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空飛ぶドワーフは前々前世の記憶で無双します  作者: なかむラテ
空飛ぶドワーフ編
9/10

第9話「ものづくり」

グリズリー討伐から、数時間後。


スカンジナビアダンジョンから無事に帰還したウルは、採掘して来た大量の魔鉱石を「火にかけては打つ」をひたすらに繰り返していた。


無事といっても、大して危険はなかったわけだが、グリズリーを単独討伐してしまったことはさすがの父も驚いた。


側から見れば奇跡の生還ではあったが、その話はほとんどすることなく、今は日本刀を無我夢中に《創作》途中だ。


『この前納品したレベルの日本刀を30本』


それが父から伝えられた修行メニューの第一ステップだった。


魔鉱石とは、鉄鉱石にマナが染み込んだ鉱石であり、加工方法は鉄鉱石とほとんど変わりない。

この世界には、マナが染み込んだ鉱石は多種存在しているが、その中でも魔鉱石は武器創作における基本的な鉱石でもある。



考えて作って、やり直して、また作る。

素材の構造の理解、火の見極め、細部までのこだわり。


「がむしゃらにかつ本気で、ひたすら作ることでしか経験は得られない」。


それが父の教えだった。


・・・・・・・・


「温度の見極めが甘い。これだと折れるぞ」


・・・・・・・・


「鉄を打つ力が弱い!!」


・・・・・・・・


「おい!力任せに打つな」


・・・・・・・・


「弱い!1回でも打つ強さを間違えるな。そのくらいの意識を持て」


・・・・・・・・


「剣先の強度が出ていない。没だ!」


・・・・・・・・


「よし!いいだろう!後20本」


・・・・・・・・


「集中しろ!もっと良い鉄を観察しろ!」


・・・・・・・・


ウルはひたすらに魔鉱石を打ち続けた。


寝る時間や食事以外はほとんどを《創作》作業に費やし、修行を開始してからの日数は10日間にも及ぶ。


気付けば、工房の外には約50本の刀が転がっていた。


すると、久しぶりのシステム音が脳内に流れる。


《・・・スキル《創作》がLv.10となりました・・・スキル《創作》は進化が可能です・・・》



「父さん」


「来たか?」


「はい」


眩い光がウルを包むと、スキル《創作》はスキル《創造》に進化した。


すると、今までの疲れがどっと押し寄せ、ウルは気絶するように眠りに入ったのだった。


・・・・・・


目を覚ますと、そこはベッドの上だった。


ウルは2日間、起きなかったのだ。


修行中だったことを思い出し飛び上がると、1本の刀を持った父が立っていた。この10日間で打った50本程の刀はもうどこにもない。


「起きたか」


父はウルに持っていた刀を渡して言う。


「この刀は、お前が48本目に打ったものだ。見たところこれが一番品質が高かった。これを見てみろ」


「ん?品質Lv.18?」


ウルはその刀を見ると、何故か品質レベルがわかったのだ。


「それがスキル《創造》の効果の一つだ。武器の特徴、構造、品質が瞬時に理解できる。俺が作った刀の品質Lv.は20。どこが違うかわかるか?」


ウルは目を凝らし刀を観察する。


「剣先が若干弱いようです。おそらく8回目の火入れのタイミングが1秒遅かった・・・」


ウルは刀を見ただけでその弱点がわかった。


「そうだ!その刀の反省を生かして、今から1本打ってみろ。それが最後の1本だ」


父にそう言われ、ウルは再び工房に入る。


そして、集中。


手に取った魔鉱石の素材感。


火が入りやすい面を想像する。


火に入れ、叩く。


がむしゃらではない。


しっかりと火を見極め、鉄の状態を見極め、力加減を調整する。


スキル《創造》を得たことで、その動作までもスムーズにそして正確にこなせるようになっていた。


そして、ウルは51本目の『日本刀』を完成させた。


父はその刀を一瞥すると納得したように頷く。


「よし!これがお前の相棒となる武器だ」


そう言って父は、金色に輝く鍔を渡してくれた。ウルはそれを丁寧にしっかりと取り付けると、鞘に入れ、腰に刺した。


自分だけで作った、初めての実践武器。なんともしっくりくる。


その刀の品質はなんと、父が《創造》し、王国に納品したしたものと同等Lv.20だった。

第一章まで出来ているので、面白いと思っていただけたらブックマーク、評価お願いします.

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