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大正令和物語

作者: 哀川有愛

もう一度会いたい。

あの日哀しそうに手を振った、君の哀しげな笑顔を思い出す。

あともう少し早く戦争が終わってたら、徴兵なんてされなかったら….




.…僕には前世の記憶がある。


前世の僕は戦時中を生きていたらしい。

どうやら戦争から帰ってきたら結婚する約束をしていたが、戦死して最期にすら会えなかったらしい。


その悲しい思いが今世の僕の意識にもひしひしと伝わってくる….




….何故私は生まれ変わる事が出来たのだろうか。

しばしばその事を考えた。

きっと再び君に会うためだと思った。

君が死んでいたとしてもせめて御墓参りくらいはしたいものだ。


そう思ってひたすらに探した。遥々広島まで、昔君が住んでいたはずの家も訪れた。けれど別の苗字に変わっていた。


今世ではそれなりに裕福な家庭に生まれ変わることができたようで、こういう事であまり不便はしなかった。


無事に帰ってきてくださいね。

心配そうにそう言った君の声を、今でもまだよく覚えてる….




….手がかりはまだ見つからない。僕は彼女は既に死んでいると思う。

しかし考えた。もし、もし本当に神様が2人を引き合わすために、僕が前世の記憶を持って生まれたのだとしたら。

だとしたら彼女の方もその記憶を持っているのではないか?

でも、だとしたら今どこに….




….あゝそうだった、約束をしていた。帰ってきたら君の誕生日に赤い薔薇を買って迎えに行くと。

何故忘れていたんだ。こんなにも大事な事を。

君の誕生日は…偶然にもあと2日後

これも神の御導き何だろうか….




….あと2日後に広島か。でも相手の方は覚えているのか?そもそもお互いに生まれ変わっているという時点で僕の仮説なのだが…

それにそうだとしても向こうも来ているとは限らない

まあそれなら毎年行ってもいいんだけどな。

今世で会えるのを、僕も切に願ってる….




….遂に広島についた。君の家に行く途中、赤い薔薇を一本買っていった。君は今日来ているのだろうか。いや、いなかったとしても、会える可能性があるなら何年でも、何年でも行く....




....でも仮に彼女がくるとして何時にくるかわからないんじゃないか?どうするつもりなんだろう。

とりあえず行ってから考える気なのだろうか….




....君が昔いた家。2階の窓から少女が1人外を見ている。一目見て、お互いにわかった。


少女が家から出てくる。


待ってた…ずっと。

もうここには住んで無いのかと思ってた。

偶然にも同じ場所の家に生まれ変わってたの。

これも神の導きなのかな。大分遅くなったけど迎えに来たよ。遅くなってごめんね。

ううん。大丈夫。会いに来てくれて嬉しい。あとね、私もあの後すぐ亡くなってたの。一目だけでも会いたいって思った。

っそうだったんだ。同じだよ。死ぬ時に一目会いたいって思ってた。愛してるよ

私も

これからはずっと一緒に….




....フッと意識が覚めた。

なんで泣いているんだっけ。

隣には泣き腫らした見知らぬ少女。

同じ事を思った。

「「あなたは誰?」」

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