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始まりの、終わりの 13-20

これはpixivにも投稿しています。

先ほどとは打って変わって、異様なほどの静けさが辺りを包む


ふふふふふ・・・


ガタガタと震えて懸命に声を殺す敵兵。口に手を押さえているが、恐怖が漏れてしまってる。どうかここを通り過ぎてくれと願う。


コ・・・コ・・・


装甲で覆われた軍靴の音が響き渡る。その様はまさに、死神が近づく音そのもの。


あまりの恐怖から目をつむるが、脳裏に焼き付けられた光景は未だに脳にその映像を映す。目を開けても閉じても同じ光景が見える・・・


ふふふふふ・・・


言葉にするのが難しい呼吸音が漏れる


コ・・・コ・・・コ・・・ スタ・・・


ビクッ!


止まった、止まってしまった。ついに止まってしまった。聞きたくないけど、聞こえてくれた方がマシだったあの音が。自分のいる部屋の前で止まった。


ひ・・・ひひ・・・


男は恐怖した、あの死神はこちらに来る。悪魔なんて生易しいものじゃない、もっと恐ろしいものだ。問答無用で命を刈り取る姿はまさに死神。神話は・・・現実となった。


コ・・・コ・・・ギィ・・・


床のきしむ音がする。近づいてる、奴は確実に近づいている。


コ・・・コ・・・


その音が大きくなるたび、まるで自分の命のタイムリミットが迫っているように感じた。駄目だ、男はひたすらに祈る。おぉ神よ、どうか助けたまえと。必死に必死に祈る。彼は屈強で勇敢な戦士だ、もちろんみんなそう。みんな自分の国を、故郷を取り戻すために戦っている。みんな死ぬのは怖くない、なぜなら故郷のために戦うのだから。

しかし・・・今回ばかりは違った。他の拠点からの連絡が突然途絶え、アフガンの悪魔が来る事が現実になってきたからだ。みんな信じてない、そう言っている。でもほんとはどうだろうか?心の底では信じてるんじゃないか?2年前、あれだけ猛威を振るったアフガンの悪魔・・・あれ以降はシリアで現れたという情報があるがそれが本当かも分からない。

大丈夫だ、2年前とは違う。みんなそう思っていた。だがここにいるのは恐怖に怯え、隠れる事しか出来ない兵士たち。故郷よりも、自分の命の事を考えていた。他の事を考える余裕は無い、ただ早くこの時間が終わってくれと願っている。


コ・・・コ・・・


近づいてる、部屋は暗いとはいえ、そいつは確実に、障害物に引っかかることなく進む。


コ・・・


止まった、ついに止まった。男が隠れるベッドの脇付近まで来てしまった。ベッドの影に隠れてるとはいえ、その距離数メートル。男は必死で抑える、声が出ないように。これでもかと言うほど抑える。口も押さえる。


アルメガ「ムゥ・・・イナイナァ。サッキマデ沢山イタノニ、ドコ行ッタンダロウ」


キョロキョロ回りを見渡す、視線を下げれば男がいる。恐怖で動けない者が。


っ・・・


背筋が凍る。自分の体温が下がっていくのが分かる。置物の如く動かない、心臓の音が頭に響き渡る。その心臓の音でさえ止まってくれと願うほど静かにしたい。何も考えられない、頭が真っ白になる。あぁ、いっそ気絶してくれたらどんなに楽だろう。


アルメガ「ムゥ・・・ドコニイルンダ・・・遊ボウヨォ、オ友達ニナロウヨォ。ボクハタダ遊ビタイダケナノニ・・・。ミンナヤッタデショ?戦争ゴッコ、幼イ頃ニ。敵役ト正義役ニ分カレテサァ。ボクガ敵役ヤルカラ出テキテヨォ。ネェエ~、寂シイヨォ~。ボク一人ハ嫌ナンダヨォ、小サイ頃イツモ独リボッチデサァ。友達少ナカッタンダァ」


