の後ろから光剣で斬り下げたのだ。

 男は勢いで私に飛んで来た。


「死ね!」

 私は光剣をその男の胸に突き刺していた。

「うっ!」

 男は信じられないという顔をして固まっていた。

 次の瞬間男は口から血を吐いて倒れ込んだ。

 私はスージーの仇をやっと討てたのだった。


ここまで読んで頂いて有り難うございます

侍女の仇の一人を討てたセラフィーナ。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

短編

『AIに乗っ取られた男』https://ncode.syosetu.com/n7779ku/

前作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



5番人気の話

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