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ラブコメ、恋愛、アオハル~千本ノックシリーズ

親友の美少女をカラオケに誘ったらえげつない恰好で現れた話

作者: なつの夕凪


 ――高校入学後、初めての夏休みである7月後半某日。

 

 俺、緒方霞(おがたかすみ)は私鉄大田急線経堂駅そばにあるカラオケ店『カラオケ来て味噌(みそ)』で一人カラオケを楽しんでいた。


 誰にも邪魔されず好きな唄を歌うのは楽しい。

 だがどこか手持ち無沙汰を感じたため、親友の望月楓(もちづきかえで)に電話し来てもらう事にした。

 

 「カスミ、お待たせ」

 「おぅ楓、暑いところ悪いな」


 「ううん暇してたから呼んでくれて嬉しいよ」

 「そっか。喉乾いただろ? ドリンクバーで飲み物取ってくるよ。何にする?」


 「いい、自分で取ってくる」

 「じゃあ、この部屋出て右側の通路まっすぐ進むと突き当りにあるから」


 「わかった。ちょっと行ってくるね」

 「おう」


 ……おかしい。

 どう考えても到着が早すぎる。


 楓との電話を終えた後、俺は約4分ほどの曲を歌った。


 そして歌い終えたタイミングで、楓がこのカラオケルームに到着した。


 楓の家からここまで早くても徒歩20分はかかるはず。


 タクシーなどの交通機関を使ったとしても、世田谷区は狭い道が多いため渋滞しやすく4分で着くとは思えない。


 ひょっとして電話していた時、自宅ではなくこのカラオケのそばにいたのか?


 だったらわかるけど……。

 

 あと他にも()()()()()()()がある。


 「ただいま~クリームソーダーにした」

 「お腹空いてたら食べ物も注文して良いよ」


 「今は大丈夫、よいっしょっと」

 「えっ?」


 カラオケルームは入口から向かって真ん中にクリスタルテーブルと左右に黒の長椅子、奥に映像を映す50インチほどの4Kモニターがある。


 俺は入口から向かって右側の長椅子に座っていた。


 ところが楓は空いている左側の長椅子ではなく、俺の隣にくっつくように座った。


 すると左ひじにムニッとした大きくて柔らかい何かが当たる。


 いや……大きな何かの正体はわかっているが敢えて言語化したくない。


 だって()()()()()を考えてしまうから……。


 「外、凄く暑かったよ~」

 「ところで楓はさっきまで家にいたんじゃ?」


 「そうだけど?」

 「い、いや……来るの速いなと思って」


 「ん? 普通に歩いてきたよ」


 首を傾げ、きょとんとした目で間近の俺を見る。

 その仕草はとてもかわいらしい。


 ……だがしかし


 普通に歩いて来ただって!?

 徒歩20分くらいかかる距離を4分で?

 楓さんは時速80キロくらいで歩けるの? 


 大玉スイカを二つもぶら下げている割には、足が速いと中学の頃から思ってたけど、そこまで速かったの?


 それもう某SF超大作のサイボーグ並みだよ! 

 一体どうなってるの?


 ――ってしまったぁ!

 ついスイカのことを考えちまったぁああ!


 今日も楓の豊かな胸は身体の動きと連動して、ぷるんぷるん揺れている。


 しかも揺れ幅がいつもより大きい……まるで湘南のビッグウェーブだ。


 これには今着ている服装が大きく影響している。


 かわいらしいアイボリーのハイウエストミニスカートと清楚なホワイトブラウス。組み合わせはバッチリだし、何より楓のスタイルの良さを際立たせている。


 いや……際立たせ過ぎている。


 破壊力が通常時の120%増しだ。


 ブラウスを腰の位置の高いスカートの中にインしているせいでバストラインだけでなく、メリハリの効いた身体のラインが全て丸わかりだ。


 ――俺は知っている。


 あれは恋愛経験が乏しい陰キャ男子高校生を殺すその名も特殊霊装『さくらんぼキラー』。


 俺の様な陰キャはあの凶悪なぷるんぷるんを直視した瞬間に絶命するか、我を忘れ狂戦士(バーサーカー)化して異性に襲い掛かるかもしれない危険極まりない霊装だ。

 

 楓はなぜこんなにも怖ろしい格好をしているのだろうか?

