表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/82

良い王女になろうと日々努力していたら老婆にナイフで突き刺されました

「スージー!」

 私はベッドから飛び起きた。

 寝汗をかいていて汗だくだった。

 昔の夢だった。

 最悪の……



 私は小さい時は本当に生意気なお子ちゃまだったと思う。

 何しろ王女様だ。

 周りからはとてもちやほやされていた。


 まあ、我が家は秩序に煩い東欧出身の帝国系とは違って身分差に緩い西欧諸国の中の出だったからそれほど身分差については煩くなかったけれど。でも、それでもこの国で一番偉い王族だというのはその時には既に頭にあった。だから基本は何をしても許されると思っていた。


 私には妹が一人いたが、妹は何もない私と違って聖なる力を持っていた。

 聖なる力がなんなのかは幼心にも良く判らなかったけれど、周りからは特別扱いされていた。

 両親も妹に構って私は侍女任せだった。

 それに対しても反発心もあったのだと思う。

 まだ甘えたい盛りだったのに、母も父も妹大事だった。


「こんなの美味しくない!」

「こんなまずい物を食べさせるコックなんて首にしてよ」

 と私は平気で命令して周りを困らせたり、スープをこぼしてくれた侍女を叱責したこともあった。


 そんな時には私の侍女のスージーが言葉を尽くして私に注意してくれた。

 でも、我が儘な私はスージーの言う事があまり良く判らなかった。

 スージーにも散々我が儘を言っていた。


 その日は初春なのに、とても寒かった。

 私は無性にイチゴが食べたくなった。

 妹がイチゴ農家からイチゴを献上されたて食べていたというのもあった。

 イチゴは赤みがかってとても美味しそうだった。

 私も少しくらい食べられると思っていたのに、妹が全部食べてしまったのだ。


 私はそれをみて、ヒステリーを起こした。

「イチゴが食べたい!」と。


 父と母は我が儘言わないで我慢しなさいとしか言わずに、私の言うことは聞いてくれなかった。


 私はその時に我慢すれば良かったのだ。

 でも、子供心に妹ばかり贔屓されるのが許さなくて大声で泣きわめいた。


「スージー、この子を下がらせて、きちんと言い聞かせなさい」

 母はお手上げだと言わんばかりに私の侍女に任せた。


 部屋に下がっても私は大声でわめき続けていた。

 コックが厨房からイチゴを持って来てくれたが、

「こんな小さなのではいやだ!」

 とそれを投げ捨てていたのだ。

 本当に私の黒歴史だった。


 見かねたスージーが、

「姫様。少しお待ちください。イチゴを手に入れてきますから」

 スージーが申し出てくれた。

「えっ、本当に?」

 現金なもので私は泣き止んでいた。


「だから姫様、良い子にして待っているのですよ」

「判った」

 私はスージーに頷いた。


 私はスージーを待っている間、本を読んでいた。

 その話は機動歩兵を駆る勇者がお姫様を悪徳皇帝から助けるお話しだった。

 我が国の建国神話だ。

 聖なる姫を初代国王陛下が帝国の皇子と争ってかっ攫ってきたお話しだ。

 私は乙女心に、何故か小さい頃からこのご先祖様みたいに格好良い騎士になると決めていたのだ。

 男でもないのに!

 私は女だてらに剣術も機動歩兵の操作方法も私は習っていた。

 それさえしていれば静かにしているので、私の事をあまり気にしていなかった父と母は黙認していた。


 でも、待てども待てどもスージーは帰ってこなかった。

 いい加減に私が我慢出来なくなったときだ。

 王宮の入り口が騒がしくなった。

 なんだろう?


 私は慌てて駆け出したのだ。


 しかし入り口で私は固まってしまった。


「す、スージー!」

 そこにはバッサリと切られて血だらけのスージーが担架に乗せられて運ばれてきたのだ。

「スージー、どうしたの?」


「姫様、近寄っては行けません」

「誰だ。姫様を連れてきたのは?」

 私は止めようとする侍女や騎士達をくぐり抜けてスージーに抱きついたのだ。

 もう、きれいな服が血まみれになろうがなんだろうが関係無かった。


「姫様。頑張って立派な王女様に…………」

 スージーはそこで事切れていた。

「スージー!」

 私は大声で鳴き叫んだ。

「いや、スージー、生き返って、私は二度と我が儘言わない。だからお願いよ。生き返って!」

 私が泣き叫ぼうが、神に祈ろうが二度とスージーは目を開かなかった。



 私はその時に心に決めたのだ。

 スージーの言ったような立派な王女様になるって。

 だってスージーは私の我が儘を聞こうとした為に殺されたのだ。


 だから私はもうそうなるしか、手がなかった。

 生きていれば謝れば良いけれど、スージーは死んでしまったのだ。

 もう謝ることも出来ない。


「イチゴなんて手に入れに行かなくて良いから私の傍にいて!」 

 私はそうスージーに言えば良かったのに!

 我が儘だった私が悪いのだ!


「姫様。姫様は人の上に立つ方です。領民達が税金を払ってそのお金で贅沢な暮らしをしていらっしゃるのです。でも、その贅沢できる分、その領地の民が困っていたら助けてあげないといけませんよ。そのために領民は姫様達に税金を払っているのですから。特にお年寄りや小さい子には優しく接してあげてくださいね」

 その時は意味はよく判らなかったけれど、その日から私は心を入れ替えてそうなろうとしたのだ。


 宇宙ステーションを地上に激突させたり、流星雨を惑星に降らせたり、火山を爆発させたりしたけれど、決して自分でやろうとした訳ではなかった。

 私は良い王女になりたいのだ。

 いつも上手くいかないけれど、いつかは必ずそうなれるはずだ。


 だからその日も目の前で転けたおばあちゃんには駆け寄って助けてあげたのだ。

「おばあちゃん大丈夫?」

 そう言って私は手を差し出した。

 今日もスージーの言ったように自然に出来ていると思ったときだ。


 いきなりその老婆が私に向けてナイフを突き刺して来た。

 そんなことになるなんて予想だにしていなかった。


 あっと気付いた時には私は胸に凄まじい衝撃を受けていた。


民の為に日々努力しようとするセラフィーナ。

そのセラフィーナの仏心を逆用した帝国の暗部!

神はいないのか?

続きをお楽しみに!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

短編

『AIに乗っ取られた男』https://ncode.syosetu.com/n7779ku/

前作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



5番人気の話

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