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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#97  チャージ

黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)とは以前に一度やり合ったことはある……その時はあまり強くなかったという印象があったのだが……… 」


「それは開発段階の戦闘テストの時だろう?当時はまだ完成形ではなかった。加えて力の出力も下げられていたからな。そう思って当然だろう」


 どうやらこの二人は、あのガーディアンの開発に手を貸していたみたいだ。たしかに二人はギルド内の地位も実力も相当上位だ。片方に至っては名実ともにトップだしな。


「しかし……他のガーディアンをどういう方法で取り込んでいるのかがわかりませんね………」


「やはりそこか……間違いなくなんらかの魔術ではあるだろうが………黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)の体内に刻まれた構築式は、開発者以外が書き換えることなどまず不可能……外的要因か………」


 ガーディアンと向かい合いながら、二人はこの状況となった原因を考察し始める。


「なんだネスト、お前も集中できていないじゃないか」


「黙れ。私がただ呑気に喋っているとでも思ったか」


「あぁ。そうにしか見えなかった」


「……………」


 私が正直に答えると、ネストは少し黙り込んでしまう。頭の硬い奴はなんでもそのまま受け取るからな。正直にはっきりと言っておいた方がいい。


 まぁたしかに、ネストはレイアと会話している時もずっとガーディアンを観察していた。それで、何か見つけたのだろうか?


「奴の右肩……オルフロストの火圧縮矢(フレアアロー)が命中した部分をよく見てみろ」


「む………少し……溶けている………?」


 レイアの放った炎の矢は、黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)の右肩に命中していた…そしてその部分をよく見れば、ほんのわずかだが肉体の表面が変形していたのだ。


「だが、目を凝らさんと見えんほどか………先は長そうだな………」


「あれなら、私とシルカの炎でなんとかできるんじゃないか?火圧縮矢(フレアアロー)で変形するくらいなんだから、さらに火力を上げれば………」


「いや、そう上手くはいかんだろうな……レイア、あれの筋肉量、相当だな?あいつ、相当動けるな?」


「ん?あぁ……」


 しかもただ大きいわけじゃない……人が有効利用するべく作ったのだから、わざわざ無駄な筋肉など付ける必要もないからな。


「じゃあ、なんで今全く動かないんだ?私たちがこれだけ話していてもじっとしているだけ……わざわざ待ってくれているわけじゃあないだろう?」


「言われてみれば………ッ!ということは……」


「あぁ………()()()()のさ、力を………!」


 更にガーディアンをよく見てみれば、何やら体が小刻みに震えている。攻撃するのであればこちらにさっさと向かってくればいいというのにも関わらずだ。


 魔力を練っているわけではないだろうが、奴の放つ威圧感が増している。とは言っても、ガーディアンの肉体構造など把握しているわけじゃない。全くもって専門外であるためにそこまで適当なことは言えんが、力を溜めているというのには確信はある。


「……来るぞ……‼︎」


「「ッ……‼︎」」


 そこからは早かった。


 ガーディアンは私たちとの間合いを一気に詰めてくる。その異常発達したような筋肉はやはり飾りではないようで、スピードは試験中のそれとは比べるまでもない。


「ぬうっ……!くっ……‼︎」


 狙いは私だった。まぁなんとなく察しはついていたが。あれだけ打ち込んだのだから無理もないだろう。


 ともかく、この通りだ。確かにこいつには炎系の攻撃は通用するようだ。それならば、私の模創太陽原初の火(プロメテウス)やレイアの日炎試練(ヘリオス)を用いればおそらく勝てる。が、どんなに強力なそれらも当たらなければなんの意味も成さない。


「っ……んのっ‼︎」


 やられてばかりでいられるか。私は気合いで奴の右腕を押し返し、逆に奴の懐に向かい距離を詰め、横一文字に斬撃を加える。


 だがそれでも、それは酷い金属音を鳴らすだけ。やはり自分が感じられていないだけで、かなり集中力が落ちている。だが、集中する前に奴は私に絶え間なく攻撃してくるだろう。


「ネスト‼︎悪いが時間が欲しい……!いくらほどなら稼げる………⁉︎」


「ふん……!私を睨めるのも大概にしろ……望む時間分持ち堪えてやる」


 なんだかんだ、ネストも私の実力だけは当てにしてくれているようだな。話が早くて助かる。


「じゃあ三分だ……!それで奴を真っ二つにしてやる………‼︎」


 尤も、その前に剣がおしゃかにならなければ、の話だがな………


「よし、ひとまず私が前に………」


「いや、レイアは手伝ってくれ……火力をありったけまで引き上げる………!」


「火力………そういうことか……分かった。手伝おう」


 レイアはその言葉の意味を察し、私の近くに留まった。これによりネスト一人に黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)の相手を任せることになってしまうが、おそらく本人はなんとも思ってはいないだろう。


 そもそも奴はギルドマスターであり、相当な実力者だ。今更私が心配したところで無意味だろう。




 そうして、私は剣を構える。右手でしっかりと柄を握り、左手は刃に翳す。そこから剣に向かって魔力を送り込む。属性はもちろん火だ。


「上がれ火力……燃えろ刃………‼︎」


 そこから絶え間なく送り続ける魔力は熱を帯び、刃を伝い、それを赤く染めていく―――――

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