 普段の言動を考えれば絶対にあり得ない。

 

 俺の親友望月楓は、超がつく真面目な性格で現在クラス会長を務めている。

 

 中学入学時からの付き合いで、進学校である今の高校に受験するために中学時代の放課後は、ほぼ毎日一緒に勉強していた。だが高校進学後は互いに忙しく、以前ほど一緒にいることはない。

 

 楓は腰まである黒髪ロングをカチューシャ編みしており、長い睫毛に大きな瞳、小さな鼻と唇で彩られるその造形は学校の誰もが認める美少女で、合わせて16歳とは思えない抜群のプロポーションの持ち主だ。

 

 最近楓と一緒にお風呂に入った義妹の証言から、その大きな胸はFカップであることが判明している。

 

 そんなチート級美少女とどうやってお近づきになったんだよ? とよく聞かれるが、楓は中学時代全くと言っていいほど目立たなかった。牛乳瓶の底のように厚みのあるレンズをした大きな黒縁メガネとおさげの三つ編み姿は今と比べるとかなり地味で、俺以外の男子と話しているところを見たことがない。

 

 しかし高校デビューと同時にメガネがコンタクトレンズに変わっただけでなく、髪型も含めリニューアルされたことにより、現在は学校でも屈指の美少女と呼ばれている。

 

 その美貌ゆえに、ほぼ毎日のように男子生徒から告白されているが「ごめんなさい」の一言で全て撃退しており、校内では初恋破壊女王(クラッシャー)または撃墜女王(エース)の楓と呼ばれ(おそ)れられている。

 

 そんな可憐で清純な楓が、今日はとてつもなくえげつない格好をしている。

 

 ――まずい。

 このままでは俺の良心が持たない。

 一刻も早く何とかせねば……。


 「エアコン(ちょく)で当たるし寒くない? ここのカラオケ、カーディガンを借してくれるらしい、借りようか?」


 「ううん大丈夫だよ。むしろ暑いくらいだし」


 とっさの判断でカーディガンで楓の露出を減らそうと試みるも敢え無く失敗。


 よほど暑いのかブラウスの襟を掴み、楓はパタパタさせて服の中にエアコンの冷たい空気を送り込んでいる。



 「あっ?」


 ――その時俺は不用意にも見てしまった。

 首元から覗く薄紫のブラ紐を……

 


 ぐはっぁああーー!!!

 目には見えない血を吐いた。


 ――緒方霞脳内倫理委員会より緊急警告発令!!


 パターンコード:レッド!


 望月楓のブラチラ攻撃により甚大な被害発生中!


 速やかに現場から退避するか、大変けしからんムフフな堕天使望月楓を沈黙させてください!



 ――やばいやばいやばいっ!


 これは緒方霞16年の人生史上最大の危機では?!


 しかもカラオケという閉鎖空間で密着度が高く、バインバインのぽよよんが絶えずダイレクトアタックを仕掛けてくる。


 このままHP(エッチなことに耐えられるポイント)を削られると緒方霞の股間で眠るアオダイショウさん(義妹が命名)が目を覚まし、カチンコチンの金属バット(こちらも義妹が命名)に変化してしまうぅ!?


 と、とりあえず今は何も考えるな!


 無になるんだ!


 心頭滅却。

 酒池肉林。

 一石二鳥。


 いついかなる時でも平常心。









 ――チーン!


 ……整いました。


 我が心は空なり、空であるが故に無。


 


 


 


 ……って

 やっぱり俺には無理ぃーー!!! 


 そもそも人生16年で何の悟りも開いてないし。


 普段から煩悩まみれだし。

 たま~にだけど無意識のうちに親友の揺れるぽよよんをガン見しちゃってることがあるし。


 ……すみません。嘘です。

 たまにじゃなくてほぼ毎日です。


 ま、待て――

 まずは落ち着こう。


 ここはカラオケだ。

 唄を全力で歌って楓を見ないようにすればいい。

 よし、そうしよう。 


 「な、なぁ楓、さっそくだけど一曲歌って」


 「ん~あんまり最近の曲を知らないから、まずはカスミがお手本を見せてよ」


 「じゃ、じゃあデュエットしようか?」

 「う、うんそれなら」


 「よし、じゃあこの曲にするかな」


 リモコンを操作し選曲する。


 ――常夏(とこなつ)の恋色フルーツ


 数年前に流行った某国民的女性アイドルグループ最大のヒット曲だ。


 難しい曲ではないし、これなら楓も歌えるはず。


 曲をセットするとすぐにイントロが流れ始め、ビキニ姿のアイドル達が南国ビーチではしゃぐ姿が映し出される。


 一人ならこの麗しい映像をゆっくり拝見したいところだが、今は余計な事は一切考えずポップでキュートなメロディーに合わせ少女の淡い恋心を唄う。


 楓はお世辞にも上手くない。

 だが一生懸命に歌っている。俺と一緒に


 「「君に会ったあの日からボクは君に夢中~♪」」


 「「君だけに知ってもらいたいこの想い~♪」」 


 「「(Endless(エンドレス) Summer(サマー)) 暑い日差しで~♪」」


 「「(Endless Summer) 焦げる身体~♪」」


 「「(Endless Summer) 君にあげる~♪」」


 「「(Endless Summer) わたしの心と~♪」」


 「「(Endless Summer) ()ける身体~♪」」


 「「(Endless Summer) 残さず食べてね~♪」」


 「「Yeahhhh(イェーイ)~ Fuuu(フー)~♪」」

 


 ってなんじゃこりゃーー?!


