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ケラサスの使者 メイキング  作者: 岡倉桜紅
4/6

4 第一章のテーマ、tips

~星座について~

コピー「冒頭は、トマト農家のシラヌイが弟のカンペイに向かって、理科の教科書を読んでいるシーンからだな」

ローレン「楽園は球体の壁に覆われてるから星は見えないんですよね」

イオ「さそり座とオリオン座が出てますが、これは最初からコピーに姉妹がいる設定を匂わせるためだったようです」

コピー「最後まで読まないと誰も気づかねえよ」

イオ「黒の塔のやたら豪奢なお風呂場の天井画にも、三人の言い争う天使が描かれていて、これも匂わせですね」


~ゼム編~

イオ「ゼムは創意工夫や発明が得意な、学園に通う少年ですね。この性格は、楽園というものが、勉強はさせるけど、それ以上の発明などは許さないような場所という説明も兼ねています。結局ゼムはネオという元いじめっ子の少年にその性格を肯定され、自分に自信を持つことができます。どの世界でも人間の新たな物を生み出したいと思う意欲はあるものなんですね」

コピー「作者は、今読むと臭い友情とエモでお腹いっぱいになってしまうって言ってたぞ」

ローレン「ペンでの戦闘やモンダイという存在の説明も兼ねてるので削れないんですよね」

イオ「試験の時、Bb9が味が分からないと言っていたセリフも後の伏線となっています」


~セトカ編~

イオ「僕のパーティーで長く付き合うことになるセトカだけど、最初は悩みを抱えていましたね」

コピー「勉強して数学が得意になったけれど、別に数学は好きじゃないし、その仕事に就いてもきっと楽しめない。周りの人はセトカのことをすごいヒトだと決めつけて過剰な期待をしてくる。そんな中、自分が地元の友達などをほったらかしてまで本当にやりたいことはこれだったのかという悩み、自分は数学がそこまで好きじゃないんじゃないかと気づいてしまう焦りが募っていくんだな」

ローレン「これは実際、作者の受験期の心境そのもので、進路に悩んでた作者の心はまさに荒野をひとりで歩いてる感覚だったそうですよ。数学はまあまあ好きだけど、四六時中やっていられるほどじゃない。理系の教科は得意だけれど、文学や哲学に興味がちょっとある。高い学歴は必要なことのように周りから口を酸っぱくして言われているし、自分でもそう思えるけれど、学歴を得て、それからしたいこともあんまりない。ハイレベルな社会で社畜になるのは嫌だ。でも、今更進路は変えられない。理系の勉強しかしてこなかったし、多くの時間を費やして偏差値の高い大学に受かるための勉強をしてきた。このままいくのも不安で、でも、今までを捨てることもできない」

イオ「きわめて個人的な感情を書くためにセトカを使ったんですね。でもまあ、それを書いただけじゃ物語としてアレなので、ツガルというキャラを適当にひねり出して、ひともんちゃくあることで、便宜的にセトカを前向きにし、僕のパーティーに入る流れに持っていきました」

コピー「セトカとツガルのやりとりを読んで「?」となる人がもしかしたらいるかもしれないが、多めに見てほしい。作者自身がまだ悩んでるのに完全な心の切り替えが描けるわけないもんな」

ローレン「サイクロイドの自転車は何で登場したんですか?」

イオ「たまたまそこを書いてる時期にサイクロイドをいうのを知って、水面に蛍光色のサイクロイドを描く自転車があったら素敵だな、と思って急遽ねじこんだそうです。ただの自転車でも十分移動手段として問題なかったとは思いますが」


~黒の塔にて~

ローレン「黒の塔での一コマで、コンピュータが必要だからとコピーがホープをハサミで襲うシーンがありますが、最後まで読んでから読むと、恐ろしいことをしてますよね」

イオ「確かに。ホープの中にはウノが寄生していて、ウノはコピーにハサミで刺されて死んでますからね。トラウマですよ」

コピー「知らなかったんだよ。悪いことをした」


~知識祭~

コピー「知識祭にイオとセトカが潜入するところでは、井戸の秘密に触れるわけだが、あまりにも門番が弱すぎ、あれだけやっといて誰にもばれないのは不自然だろというクレームが入ったことがあったので、作者はその時、「これは伏線なんです」と何も考えずに言ったというエピソードがある」

ローレン「後に私がもみ消してあげた、ということを明かして、不自然さを伏線に様変わりさせることになんとか成功した例ですね」

イオ「その節はお世話になりました」


~ノウ教~

イオ「僕とセトカがカンペイの家の借金をなんとかしようとしているとき、ノウ教というR1に関係していそうな宗教が出てきます」

ローレン「地下のヒトたちは宗教に頼りたくなっちゃうほどひどい生活で、希望がなかったんです。R1という、ちょっと悪いけど大きな組織の下っ端になれば、明るい所を歩けなくはなりますが、今よりはいい給料がもらえるということは地下の常識として広まっていました」

イオ「はい。そのノウ教ですが、最初はその宗教が崇める神はウノって設定になっていました」

コピー「ええ?私の姉妹が神?だからノウ教?」

イオ「さすがに神にしちゃうと、いろいろ面倒だし、話の着地点が見えなくなると言うことで、その設定は後から消えました。その後の物語でこの宗教が出てこないのはそのためです」


