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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
夜明之戦王編 求力の者達

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#499 魔物の意思

「なんだって……⁉︎ 誰かが……」


「意図的にぃ……? そんなことありえんのかよ……」


「ま、リリアがそういうんなら、間違いないんだろうねぇ。あんたはこういうことには嘘はつかないし、根拠のないとんでも結論なんて、アタシたちに言ったことないしねぇ」


 変わらず魔物の掃討に取り掛かりながらも、隊長クラスまでもがリリアの出した結論に対し、一切疑うことなく驚きの声を上げる。実際、リリアを含めここにいる全員が、最初は元々あった湖が何らかの要因によって変質したものとばかり考えていたからだ。


「……でも、本当に魔術によって出来上がったものだとして、一体誰が……魔法や魔術を使うのは人間、あとは竜くらいだろ?」


「だが、人がやったにしてはあまりにも規模が大きすぎる。とはいえ、竜の方も考えにくい……劇薬を生み出す竜なんてものはどんな伝説にも存在していない……そして、意図があまりにも理解不能だ。至る場所の池や湖を強酸へと変えるのならばまだしも、ここだけというのは……」


 このリフィルートへ来るまでの道のりの中で、小さな池や川などもたくさんあった。しかし、そのどれもがごく普通の水。なんならその水をマルクスが道中たらふく飲んだというのに、彼の体は何ともない様子。彼らがこの場所へやってきた後にその全ても同じく強酸へと変貌している可能性も否めないが、ひとまずはこの場所だけと考えても問題ないだろう。


「人でもなく、竜でもないとなると…………魔物、とか?」


「何言ってんだいマルクス、魔術を扱える魔物が、竜の他にいるわけ…………いや……ありえる……かもね」


「っえぇ⁉︎ マジすかぁ⁉︎」


「なんで自分で言っといて自分で驚いてんだいアンタは?」


 当てずっぽうで言ったのだろう。マルクスは自身の言葉がイロラに肯定されたその瞬間、まるで信じられないとでも言いたげに彼女の方にすぐさま首を向ける。


 そして、イロラがそんなことを言うのは、ちょうど周辺で城を守っている鎧を纏った魔物の存在があったからだ。無差別に人間を襲ってこない以上、誰かが魔物を操っている……もしくは、魔物自体に意思があると考えられる。


 しかし、もしそれが前者であった場合、なぜ部外者かつ敵の脅威となるであろうヴェラリオの騎士団を数の暴力で攻撃するなり、強酸湖に突き落とそうとするなりしないのか。野放しで泳がせておくのはあまりにも危険だと言うのに、一向に駒を使ってくる気配がない。


 となればやはり後者であるが、これこそ本当に考えられない。神魔である九天竜であるのならばまだしも、ただの骸骨やリザードマンなど、せいぜい第七か第六、よくて第五階級程度の強さしか持ち合わせていないような魔物が、自分の意思を持つ魔物、意思を持てるほどの知能を持ち合わせているなど、これまでのどんな突然変異個体にもいない。本来ありえないことなのだ。


「なるほど……意思を持った個体となると、これまた戦いが難しくなりそうですな」


「どこまでの知能を有しているのか、それも重要になってきそうですね……会話が可能なのか否かも気になります」


「できることなら、一体捕獲して、研究所で調べてもらいたいものだな。最近、また一人優秀な人材が入ったと聞く。きっとなんとかしてくれるだろう」


「おいおい、まだ終わんねぇのか? 議論だとか考察だとかは後にしてくれよ。頭痛くなってくるぜ」


 左手で頭を抱えながらも、ジルヴィオは周囲に残っていた雑魚を一掃していく。その見た目と性格通り、頭より体を使う方が得意である彼は、ほんの少しの文句を言いながらも人一倍動くことで、この議論の場での存在意義を獲得していた。実際、彼が魔物を引きつけ、そして倒してくれるおかげで、他の騎士たちも心置きなく話に集中できていたのだ。


「しぃっかしキリがねぇなぁ。どんだけ倒してもどんどん湧いてきやがる……!」


「流石に不自然ですなぁ……マルクスよ、今周囲にどれほどの魔物がおるのだ?」


「少々お待ちを…………うげぇ、さっきよりもちょっとずつ増えてますねこりゃあ……八百……いや千は超えてますわ……」


「そんなに⁉︎ マルクスさんの間違いじゃないんですか⁉︎」


「はぁ⁉︎ 何年索敵やってると思ってんだ! 間違えるわけねぇだろ‼︎」


「はいはい後にしなよ二人とも! とりあえず、湖の解析は終わったんだ。次は魔物の討伐に集中しな!」


 協力しなから強酸湖の情報を手に入れた一行。次なる情報を求め、次は魔物の分析へと本格的に取り掛かる。

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