第二章 まさかの提案
前回、健太は自分のシノギが終わらず困っていた
ところ、健太の舎弟 大輔が来て健太は、シノギを
舎弟に任せて渋谷を歩いていた。ほっとしていたのも
束の間、携帯に一通のメールがきて送り主が
誰だと確認すると、そのメールはカシラからの
警告メールだった。健太は、不安になり大輔と
共に「関東会鬼神連合」の事務所に向かった。
その時健太の兄弟分 丸山が来て健太達に
助言をした。そして健太達は、カシラの部屋に
入るのだった。
ガチャ!
「カシラ。失礼します。」
俺たちは敬語でカシラに向かってこう言った。
するとカシラの補助役が、俺たちの方に
向かってきてこう言った。
「お前達!一体今まで何をしてたんだ!カシラは
お怒りだ!さぁ!早くカシラの元に行ってこい!」
そんなこと俺でもわかる。だいぶやばいということは。俺たちは、カシラが座っている椅子の前に
向かった。カシラの前に着くと、俺が
口を開こうとした瞬間、先にカシラの口が
開いた。
「おい健太。今日は、珍しく上出来じゃあねぇか」
カシラの口から俺たちが思っている言葉では
なかった。やったぞ、このままだと俺は、
小指をお陀仏にしなくてすみそうだ。しかし
その考えはどうやら甘々だったみたいだ。
俺たちが内心で喜んでいるとカシラが、
大輔に向かって喋りかけていたのだった。
「おい大輔。お前今日親父のボディーガードの
日じゃあねえのか?」
すると大輔は、顔がまるで雪山にあるように
真っ青になりカシラに返答した。
「カ、カシラ。今日は無くなったんじゃあ...」
カシラは、はあ。とため息をつき自分の携帯
を取り出してそれを大輔に見せつけ
話しはじめた。
「あのなぁ。今日メールで、緊急でやるって
送っただろう。なのにお前だけは既読が
つかず、今日の会議には来なかった。なぜだ?」
すると大輔は、平気な顔でなぜ来なかったか
理由を話しはじめた。
「カシラ!この、沢見健太が俺に自分のシノギを
押し付けたせいなんです!」
クソッタレ!こいつやりやがった!ついに
俺たちが秘密にしていた事を言いやがった!
いや待てよ。確かカシラからのメールからは、
「まさか大輔にやらせてないよな?」という
文があったような....。あっ!そういうことか。
俺の舎弟 鎌倉大輔がもしだいぶ前にカシラに
チクっていたとすればだいぶ前からこのことを
知っていたのか?ということは俺はだいぶ前から
この2人に、はめられていた.....。そうだったのか。
俺はダメ元でカシラに質問した。
「カシラ。質問してもいいですか?」
「いいだろうなんだ?」
「カシラ。このことは前から知っていたんですか?もし、知っていたのならなぜこのことを早く
言わなかったんですか?」
そう質問すると、カシラは表情を変えて
話した。
「それはなぁ健太。知らなくていいことだ。
もうすぐ、お前はここからいなくなるからなぁ。」
はぁ?いなくなる?どういうことだ?いなくなる
ということは俺はここで死ぬのか?ならなぜ、
大輔はこのことを事前に伝えなかった?
あいつもグラなのか?もう誰を信用したら
いいんだ?俺が考えていると、カシラが
部下達にあれの用意をさせていた。
「おい!お前ら!こいつに最高のアレを持って
こいやぁ!」
カシラがそういうと、部下達はそのアレを持ってきた。そうあれというのは指を詰める道具、つまり
まな板とドス(包丁)が用意された。
「おい健太ぁ。お前も極道なら自分のけじめの付け方ぐらいわかるよなぁ?」
くっ。このままだと俺は本当に極道の深部に
入ることになる。まずいどうしようと
考えていると、俺のピンチを救う人が現れた。
「おい、澤部。ちょっとそれはやりすぎじゃないか?」
澤部瞳。カシラの名前だ。俺が入りたての頃から
俺はカシラに嫌われていたな。すると澤部は、
喋りかけてきた相手に深々と頭を下げた。
「お、親父。お疲れ様です!」
神山奈々。関東会鬼神連合の会長だ。
会長は、俺をあの地獄から助けてくれた
命の恩人だ。そして俺は会長に向けてこう誓った
のを今でも覚えている。
《親父にはもう迷惑をかけませんから!》
俺がこういうと、いつも親父は笑っていた。
俺は今思うと、あれが一番楽しかったのかも
しれない。
「澤部ぇ。お前俺の息子達に何もしてないよなぁ?」
親父がちょっとだけ詰め寄るとすぐに
カシラはすぐに返答した。
「いえ!もちろん手は出してないです!」
うそこけ。カシラはこの俺にけじめをつけさせよう
としてたくせに。と思った俺だがすぐに
親父は、俺の表情に勘づいてカシラに
向かってビンタをした。
「おい澤部ぇ。てめぇ何もしてねぇって言った
割には沢見の顔が暗いじゃあないか?」
「いやこれには訳が....。」
このやりとりが何分続いただろうか?
親父がこんなに怒っている姿を見るのは
久しぶりだった。確か怒る姿を見るのは
俺が極道になる前の話だったかな。
2025年、俺は親に捨てられ半グレになっていた
時だった。俺は行くあてもなく途方に暮れていて
人を殴って金を稼いでいた。しかしある時
運が悪いというか俺の行いが悪かったからなのかも
しれない。いつも通りに人を殴ってお金を
稼いでいた時、倒した相手が悪かった。
相手は関東最強の極道「関東会鬼神連合」の
若頭を半殺しにしたんだ。しかもそいつは
若頭補佐の人もいた。俺はすぐに気づいて
逃げようとしたがそんなのは無理だった。
「オラァ!」
確かあれは深夜近かった。関東会鬼神連合の
拷問室に連れて行かれ、俺はたくさん
バットやハンマーで殴られた。
「おいワレェ!お前なんで若を半殺しに
したんやぁ!」
「ゆったろ。俺は金を取るためにやっただけや。
それ以外は、ない」
そんなことを喋っても相手は信じてくれる訳が
なかった。奴らは極道で俺は一般人だ。
極道は、若頭をやられて黙る訳がない。
そのやりとりが1時間ぐらい続いた。
「はぁはぁ。」
「もう死ねやぁ!この人殺しがぁ!」
ガチャ!
扉が開いた瞬間、俺を拷問してた極道は、
口をぽかーんと開けたまま立ち止まっていた。
そしてある1人が、すぐに口を開いた。
「親父!お、お疲れ様です!」
「おいテメェら。なんでそんな一般人に、
手ェ、出してんだ?」
俺が親父に救われた瞬間だった。本当あの時は
親父の背中は、かっこよかった。
「おい沢見。ちょっとつらかせ」
俺は親父について行った。部屋に着くと
親父は、表情を変えて話しはじめた。
「おい沢見。大丈夫か?」
「ええ、大丈夫すよ親父。それよりも親父こそ
大丈夫ですか?カシラに手出してましたけど」
「澤部か?あいつは俺の息子みたいな役割
みたいな奴だ。あいつなら大丈夫だ。それよりも
大事な話があるんだ。」
「はい?」
「なぁ沢見。死んでくれねぇか?」