~R1について~

ローレン「ギルバートとウィルマっていうR1の下っ端とのバトルが最初のR1との接触になりましたね」

コピー「そもそもなんでR1って名前なんだ?」

イオ「作者は乳酸菌飲料の方のR1が大好きだからです。あと、R1のメンバーはルートとローレンを除き、全員これまでにあった台風の名前がつけられています。ウィルマとギルバートはその中でもあんまり被害が無かった方の台風で、カトリーナ、マリアは甚大な被害総額をもたらした台風だったそうです」


~花札バトル~

ローレン「この物語の登場人物の大方は幸せになっていますが、数少ない幸せになってない人物がこちら、ウィルマとギルバートの姉弟ですね」

イオ「花札バトルのらへんは、地下という場所、そこに住むエラーズという存在、ギモンが暴走したらどうなってしまうのか、の説明のためのエピソードでした。ギルバートの父の人生はゲームみたいなもんだ、のセリフから厭世が漂います」

コピー「結局姉弟はどうなったんだ?」

イオ「それはみなさんの想像にお任せしますが、少なくとも二人は幸せにはなっていません。ギルバートは腕を失い、カードゲームももうできませんし、ウィルマは捕まりました。もしかしたらギルバートは後の王城へのテロに参加したかもしれません」


~雪夜のダンス~

ローレン「雪夜のダンスは、突然物語に関係ない兵士二人の話でしたね。柵越しにダンスをするシーンがロマンチックです」

イオ「突然知らない登場人物の話が始まって戸惑った人もいるかもしれません。この話は、アイデア自体はかなり前からあって、ケラサスの使者にどうにか組み込めないかと考えていたシーンだったそうです。シーンの情景をまず思いついて、そこにつなげられるような話の展開にしていったようです」

ローレン「理系文系の違いを超えたあまりに美しいダンスに、理科大臣の心を融かしたんですよね」


~カズとスウの恋~

ローレン「作者の数学好きアピールが見えるエピソードとして、スウとカズの恋愛がありますね。数学を織り交ぜながらも、最後は結局根性やアクションで解決してますけど」

イオ「この話を書くためにいろいろネタになりそうな面白い問題を探したそうです」

コピー「スウとカズってこの話を通してちゃんとくっついた唯一のカップルじゃないか?」

イオ「確かに。もしかしたら作者が忘れてる組もあるかもですが、結婚まで行ったのはそこくらいかな。ヒトヒと天原はこの話が始まる前から結婚してるし、結婚してないと、この話が始まっていないので考えないものとします」


~なぞなぞ様~

イオ「アメの一族は山に住んでいまして、その山には風鈴を鳴らすとモンダイが出てくる祠がたくさんあります。ゼルダの伝説に出てくる祠をイメージして書いていたそうです。なぞなぞ様はせんとくんやチョッパーをイメージしています」

ローレン「サミダレという弓使いの青年が出てきますが、彼はいつも無口だけど急にギャグを言うネタ要員みたいなポジションになってますけど、最初はそういうつもりは一切なくて、無口で強い弓道人って設定だったみたいです」

コピー「弓を使ったシーンも書きたかったそうだ」

イオ「なぞなぞ様がR1に盗まれて列車に乗って追いかけるシーンがありますが、あれは、単純にアクション映画でよくある、列車の上で戦闘のシーンを書きたかったそうです。ここでローレンは殺し屋の一面を見せます」

ローレン「それまではただのヒロイン枠かと思いきや、ここで急に闇深くなりますね、私」


~人間になりたかったAI~

イオ「シグレが家出して黒の塔に行き、Bb9によって自らが生まれたことを知り、暴走しますが、サミダレが弓の道で培った教えと兄弟愛でなだめ、なんとかなるという話です。コピーがキレるという姿が見られますね」

コピー「この話は、第一章の中では一番力を入れて書いたエピソードだったそうだ。もし自分がロボットによって生を受けたと知ったらどんな気持ちになるかを考えた結果、こういう話になったらしい。ロボットによって生を受けたことにショックを受ける少年だが、広い視野で見たら、楽園という世界では生命係の私によってすべての生命が生み出されている。楽園すべてのヒトが、私、コピーという千年生きてる、もはや人間かどうかわからない存在に生まれさせられているわけだよ。Bb9は生命を生み出して人間に近づきたかったが、そもそもこんな世界で生命を生み出すことが人間に近づく道なのかどうかも怪しい」

イオ「コピーは、ロボットが命を生み出しちゃだめだ、と言ったけど、その理由を上手く説明できませんでしたね」

コピー「この話は、『ロボットは人間になることはできない』というところを前提としている。私はそれをわかっているけど、どうして違うのかを説明できなかった。そして仮説を立てる。『ロボットは愛がなくて、人間は愛がある。だからロボットは人間になることはできない』。しかし、その仮説も本当かどうかわからなくなって混乱する」

ローレン「愛について勉強したくて、他のヒトの人生のラブシーンを観まくってましたね」

コピー「それは作者自身の一面を私に投影していたらしい。私は若干サイコパスじみたところがあるけど、作者もまた、愛とか他人の感情がよくわからなくて悩んでいた時期があった。で、勉強のために映画をよく観るようになったようだ」

イオ「前述もしましたが、ラブシーンのつなぎあわせはニューシネマパラダイスのオマージュですね。作者のお気に入り映画の一つです」

ローレン「Bb9が食事をしようとするシーンも印象的ですね」

コピー「人間になりたいという気持ちと、どうしてもなれないという哀しみを表現したかったようだ。リンゴになりそこなってできたトマトっていうのもまた、それの暗喩に近い」

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