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6 ローズマリー=イベレスト公爵令嬢

少し早歩きをして、ようやく四年生のAクラスにたどり着いた。教室内は少しざわざわしている。

スラン先生が横開きのドアを引き、教室内に入るとすぐに静かになる。私は先生にエスコートされるような形で、教壇の横に立つ。


「おはよう、諸君。今日は新しい仲間を紹介する。噂でも聞いていたかもしれないが…聖女エマだ」


「初めまして、エマと申します。学園に通うのは初めてなのでご面倒をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」

私はそう言って、本日何度目かのカーテシーをする。ほぅ、とため息が聞こえたような?大丈夫なやつかな?ドキドキするぅ。


「ローズマリー」

先生が声をかける。私もそちらを見る。

「はい」

とても気品のある、美しいアッシュブロンドの髪に赤紫色の瞳を持った美少女が立ち上がる。少ぉしだけつり目の、気の強そうなところがまた、いい。

「エマ、彼女はローズマリー=イベレストだ。しばらく彼女が君の面倒を見てくれる。ローズマリー、よろしく頼む」

「承知致しました」

うわあ、イベレスト家って公爵家じゃん!

確か王太子殿下のご婚約者様だよね?

うわあん、畏れ多い~!淑女の仮面、すぐに剥げそう…

目立つ人との関わりは慎重にしたいけど、「聖女」だと仕方ないところもあるかあ。権利と義務は同じ重さになる、うん、仕方ない。


ローズマリー様がこちらに歩み寄って来る。

美しい…


「初めまして、聖女エマ様。我が国の宝にお会いできて光栄です。精一杯勤めさせていただきますね」

そして優美なカーテシーをする。

私は一瞬惚けてしまったが、慌てて立て直す。表情には出てない…よね?

「こちらこそお願いいたします、イベレスト公爵令嬢。未来の国母様とご一緒できますこと、大変光栄でございます」

もちろん、私もカーテシーですよ!

何度でもやります!


そして一瞬の沈黙。あれ、何かダメだった?とローズマリー様を見ると、とても驚いた顔をしていた。

ん?と思ったが、ローズマリー様はすぐに表情を戻された。

「聖女様、どうぞ私のことはローズマリーと」

ホントに畏れ多いわ…

「ありがとうございます、ローズマリー様。私のこともエマと」

「はい、エマ様。改めてよろしくお願いしますね」

ローズマリー様の微笑みに、私も微笑み返す。


仲良く出来たらいいなあ。


「挨拶は済んだか?では二人とも着席しなさい。エマ、席はローズマリーの隣だ」

スラン先生が少しだけ微笑みながらそう言った瞬間、クラスメートがざわっとした。

「え…スラン先生が笑った…?」

「白昼夢?」

「槍でも降るか…?」

私の位置からだと、はっきりと聞き取れない。

何かのあったのかしら…


「では、エマ様こちらへ」

「あ、はい」

ローズマリー様に何事もなかったように案内されたので、気にしないことにした。




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