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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
夜明之戦王編 栄森の炎壁

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#557 汝ら、闇の原初へと誘われ その13

「うはぁ! 全っ然終わる気がしないね!」


「落ち着けヒユウ、終わるまで殺せば終わる。あと、その場のテンションで暴れすぎると体力が持たないぞ!」


 私たちが街の戦場に参加してから、かれこれ三時間ほど経過していた。


 もちろんとうの前にニコラスたちも追いついて来ており、現在ここでは人と魔物の混戦状態。特殊な搦手や魔術などを使ってこないのでまだやりやすいが、おそらくこいつらは何かしらの時間稼ぎに使っている雑兵。早いところ増殖の原因となっている魔法陣を探さねば、冗談抜きで一生終わる気がしない。


「大体……こいつらを増やすのに必要であろう魔力はどっから用意しているんだ⁉︎」


 およそ二週間。シェラーにグレイ、そしてルベートたち騎士団の人間総がかりで殲滅にあたっているのだ。おそらくは今のペースと変わらぬ増え方だろうし、それが一切減っていないのは説明がつかない。


 パッと思いつくのは、なんらかの方法で魔力を作っているか、どこか別の場所から魔力を供給しているか……それとも、これだけ浪費しても使いきれないほどの魔力を有した魔物が存在しているか……


(そんなのがいるとすれば、正真正銘の化け物だな……)


 もしいるとすれば、そいつがこの魔術の発動者なのは間違い無いだろう。とはいえ、この大規模な召喚魔術……増殖魔術か? を行使できるようなレベルの魔物となると、その種類は相当限られてくると思うが。


「っと、神炎圧旋風波(フレアバスター)!!」


 掌の上に天玉を通じた竜の魔力、そこから生み出した炎を圧縮し、それにもう片方の手で生み出した風属性の魔力塊を一気にぶつけ、前方へと一気に押し出した。瞬く間に炎は敵を焼き殺す範囲をどんどん拡大し、飲み込んでいく。


 これは、私が冒険者になる前から使っていた火属性魔法と風属性魔法の合わせ技である炎圧旋風波(フレアストリーム)の強化版。火の部分を天玉を用いた超火力の炎に置き換えただけのもの……だが、それだけと侮るなかれ。通常のそれよりも威力、火力、範囲……その全てが格段に跳ね上がっているこの技は、もはや大抵の雑魚であれば一発放っただけで一掃出来てしまうような力を有しているそれは、目の前の魔物に対しては相当効果的だ。


 それに加え、少し前に使用した浄化之(シルヴァーズ)銀焔(・イレイス)よりも遥かに燃費がいい。いや、あれに関しては向こうが燃費が悪すぎるとも言えるが……まぁそれはいい。ともかく少々威力は落ちるものの、持久戦となれば今使ったこちらの方が有効打と言えるのは、間違いないだろう。




 だが、そんな戦場が保っている硬直状態が揺らぐことは一切ない。私が一気に広範囲を焼き尽くしてもまた次が。それを灰にしたとて、また次がやって来る。本当にキリがない。


 しかしそんな地獄のような状況でも、何時間と続けば意外と慣れてしまうものだ。そうして迫りくる魔物を牽制しつつ、私はここからどうしたものかと思考を巡らせていた。


(とはいえ、シェラーたちが回復するまではここを離れられん)


 客観的に見たとしても、現在この戦場における魔物の二割程度は私とヒユウ、そしてナルクが請け負っている。そんな中で私たちがこれらを無視して進めば、他の者たちへの負担が相当なものになってしまうことは明白。そして、今休ませている彼らさえ戻ってくれば、私も自由に動くことが出来る。故に、今はこの場を凌ぎつつ、出来るだけ敵の数を減らすことに心血を注ぐのだ。


「さぁもっと燃えろ……! 片っ端から焼き尽くしてやる……!!」


 この先、おそらくは連戦……それもかなりレベルの高いものが続くと予想できる。なるべく肉体は酷使せず、出来る限り魔法、魔術だけでどうにかしたい。それらが全く疲れないというわけではないが、フルで剣を振るうよりは体力を温存できるだろう――――




「ッ……!? 二人とも! あっち見て、森の方……!!」


「ん? 一体どうし――――って、なんだあれは……!?」


「それに、空に何か……こっちに向かって…………そうか、モナたちか!」


 戦いの道中、ヒユウが別の方向の空に浮かぶものと、鮮やかな赤紫色の炎に包まれた森を視認した。こちらへ中々のスピードで飛んできているのは、間違いなく少し前、シルカの頼みで森へと向かったモナたち三人。そして、森の中に取り残されていたのであろう、他の者たちの姿。


「あの感じ…………ヒユウ! 一度後方に下がって、モナたちの様子を見て来てくれ! ナルクは私とここに残って、殲滅を続けるぞ!」


「「了解っ!」」


 そうして戦場の手前、設営された拠点へと降り立つのを確認したヒユウは、そのまま一人そこへと向かった。そして刀を鞘に戻し、それを握って走り抜ける彼女の様は、以前に比べてかなり頼もしく思えるようになっていた。

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