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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#49 つれられのんびりまちさんぽ その4

 公衆浴場。思い出してみれば、騎士団内でも一時話題に上がったことがあったような気がする。


 当時はそういった施設が初めてであり、色々不安な声も上がっていたようだが、それらは結局取り越し苦労に終わった。

 

 普段入る小さな風呂では味わえないような解放感、そして体の疲れを極限にまで癒す効果があるとされ、たちまちリアマルトの名物となったそうな。


 足腰にがたが来ていた私も一度行ってみたいとは思っていた。結局行くことは最期の最後までなかったが、こうして再び入る機会を得ることが出来たのは僥倖だろう………だが……………


「……グッ………」


「どうした?入り口で立ち止まって?」


 先ほどから私の心臓ははち切れんばかりに暴れており、心なしか呼吸も荒い。


 仕方なかろうて。今私が立っている入り口というのには、赤い暖簾が掛かっている。つまり………女湯だ。


(まずいまずいまずいまずいまずい……………!)

 

 本来であれば、私は青い暖簾の方、男湯の入り口をくぐらねばならない。こちとら元とはいえ騎士、騎士である前に成人男性だ。決っっっしてこの先を見ることなど……ましてや入ることなど絶対に許されないのだ。

 

 だが、もし今の私(体は娘)が男湯の方など入って見ろ……即座に向こうは大パニック……最悪の場合、考えたくはないが……犯されてしまうような気がしてならない……………


 とはいえ、私の中身は合計百の(じじい)………今更娘の裸如きで欲情などしない………はずなのだが、どこからともなく私の中に現れる男としての勘が、なんとなくそうではない可能性を醸し出している。あともっと言えば………この若い体は非常に正直だ……………


「レイア、私はロビーで待っているから、ゆっくり入るといい………」


「さっきからなんだか様子がおかしいぞシルカ?というか、お前も汗をかいてるんだ。しっかり温まらないと風邪をひいてしまうぞっ………!」


「ちっ、ちょっとぉ!?」


 なぜだろうか、この床かなり滑りやすい………そのままずるずるとレイアに引きずられ、とうとう私の禁断の園への侵入を許してしまった……………






「そういえば初めてだったか。なるほど、それで緊張していたというわけか。まずはここで服を脱いで、そこから浴場に向かうんだ。その点は普通の風呂と一緒だな」


「はがっ……はわがががが……………」


「歯が痛いのか?ケーキで虫歯ができてしまったか……?」


 違うわ天然娘!!


 心配そうな顔をするレイアに思わず叫びたくなってしまったが、ここは人の目もある………


(め……目のやり場がない………!!)

 

 非常にまずいことになった。非常に。


 日が落ちた頃、クエストなどを終えてきたと思われる者たちが、汗を流そうとこの地に集結してしまっているようだ。


 そして風呂に入るという性質上、その全員が服を脱いで素肌を晒すこととなる。当たり前ではあるのだが、その当たり前に今私は惑わされているわけだ。


「ほら、脱いだ脱いだ。そのままじゃ本当に体を冷やしてしまうぞ」


「しっ……しかし………」


 それならもういっそ目を瞑ったまま体を冷やし続けていた方がいいのではないだろうか。いや、きっとそうに違いない………


「さっきから何を恥ずかしがっているんだ?……………そいっ」


「ひゃあっ!?なっ、なにを………!?」


 刹那、レイアが何かを確認しようとするかのように、突如私が今はいていたスカートを下着ごと下におろす。咄嗟に隠そうとするがそれを読まれていたのか、何よりも先に私の両手首を掴んだレイアによってそれを阻止される。


「……………もしかしてそういうことなのかと思ったが……やっぱり、()()()()()な?それだというのに、一体何なんだその反応は?」


「ぅぅっ……くっ!」


 このシルカ・リザリア……一生の不覚………かくなる上は、もうどうにでもなれ………!!


 もう知らん!私は上も一気に脱ぎ捨て、客用のロッカーにそれを放り込む。一糸纏わぬ姿となった私は………あぁ駄目だ。周りを直視できない……………


「ほら、行くぞシルカ。水が怖いわけではなかろう?」


「あ……あぁ……ッ!!でっっ………ゴホッ!?ゴホッ!!」


 それを言っちゃ終わりだ!!絶対に終わりだ!!いろんな意味で!!






 あまり周りを見ないようにしながら、私はレイアに連れられ浴場にへと向かう。


 平常心……自分の体だけを見て………


(………自分の体も女だ……)


 変に昂ってしまったせいで、自分の体でも少しそういう気分になってしまう……流石に一線を越えてしまうか……?これ以上は取り返しがつかなくなるので自重せねば………


 ………周りの者はともかくとして、流石は街の名物となるだけのことはある。

 城の風呂も中々の広さだったが、ここは更に大きい。しかも一つだけではない。多種多様な風呂がパッと見るだけでも存在しているのが確認できる。


「………これは贅沢だな」


「そうだろ?しかも入浴料もかなり安い。毎日通う冒険者も少なくない」


「気持ちはなんとなく分かるな………」


 人が多いことと女湯であることを除けば、まだ体験していない今でも通いたくなってしまうような魅力があった。それでは、いざ行ってみるとしよう………!


「あ、かけ湯を忘れるなよ」


「カケユ?」


 そういえば初めてだった。ここのルール的なものがしっかりとあるのだろう。レイアに教えてもらいつつ、ゆっくりと行こうか。

正直に言いましょう。こういう回書くの、最っっっっっ高に楽しいです。

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