っ・・・


動かない。全く反応をしない。どう聞いてもそれは死のささやき。反応したら死ぬ事は本能で分かっていた。


アルメガ「ハァ・・・ショウガナイ、ジャア隠レンボデイイヤ。ホントハ追イカケッコガシタカッタンダケドナァ。コレカラ見ツケルヨォ~!ミンナ~!聞イテルカ~イ?」


誰も反応しない


アルメガ「ソリャソウダ、隠レンボダモン。声ナンテ出シタラ見ツカッチャウモンネ~、サァ行クヨ~?」


ッ・・・ ぐっと身構える


アルメガ「サァテドコカナ~」コッ・・・コッ・・・


軍靴が遠ざかる


……ほ…


ゆっくり…ゆっくりと胸をなで下ろす


だが・・・


アルメガ「バァ!」バッ


突然アルメガが現れる


ひ・・・!


アルメガ「ミ~ツケタァ・・・」ニタァ


ぎゃあああああああああ!!!!!!


この兵士の悲鳴は建物内の他の兵士のみならず、他の建物に隠れてる兵士にも聞こえた。


・・・彼らがその時何を思ったのか。味方の無事を祈る?成仏を祈る?違う・・・。味方が犠牲になってるうちに逃げよう、だ。普段仲間思いで決して仲間を見捨てない彼らだが、この時そんなことを考えてる暇はなかった。まさに極限状態、人間の本性が醜いまでに出る状態だ。しかしそんな彼らでも、暗黙の了解があった。

・・・それは、こっそり逃げる事。仲間が犠牲になってるうちに、彼らは声を殺してゆっくり逃げる。誰も騒がなかった、誰も走らなかった。この極限状態でも、唯一共通した行動だった。


アルメガ「アギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!!!!コォンナ所ニイタンダァ?」


ぎゃああああああ!!!来るなァアアアアアアアア!!!!!


アルメガ「嫌デェエエエエエス!!!!!」


うわぁあああああ! スッ


咄嗟に銃を構えようとする


だが・・・


アルメガ「オットソレハイケマセン」バッ!


う・・・!


銃を取り上げられる


アルメガ「フゥム・・・自分ノヲ使ウヨリ弾ノ節約ガ出来ルナァ」


ひ・・・


アルメガ「サァテ見ツカッタカラニハ、オ仕置キシナイトイケマセンネェ」ス・・・


銃を構える


ひ・・・やめろぉおおお!!!!


アルメガ「ギヒ・・・良イ悲鳴ダ・・・」


バババババババッ!


ぐわぁあああ!!!


明らかに沢山弾を撃ち込みオーバーキルする


「「「!!!!!」」」


他の仲間が、その惨劇を聞いた。音だけでも、彼らの恐怖をあおるには十分だった。早く逃げよう、みんなそう思った。


アルメガ「フム、弾薬ノ節約ヲシヨウ」


そう言い、持ってる銃の予備弾薬を穴だらけの体から剥ぎ取り、鎧に装着する


アルメガ「コノ鎧ハ沢山弾薬ヲ装着デキルカラ良イナァ」


彼の鎧には磁石が付いており、彼が使う銃の弾倉が装着してある。彼の持つ弾倉にも磁石が付いており、重ねて装着が可能だ。弾倉まで専用設計、それほど彼のこだわりは凄い。

因みに、専用弾倉以外の弾倉も装着可能だ。普通、弾倉は鉄製なのだ。したがって彼の鎧にも装着可能だ。ただし専用弾倉より磁力は落ちるので、過信はいけない。


アルメガ「・・・一応コイツニサプレッサー付ケルカ」カチャカチャ


そう言い、先ほど外したPDWのサプレッサーを再びPDWにつける。


アルメガ「ヨシ完了。ア~メンド、コレナラサプレッサー外スコト無カッタノニナァ」


アルメガ「コイツラガ持ッテンノ・・・AKカ。イヤ、コレハ模造品ノ56式ダロウナ。全ク・・・カラシニコフガ可哀想ダ」


スタスタ・・・


アルメガ「オォオオーーーーイ!!!ミンナァアアア!!!聞コエルカァアアアア!!!!」


ビクッ!


アルメガ「今カラ見ツケルカラナァアアアア!!!!待ッテロヨォオオオオ!!!!!!」


大声で叫ぶ


その不気味な電子音声は、まさに死神だった


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