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私は仕事がしたいのです!  作者: 渡 幸美
第一部

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15 久しぶりの王城

学園から王城までは馬車で20分くらいの距離なので、あっという間に着く。

馬車は貴賓門をくぐり抜け、豪華なエントランス前につけられた。

「王城隣の治療院には毎日の様に行くけど…中に入るのは久しぶり。ちょっと緊張しちゃう」

「中に入るのは、聖女として陛下にご挨拶以来になるの?」

「うん、そうだね」

私たちが入り口でコソコソ話していると、奥の方からジークが二人の護衛騎士と共に出迎えに来てくれた。

「ようこそ、聖女様、ローズ。お茶の準備はできているよ、案内する」

「殿下、本日はお誘いありがとうございます」

ローズがカーテシーをする。私も続く。

「二人とも、気楽にしてくれて構わないよ。さあ、行こう」

「「はい」」


大国と言われる国だけに、お城は中も外も豪華絢爛だ。でも品がある。前世で海外旅行もあまり行ったことがないので、ついキョロキョロしてしまいそうになる。TVで観たような、ヨーロッパの世界遺産の様なお城。置かれている調度品も、凝ったものばかりだ。

「ここだ、どうぞ」

ジークがそう言うと、やはり美しく装飾をされている大きなドアを、騎士が開けてくれる。

「ありがとうございます」

「失礼します…」

部屋の中に入る。

うわー!綺麗!秀麗!美麗!美々しい!そして広い!うちの実家より広いんじゃないか…まあ、当たり前か…


「エマ嬢、こちらへどうぞ」

「あっ、はい」しまった、また呆けてしまった。

仕方ないわよねー!こちとら前世からずっと庶民なもんで…


お部屋にいた侍女の方たちが、手早くお茶をセッティングしてくれる。さすが王宮侍女の方々。早くて丁寧。

「セッティングが済んだら、皆は出てもらって構わないよ。後は自分たちでやるから」

「承知致しました」

侍女さんが部屋を出ていく。騎士の二人も部屋を出て、ドア前待機。


「さて、と。エマ、この部屋に防音結界を張ってもらえるか?」

「はい」

部屋を包み込むイメージで。

「できました」

「さすがだな!では早速、昼休みの続きを話そう。スイーツも遠慮なく食べてくれ」

「わあい、いただきます!おいしそう!ローズ、どれがオススメ?」

「うーん、王宮のはどれも捨てがたいんだけど…このソフトクッキーかな!」

「どれどれ…ふわっ、美味しい!」

「でしょ?良かったー!今度ね、エマと王都のカフェにもほんとに行きたいの!」

「行きたい、行きたい!」

「……行くのは構わないし、ローズ、友達になって嬉しいのも分かるけど…話していいかな?」

「「あっ、ごめんなさい」」

二人で目線を合わせて笑う。

それを見て、ジークもどこか嬉しそうだ。


「うん…、で、さっそく。これなんだけど」

ジークが七色のキャンディーを出して、テーブルに置く。

「ジーク、これが、例の?」

「そう、虹色のキャンディー。普通に王都の人気の菓子店で手に入る。いろいろ調べさせても、何の変哲もないキャンディーなんだ」

「…見せてもらっても?」

「もちろんだ」

私が手にしてみても、特に変化は起こらない。

普通の、綺麗な飴ちゃんだ。

「…ちょっと、この包みごと借りていい?」

キャンディーは、もともと10センチくらいの小さな袋に入っていた。それごと両手で包み込む。

「…元気が出ます様に」

手から光が溢れて、やがて静まる。

「エマ、それは?」

「うん、光魔法。私、治療院のお手伝いもしてるでしょう?そこで薬に光魔法を付与すると、効果があがるのに気づいて」

「ああ、父からも聞いた。でも、誰にでもできるものでもないようだな?」

「そうみたい。たまたま、私が薬作りを手伝ったものが効きがいいと院長が気付かれて…学園の校舎は、表面を魔法で覆ってるでしょ?それを中に入れる感覚?説明は難しいのだけれど。最初は無意識だったし」

「それをこのキャンディーにもやってみたのね?」

私は頷く。

「よし、食べてみよう」

「えっ、ジークが?」

「まずいのか?」

「いや、変なことにはならないとは思うけど…」

「なら、いい。何かあったら治してくれ」

まあ、そうだけど…

ジークはコロンと躊躇いなく飴ちゃんを口に入れる。

「なるほど、疲れが取れるな。何でもできるようなと言うと語弊があるが、やる気も出るようだ」

「私もいい?」

ローズも口に入れる。ちょっと、王太子と王太子妃……

信頼してくれてるのは嬉しいけど。

「ほんと!元気になる!」

「小さい飴だし、効果はせいぜい半日くらいだと思うの」

ファイトー!いっぱーつ!!みたいな。あら、古い?

「「なるほど」」

それで、ですが。


「それで……この飴に、『私を好きになって♥️』みたいな魅了魔法が付けられたら、ゲームみたいになりかねないかなあと……」

思ったりする訳です。


ちょっと怖いです。

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