戒厳令を発令し、火山の爆発から捨て置かれた奴隷達を間一髪で助け出しましたました
サーリア山が噴火した。
ズドーーーーン
凄まじい音がして……
噴煙が上がりあっという間に成層圏まで飛んで行った。
そして、次々に火山岩が飛んでくる。
さすがにここまで飛んでくるものは無かったけれど、凄まじいものがあった。
まあ、超新星爆発させたことがある我が身としては大したことはないんだけど……
いや、そんなことはない!
「キャーーーー」
「火山が噴火したぞ」
「逃げろ」
「押すなよ」
「煩い、早く行け」
皆我先にと逃げていく。
100年前の噴火の時はこの領都が全滅したらしい。
少し距離が離れているから問題はないかと思ったら、煙が麓目指して流れているけれど、あれってなんだろう?
.
そして、それがゆっくりとこちらを目指しているんだけど……
サーリア山はなだらかな山なのでゆっくりと動いている。あれが火砕流か?
あれがサーリアの領都を襲ったらとんでもないことが起こる。
私は青くなった。
私は通信装置を操作した。
私の前にアンネのホログラフが現れる。
「アンネ、今ジュピターはどこにいるの?」
「火山の爆発を観測したので早急に地上に向かっています」
「ボニファーツ、火山弾をバリアか何かで防げない?」
「バリアでか? 出来ないことはないと思うが」
私の声にボニファーツの顔が画面に出てきた。
「すぐにやって!」
「判った、本当に人使いの荒い姫様じゃ、もって一時間だぞ!」
「それでも助かるわ」
すぐにボニファーツが操作を始める。
「地上の住民の避難計画を早急に作って」
「大体の案はまとめてあります」
「すぐに艦載機と掲揚艦に送って」
「了解しました」
「あと、本件の対応は全て私が行います。サーリア全土に緊急条項第一条発令」
「えっ、良いんですか姫様?」
さすがのアンネも躊躇した。
「仕方ないでしょ。領主が反逆したんだから。私がやるしかないわ」
やりたくないけれど、今回は緊急事態だ。
「判りました。姫様の名前で戒厳令を発令します」
「宇宙港にいる艦船に避難の協力を」
「了解しました。文句を言う奴らには姫様の命令で最終警告を送ります」
なんかやり過ぎなような気がするけれど、仕方が無いだろう。
「本国にも救援を依頼しておいて」
「了解しました」
「それと避難地図を交差点とか主要箇所にホログラムで写して。ジュピターの能力極限まで使って良いから」
「判りました。ボニファーツ教授と相談します」
アンネはそう言うと画面から消えた。
「アードルフは今どこにいる?」
私の声にホログラムがアードルフに変わる。
「全部隊領主邸に向けて移動中。私は間もなく着きます」
「イスモは?」
「現在揚陸艦に集合しました。直ちに領主邸向かいます」
「こちらに来なくても良いから、アンネからの指示書にしたがって避難民の誘導を!」
「「「了解です」」」
私は慌てて一同に指示をした。
その時だ、火山と領都の間が光った。
ボニフアーツがバリアを領都の前に展開してくれたみたいだ。
火山弾のデカイのははじき返してくれるようになった。
「ナイスよ! ボニファーツ!」
「でも、姫様。もって1時間くらいじゃぞ!」
「判ったわ。全部隊に継ぐ。領都の北半分に移動して避難の遅れた人を非難地域に移動させて。制限時間は一時間よ」
「「「了解です」」」
「行くわよ!」
私は愛機ビーナスに飛び乗ると飛び立った。
後ろからやってきたアドルフがついてくる。
「落ち着いて」
「まだ、火砕流がここに来るまでに時間あるから」
上空から探ると地上では海兵隊達が頑張ってやってくれているみたいだ。
私はセンサーをオープンにして地上に生き残った人がいないか探査する。
さすがに麓近くはいない。
「姫様、そろそろこの辺りは危険では」
アードルフが注意してくる。
でも万が一人が閉じ込められたりしていたら嫌だ。
ピピピピ
ビーナスの計器が生体反応を観測した。
「あれ、アードルフ、この先に生命反応が多数あるんだけど」
私は慌てて先を急ぐ。
「アードルフ右手の建物に反応があるわ」
結構おおきな建物だった。
庭があって高い塀に囲まれていた。
なんか小さい要塞みたいだ。
その三階建ての地下から生体反応がする。
飛び降りて玄関の扉を開けようとしたが、開かない。
仕方ないからレイガンで取っ手をぶっ壊したが扉はびくともしなかった。
「何よこれ!」
扉を蹴飛ばすがびくともしない。
窓も少ないし小さいし……何の建物なんだろう?
