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私は仕事がしたいのです!  作者: 渡 幸美
第二部

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26/108

6 パジャマパーティー開催

「ねぇ、実際のところ、どう?ハルト」

「いきなりブッこんで来たわね……」


うーん。


「ちょっとアレだけど、悪い子じゃないわよ」

アレって……でもまあ、

「悪い人ではないんだろうなあとは思う」

「年下嫌とか?」

「いや、それはないかな。前の旦那様、年下だったし」

「え、何それ、そっち聞きたい!聞いても平気?」

前の亡くなり方を気にしているのだろう。

「うん、まあ、それは大丈夫だけど、やっぱり恥ずかしいかな……」

「えー!いいじゃん、聞きたーい!どこで出会ったの?」

「えぇ…ほんとに恥ずかしいんだけど……まあ、仕事で…イベントのクライアントだったの」

「ほうほう、それで?」

こうなるともう、公爵令嬢はどこへやらだな。人のこと言えないけど。


「私は入社して3年目だったんだけど、向こうは1年目でね。初めてのイベントだったのよ。あ、もちろん先輩に付いてね。で、まあそりゃいろいろ企画をするわけですから、打ち合わせとかでしょっちゅう顔を合わせていて」

「そこで口説かれたの?」

「まさか。真面目な人だったもの。仕事中には全然そんな素振りはなくて。責任感もあって、すごく一生懸命で、いい新人さんが入ったわね、くらいにしか思ってなかったわ。

……それが、イベントが無事に終わって、みんなで打ち上げの時に、すっごい大きな花束を持って現れて」

「きゃー!!」

ローズはもう、目がキラキラしている。うっ、やっぱり恥ずかしい……

「……くれたのよ」


「ちょっと、誤魔化さないで?」あ、バレた。

「その、…私の仕事してる姿がカッコ良くて一目惚れしました、って。そして仕事を一緒にするうちにいろいろな面も見られて、ますます好きになりました、っ、て……」

ああ、もう!!顔が熱い!!!

「年下ですけど、付き合ってください!って言ってくれたの。わ、私はそんな事思ってもいなかったから、凄く驚いて……反射的にハイって言っちゃったのよね」

「へ~」

ローズさん、ニヤけ過ぎです。

「あ、はいって言っちゃった、って、すぐに思ったんだけど、すっごくいい笑顔をしてるし、まあその、仕事も真面目で好印象だったし、いいかなって……」

最後はごにょごにょになってしまう。

「結局、それって無自覚だったけど、エマも好きだったってことよね!」

「~~~!」

もう許して下さい。


「いいじゃない、素敵な思い出!…でもあれね、無意識的に今のエマの仕事に対する姿勢?みたいなの、残ってる感じよね」

……言われてみれば。

仕事している時がカッコいい、って嬉しかったんだよね、確かに。忘れているようで、忘れていなかったんだな。……最終的に、嫌いで別れたとかじゃないし。

「……そうみたいね」

「でもそうだよねぇ…好き嫌いでのお別れじゃないもんね……って、ごめん、無神経に」

「いいのよ。でもあれよ、ウチはたまたま、ちょっと早いお別れだったけど、世の中の多くの人はそんなお別れだからね?」

「それも、そうだけど」

「逆に今、何だか幸せで不思議な気分よ。こう、ローズと話していて、いろいろスッと腹に落ちたと言うか」

「……そう?」

「うん。強がりでもなく」


「エマの旦那様も、こっちに来てたりするかしらね?」

「勘でしかないけど、いないと思う」

「なぜ?」

「もう隠しても仕方ないから言うけど、ウチは仲良しだったから」

うん、理解してる、という顔のローズ。

「私がいなくなった後…しょげられ過ぎても困るから、子どもたちをお願い、って、勝手な発破をかけたの。彼のことだから、きっと頑張ってくれたと思う。想像でしかないけど、同じ時に転生ってないような気がする」

「あ…そうか……」

ローズも思い当たったのだろう。たまたま、かも知れないけれど、ローズとジークを考えても、そんな気もするし。所詮、人間が輪廻どうこう考えても限度があるよね。


「何だかしんみりしちゃったけど、毎回同じ人生じゃないし、私はちゃんと完結してるから!エマはエマとしてちゃんと楽しまなきゃ勿体ないからね!ローズとジークみたいなバカップルだって目指しますよ!誰かと!」

「ちょっと、バカップルってひどくない?……でも、益々大切にしようと思うわ」


「じゃあ、今度はローズ達の馴れ初めね!」

「えっ」

「えっ、じゃないわよ、当然でしょ?」

「う…分かったわよぅ」

ローズの照れ顔は何度見ても可愛い。

「えっとね…」


夜はこれからです。


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