 家族皆で見る某年末特番で10代メンバーを含むアイドルにこれを歌わせたの!?


 歌詞がどスケベ過ぎるだろうがぁあーー!



 おい日本よ!

 マジで大丈夫か!?


 とりあえず心の汚れた大人達は全員腹を切れぇえーー!

 

 でも……この曲を楓に歌わせた俺が一番汚れているかもしれない。


 何より『蕩ける身体残さず食べてね』って……霊装さくらんぼキラーとこの歌のコンボが強烈過ぎる。


 「カスミは歌うまいね」


 「そ、そうかな? ……ありがとう。楓は歌っている時もかわいいな」


 「えっ? そんなことないよ」


 楓は両手を頬に当てて嬉しそうにする。


 すると両肘に挟まれたぷるるんがムニッとしてまた形を変える。


 薄っすらと透けていたブラジャーラインは細かい刺繍(ししゅう)も含めはっきりと見え、俺へのとどめの一撃となった。

 


 あ……もうダメぽ。

 俺のHPはゼロぽ。

 どうしてもあのおっぱいには勝てないぽ。



 前略


 天国にいる母上様へ


 ご無沙汰しております。


 さっそくですが、闇落ちする愚息と愚息の愚息をどうかお許しください。


 だって今日の楓さんはあまりにえっち過ぎます。


 凶悪な透けFカップが、陰キャ男子を殺す霊装によりいつもに増して半端ないのです。 


 俺だけ反対側の椅子に移動することも考えましたが、テーブルが透明なのであのミニスカート丈だと聖なるおパンツが御開帳になる可能性大です。


 上下の下着を揃えている場合は、聖なるおパンツではなく、青少年を破壊する邪悪な薄紫おパンツかもしれません。


 いずれにせよFカップダイレクトアタックも、ミニスカート絶対領域から拝観するおパンツも、思春期陰キャ男子に(あがな)える術などございません。


 それではごきげんよう。 


                                   草々




 ……ねぇ楓さん


 それ絶対誘ってるよね?

 もう俺頑張らなくていい?

  

 

  

 ――緒方霞脳内倫理委員会より最終警告発令!!


 アオダイショウさんのムフフエネルギー充電率が68%を突破しました。

 このままだとカチンコチンのデンジャラス金属バットに移行します。

 

 速やかに現場から退避するか超けしからん堕天使望月楓をお仕置きしてください。


 ――こちら緒方霞脳内作戦本部、了解しました。

 これよりえっち過ぎる堕天使望月楓をお仕置きします。

  

 緒方霞と望月楓の親友関係崩壊まで残り32秒……


 

      ♡~~BAD END~~♡

お越しいただき誠にありがとうございます。


お時間がございましたら「ブックマーク」「いいね」「評価」「誤字修正」「感想」「ご意見」など頂けましたら幸いです。


緒方君と楓ちゃんが出てくる長編作「 優しいだけの嘘つきは今日もラブコメを演じる ~幼馴染、義妹、婚約者、金髪碧眼、親友に迫られてます! 俺? ごくごく普通の陰キャなモブ男子ですが……」もよろしくお願いいたします。下の「なつの夕凪」のバナーからも飛べます!

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https://img1.mitemin.net/d9/fw/5rxsk5zxfnvu6olkkwnealsygys1_3ce_dw_5k_28yl.png  (冬野ほたる様作)
― 新着の感想 ―
最後のバットエンドが気になります。 その後、どうなっちゃっんだろう? 親友から恋人? もしくは、絶交? ハラハラドキドキです(≧▽≦)☆
アオダイショウからの金属バットがツボです( *´艸`) てか義妹ちゃん、何故金属バットを知っているの? 一体何が……(私も深夜テンション笑) お母さんへの手紙に吹き出しました! 私が楓ちゃんだった…
 短編化! 過不足なくお見事です。  本編でのHPは「ハーレムポイント」という感じですが、こちらでは……。手を止め思考を逸らすものがこちらにはないので両者ピンチですね。  親友関係崩壊後には、また…
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