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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#71 似た者同士はひかれ合う

 星が輝き始め、昨日同様辺りの酒場から楽し気な喧騒が聞こえ始めた頃。私とヒユウは特に寄り道をすることもなく歩いていた。と言っても、私に関しては完全な一文無し。寄り道する余裕など一切ないのだが。


「そういえば、ヒユウは今どの辺りに住んでいるんだ?もし一緒に住んでいる奴がいるなら、何も言わずこっちに来たのはまずい気もするが………」


「ううん、平気だよ。私は一人でヴェラリオに来たからね。あと、家は無いよ」


「あぁ、私と一緒だな―――はぁ!?無いのか!?」


 娘一人で野宿は流石に危ないだろう……!?いやそれもあるが………


「この街では夜中に外で寝てたら衛兵に叩き起こされると聞いたのだが………」


「そうそう!初めはびっくりしたよー!」


 聞いて聞いてと言わんばかりの表情でヒユウが語り始める。


 まず、ヒユウがこの街に来た時、私同様の素寒貧。当然運がよかった私とは違い宿の当てもなく、外国から来たのでここがどの辺りなどということも分かっていなかったそうな。私も昔の風景がぼんやりと頭に残っているだけだからそこに関してはあまり何とも言えんが。


 で、とりあえず広場のベンチで夜を明かそうと眠りについたヒユウは、さも当然かのように衛兵に叩き起こされ、その場で聴取を受けたらしい。


 この国に来たばかりの旅人なので家がないといった感じで話を進めて何とか連行されずに済んだヒユウ。


 そしてその後、その時間帯にも酒場がやっている事を知り、それから夜は酒場の前で突っ立って衛兵をやり過ごしたり、寝ていなければ何かを言われることもないだろうと散歩と称して何時間も歩いたりなど………


「なんと可哀そうな娘よ……!まだこんなにも若いというのに………!」


「いや、シルカ何歳なの……?」


「昨日十六になった」


「私も十六なんだけど………」


 なんだ、やはり同い年か。


「そういうことなら心配する必要はないな。じゃあしばらく、二人でレイアの家に厄介になることにしよう。と言っても、私にそんな権限一切ないがな………!」


「あははっ!シルカって面白いねー!」


 無邪気な笑顔がいつの間にか戻っている。ヒユウも少し落ち着いてきたみたいで何よりだ。試験まで今日を除いてあと六日。それまでに知識も体も最高のコンディションに仕上げなければならない。


「………腹、減ったな……」


「そういえば、ごはんどうしよっか………」


 いやそれ以前に、それまで何とか生き延びなければ………!






 その後、今日”は”何事もなくレイアの家にまでたどり着くことができた。


 階段を上り、今回はしっかり私の手に握られている鍵で解錠した扉を開き、私たち二人は中にへと入った。


 一人暮らしとしてはこじんまりと……いや、やはりかなり広い。これは前世の私の個室が完全におかしかっただけだろう。感覚が麻痺してしまっている。


 部屋が三つ。それに風呂とトイレ、後はベランダ。流石はトップクラスの冒険者として稼いでいるだけのことはある。

 が、ところどころ、家具などが箱詰めにされて部屋の隅に置かれている。もう一週間後にレイアはトコロナ共和国へと向かうのだ。そのための荷造りだろう。


「ひっっろぉい!!こんなところにレイアさん一人で住んでるの!?」


 初めて来たヒユウは広い部屋に大はしゃぎだ。幸いこの壁、かなり分厚いために隣に聞こえることは無いだろうが。


「………でも、もうかなり遅い時間なのに、レイアさん戻って来ないね……?」


「そうだな……こんなに長い時間、たった三十分そこらの事について聞くか………?」


 だが分からん。あのネストとかいうハンゼットの孫、もしかするとかなりねちっこい性格をしているのではないだろうか………「それでぇ?」とか、「だからぁ?」とか言って質問攻めするタイプの奴……というのは私の単なる想像だが。


 まぁ、なんだかんだ言ったとしても、奴は根が真面目過ぎるだけなのだろう。言い分は間違っていなかったし、あの状況では完全に私が悪い。試験を受けさせてもらえるだけありがたいと思わねばならないのだろうが………単純にどこか気に食わん。あいつは私とは人間的に合わない部類の男だ。


「だがまぁ。壊してしまったのだから、弁償はせねばな」


 あのガーディアン、一体いくらするのだろうか。あれだけのものなのだからさぞ製作費用がかかっていると思われる。今世で死ぬまでに返せればいいが………


「レイアさん、大丈夫かなぁ………」


「心配いらんさ。あいつは強いからな」




「………ねぇ、私ちょっと思ってたんだけどさ………」


「ん?」


「シルカって―――――」


 ぐぅぅぅぅぅ……………


「「…………………」」


 静寂に包まれた空間に突如響き渡る腹の根。よもや二人同時とは。


「……あはは……お腹空いちゃったね!」


「あぁ。金がないというのは、中々に悲しいものだな………というか今更だが、ヒユウはここに来るまでの路銀はどうしていたんだ?」


「私、路銀なんて持たずに来ちゃったからなーっ………道中の森の木の実食べたりとか、湖の魚食べたりとか………」


「まだこんなにも若いというのに………!」


「それ二回目だよ!?」


 さぁ何はともあれ、まずは目の前の食糧難をどう乗り切るかだな………さっきの話の後が多少気になるが、まぁいいか。

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