二人のご加護
コンテスト一次通過にはしゃぎすぎての番外編です(^^;
楽しんでいただけたら、嬉しいです。
他の作品も更新しています、よろしければ、是非!
僕はアーサー=シェール。聖女のママと、王弟でシェール公爵のパパの、長男です。8歳になりました!
今日は、ママとローズ伯母様、二人一緒での本気の加護式なんだ!
あ、いつも適当にしているんじゃないよ?ママもローズ伯母様も、普段だって聖女の祝福として、心を込めているよ!
けど、今回は特別。
よく遊んでくれたミルお姉ちゃんと、時々構ってくれたエトルおじちゃんが婚約をして、遠い遠い他の国へお仕事に行くので、そのために長い時間を保てる、強ーい加護を二人につけるらしい。
とっても大事なお仕事みたいで、女神様もお手伝いしてくれるみたいなんだ!すごいよね!
なので、今日はなかなか入っちゃいけない、神殿の「女神の間」というところでご加護を付けるみたい。僕も初めて入った。あといるのは、大神官さまになったルース様と、ご加護を受ける二人と、王様のジーク伯父様とママとローズ伯母様だけ。僕が入れて貰えたのは、僕が光魔法を使えるからなんだ!ママみたいに聖女とは違うみたいだけど、僕はたくさん魔力があるんだって!僕は大きくなったら神殿に入りたいから、嬉しいんだ。それと、僕を女神様に紹介?もしたいみたい。ごあいさつ頑張ります!緊張しちゃう。
あ、そろそろ加護式が始まるみたいだ。
女神像の前にミルお姉ちゃんとエトルおじちゃんが膝を付いて、頭を下げる。
ママとローズ伯母様が、お姉ちゃんとおじちゃんの、それぞれ斜め後ろに立って、いつもの祝福のように祈りを捧げた。
ママとローズ伯母様の祝福やご加護は、とてもきれいなんだ。虹みたいにいろいろな色がキラキラと輝いて、受けた人の中にそれが入って行くの。僕はこれを見るのが大好きなんだ!
いつものように、きれいだなあって見ていたら、女神像が不思議な光で輝き出して、とってもとってもきれいな女の人が出てきた。ママにも、ローズ伯母様にも似てる感じの人。
「エマ、ローズ、直接会うのは久しぶりね。いつもあなたたちの頑張りを見ているわ。ありがとう。ジークもね」
「「「女神様、ありがとうございます」」」
ママとローズ伯母様と、ジーク伯父様が答える。わ、本当に女神様なんだ!すごい!
僕が感動してじっと見ていると、女神様と目が合った。
「ああ、この子がアーサーね。ええ、しばらくは聖女は生まれないけれど、ルースと共にこの国を支える光魔法使いになるでしょう。二人に、私から祝福を」
女神様はそう言って、ルース様と僕に祝福をくれた。わあ、体と心がキラキラする感じ!
「あっ、女神様、ありがとうございます!ごあいさつが遅れました、アーサーです!アーサー=シェールです」
「改めまして、ルース=ハーベルト大神官です。祝福をいただき、恐悦至極に存じます。ますます励むことを誓います」
僕たちの言葉に、女神様は優しく微笑んで頷いてくれた。そして、お姉ちゃんたちの方を向く。
「では、本日はこちらが本番ね。ミル、エトル。困難も多いと思うわ。けれど、貴方たちにはそれを乗り越える力があると信じます。少しでも力になれるよう、私からも加護を贈ります」
「「ありがとう存じます、女神様」」
女神様と、二人の聖女による加護は、僕には言葉が難しいほどにきれいだった。虹と、星と、青空と静かな夜が、キラキラぐるぐると二人を囲って。
「何て、幻想的な……」
ジーク伯父様が、うっとりと言った。そうか、幻想的っていうのか。なるほど。
その幻想的な光は、少しの間二人の周りを回って、すーっと体に吸い込まれていく。
ママとローズ伯母様が閉じていた目を開き、女神様は僕たちを優しく見回して、去っていった。
「これからも、楽しみにしてるわね」
と、言葉を残して。
「ふわあ、きれいだったなあ……」
僕の一言に、皆が一斉に力が抜けたように笑った。
僕の大好きな皆の笑顔だ。
女神様のご加護がたくさんのこの国で。僕も皆の役に立てるように、いっぱい魔法の勉強をするね!




