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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#62 ヒユウの真骨頂

 木刀を握った途端、ヒユウの雰囲気が変わる。自らの得物を手にしたことにより、ようやく本気を出せるといった感じだ。


「凄い集中力だな……ッ!?あれは……魔法!?」


「ホワァァイ!?樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)は通常攻撃しかしないはずだろう!?」


 ガーディアンが、紫色の火の玉を生成する。数は十六個。それを一気にヒユウめがけて放つ。

 高速の火球。それは初級魔法である火圧縮弾(フレアボール)よりもスピードは遅いがその代わり高温であり、かつガーディアンが使っている陽炎のように揺らめいており、その輪郭が捉えづらい。


「………蛇昇流、堅守の型……!」


 ヒユウは防御の構えを取り、迫ってくる火球を引き付ける。


 最初にヒユウの射程圏内へと到達した火球であったが、それは瞬く間にヒユウの前から消えてしまう。


「……魔法を、切ったのか?火の玉を、木の武器で……?」

 

 レイアも、それを見て驚く。


 揺らめく火球の芯を、ヒユウはあの一瞬に近い時間で見切った。火球の中心を木刀で見事に捉え、それを打ち消して見せたのだ。

 更にその斬撃の速さにより、木刀に引火する前に火球を消してみせた。簡単なように見えて、かなり難易度の高い技だろう。


「アメェェイジィィング………ヒユウ、今最高にエキサイトしてやがるなァ………!?」


 私も戦いを眺めているが………ヒユウの奴、自信に満ちた顔をしている。

 

 決して楽な相手ではないだろうが、それでも楽しそうに刀を振る姿は、どこか親近感が湧いてくる。


 途端、再びの陽炎。ガーディアンが再び姿を一瞬消す。

 今度は、ヒユウの頭上。ガーディアンは足を突き出し、彼女を踏みつぶさんと仕掛ける。いくらヒユウでも、あれほどまでの巨体を受け止めるのは無理だろう。


「それは……悪手だよっ!蛇昇流、蜷局の型!………からの……乱撃の型ッ!!」


 ヒユウお得意であろう受け流しが再び出る。ヒユウはガーディアンの足元から脱出し、足の周りを回りながら上昇し、その間絶え間なく斬撃を浴びせる。まるで、蛇が巨人の足に纏わり付くかのような。


 だがもちろん、当たり前だがその木刀は木製であるため、ガーディアンが切断されることはない。多少の凹みは付いているようだが、ガーディアン自体が破壊されることは恐らくない。これはあくまでも修練。よくできているものだ。ドン・アルマロの努力が伺える。


「さぁっ!これで………おしまいっ!!」


 ヒユウの二度目の頭部への攻撃。使い慣れた武器、乗っている力も攻撃も先ほどまでのサーベルとは大違いだろう。その強烈な一撃は、ガーディアンをよろめかせ、尻餅をつかせてみせる。そして、


 ジリリリリ……ガチガチガチ……………


 ようやくそこで十分が経過。ガーディアンはその動きを停止させ、体中を再び魔力の鎖が縛る。


「ふぅぅぅ………何とかなったぁぁ………!」


 ヒユウもその場に座り込み、うーんと声を漏らしながら背伸びをする。その仕草は、先ほどまで激闘を繰り広げていた少女とは思えないほど落ち着いていた。


「お疲れ。思っていたよりも相当やるじゃないか!あとで私と一戦どうだ!?」


「いいよ!でもまずはシルカもこれをやってみてよ!」


「あぁ!そのつもりだ!」


 あんな戦いを見せられては、体が疼いて仕方がない。

 さて、自分に合ったレベルに強さが設定されるということだったが、果たして私の相手となるガーディアンはどれ程の強さなのだろうか。考えただけでとても楽しみだ………!






「………あの子たち……私、ギルドでも見たことがないんですが………相当名の売れた冒険者さんなんでしょうか……?」


「いや、彼女らは次の冒険者試験の受験者だよ。青髪の方がシルカ・リザリア。オレンジ髪がヒユウ・シュドラーテ。まぁ、合格は確実だろうな」


 第二階級冒険者、ギルド内でもトップクラスの精鋭の口からそんな言葉が出たことに驚くギルド職員。レイア・オルフロストという人間の強さをよく知っているその女性は、無言で肯定するように首を縦に振った。


「そうでしょうね……リザリアさんの方は見てないので何とも言えませんが……シュドラーテさん……彼女はすでに第四……少なくとも、第五階級クラスの実力があると思います………」


「そうだな………ちなみに、シルカの方も自分の強さは隠す気はないようだから言うが………あっちは、私よりも強い」


「えぇっ!?第二階級のオルフロストさんよりもですか……!?じゃあ、あの子がガーディアンを起動したら……一体どれ程までに………」


 ギルド職員、そしてジェニスも、まだシルカの戦っている姿を見ていない。故に、いくらレイアの言葉であろうとも、その心は半信半疑。


 レイアと親しい仲であるのならば、少し贔屓にし過ぎているのかもしれないと、二人は心のどこかで思っていた。が、その考えは、一分後には改めねばならなくなる。






「さぁ!私の番だ……!」


 先ほどのヒユウとは違い、私はしっかり最初から得物を握りしめている。そしてもちろん、それは片手剣。


 準備は万端……!意を決して、私は台座に左手をかざし魔力を注ぎ込んだ―――――

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