私がむっとしたときだ。
「姫様退いて下さい。マーキュリーで破壊します」
アードルフがマーキュリーのブラスターを絞って撃ってくれた。
ドカーン
一瞬で扉が消し飛んだ。
私はすぐに中に入った。
地下への道を探すが中々見つからない。
「姫様、これでは?」
なんか鉄格子があるんだけど……
「ここ牢屋なの?」
でも、こんなところに牢があるなんて変だ。
開けようとしたが簡単に開かない。
「姫様退いてください」
アードルフが持ち出したのはハンドキャノンだった。
慌てて下がるとアードルフが扉を爆破してくれた。
地下に降りるとさらに扉があるんだけど……
「なんなのこの建物? まるで牢屋みたいなんだけど? 何でこんな頑丈なの? 誰を閉じ込めているのよ?」
私の疑問にはアードルフも答えられなかった。
「えっ」
地下の牢屋に入って私は驚いた。
中には個室の牢が50ほどあって、きわどい衣装を着た少女が鎖に繋がれていたのだ。
その鎖は足元のおもりに繋がっていた。
銀河法で禁止されている奴隷だったのだ。
「なんなの、ここは?」
「姫様、今はそれどころではありません」
驚く私にアードルフが急き立ててくれた。
「そうよね。手分けして直ちにドア壊して救出して」
私が命じると皆慌てて出ていった。
女の子は私を見て、怯えていた。
「ごめんね、時間がないから」
私はそう言うと、怯える女の子の足の鎖を光剣で叩き斬った。
女の子がビクッとしたが、構っていられない。
「キャッ」
私は驚く女の子をお姫様抱っこするとビーナスめがけて駆け出したのだ。
「姫様、そろそろ限界ですぞ」
ボニファーツの声が聞こえた。
「ボニファーツ、あと少しよ、私を中心に1キロくらいに絞って良いわよ」
「はあ? そんなうまくは」
「ボニファーツなら出きるでしょ」
「本当に姫様は人使いの荒い」
ぶつぶつ文句を言いながら画面からボニファーツが消えた。
「姫様!」
そこに後ろから解放した人達を連れてきたアードルフが追いかけてきた。
全部で20人くらいの女がいる。
全員を機動歩兵に乗せるのは無理だ。
「姫様、これはどうですか?」
アードルフが護送車みたいなのを見つけてきた。
女達がぎょっとするが、
「ごめん、時間が無いの? 死にたくなければ乗って!」
「悪い、乗ってくれ」
アードルフが女達を強引に乗せる。
「姫様、その子は?」
「私が乗せるわ」
私は少女を抱えて乗せてビーナスに飛び乗ったのだ。
「護送車は掴めた?」
アードルフともう一人に機動歩兵に掴ませて持ち上げさせる。
「大丈夫です」
「よし、行くわよ」
全機が、ゆっくりと空の上に浮かんだ時だ。
火砕流がゆっくりと建物を包んで行くのが見えた。
間一髪、私達は逃げ出すのに成功したのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
戒厳令を発令したセラフィーナでした。
奴隷を見付けて切れるセラフィーナは次回です。








