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始まりの、終わりの 小話4-12

これはpixivにも投稿しています

アリー「さて、大将の仮面についてなんだが…彼は仮面を作りすぎて、仮面の外し方を忘れてしまったんだ」


「「「え?」」」


アリー「正確には、仮面のない自分を忘れてしまった、という方が正しいかな。さっき仮面を使わずに接する事が出来る友人がいるって言ったけど、彼と話すときだけは素の自分を思い出せる。でも普段は自分がどういうやつかたまに忘れちゃうらしい。」


「え…」

「どういう事だ…」


アリー「みんながいつも見てる大将は、彼が自分を良くしようと見せてる姿だ。明るく振る舞ってみんなに好かれる大将も、彼が生きていく上で身に着けたものだ。仮面を被って多くの人と話し、虜にする。それはいわば彼が身に着けた人心掌握術の一環さ。」


「「「…?」」」


アリー「よし、ハッキリ言おう。彼はいつも本心で話してない」


「「「え…」」」


アリー「いつも何かしら嘘を練り込んでる。」


「え…どういうこと…」


アリー「えーっと…これまた訳の分からん話だが、その嘘に大将自身が騙されている。だからよく自分自身で悩んでるそうだ。自分とはなにか。仮面を被りすぎて、その仮面が素顔だと思ってしまっているんだ。」


「「「…」」」


みんな混乱して言葉が出ない


アリー「ということは、彼が今まで見せた優しさも、言葉も、思想も、嘘ってことになる。」


「そんな…」

「じゃあ今までのことは…」

「いよいよ頭が追い付かなくなってきた…」


アリー「ここで誤解してほしくないのが、彼は本当に今の状況をなんとかしたいと思ってる。本心はみんなを思ってる。これだけは信じてほしい。100%真実だ。でも、本心を映す表面の部分、つまり表情は嘘だ。不器用だから自分の思いを理解してほしくて、みんなに好かれる人物像を作ってるんだ。」


「…」


アリー「みんなに好かれようと仮面をつけまくったらそれが素顔になった。おかげで自分でもはがせないくらいね。あの人はそういう人さ。気に入られようとして偽る。そのせいで…壊れちゃったんだけどね…」


「え?」

「壊れた?」


アリー「ほら、彼って自分嫌いじゃん?あの人体実験さ。」


「え?」

「えー…マジかよ…」

「俺はあの人好きなんだけど…素でも良いと思うんだけな…」


アリー「ぐうたらで弱い自分が嫌いだから、精神も体も徹底的に痛めつけた。おかげで手に入ったのは強い体とそれを動かす精神。それに引き換え犠牲にしたのは、寿命と人格。寿命はさっき話した通り。人格は、滅茶苦茶にし過ぎて再構築する必要があった。やっと再構築したのは良いものの、それは元に限りなく近い偽者。再構築に使った材料も、彼が散々生み出してきた仮面。彼はますます自分が分からなくなり、自分について思考しないよう常軌を逸した人権もクソもない訓練、人体実験をするように…。彼で実験する人も、彼の訓練を補佐する人も、みんなもうやめてくれと懇願した。」


「え…やってる側が懇願?」

「なんてこった…」

「…」


アリー「これは…コターさんが話した方が良いと思います。自分は全部は知らないので…」


コター「そうだな…ここからは俺が話そう。あいつの実験や訓練では、必ず誰かがいた。両方とも解析と評価をするためにな…だが…みんな辞めてしまった…奴の実験や訓練がすさまじ過ぎて、見てる方が耐えられなくなってしまったんだ…。辞退者が多すぎて、ローテーションする事にしたんだ。それでなんとか記録は出来たんだが…。大将の…自分嫌いは激しかった…薬や極限下の訓練で奴の精神は狂い、ついには自分を痛めつける事を至上の喜びとしてしまった…」


「嘘…」

「なんてこった…」

「えぐすぎる…」


コター「さらに、自分が苦しんでるのを確認できるよう鏡まで設置しやがった…。あいつは自分が苦しんでる姿見て、楽しいと言いながら訓練や実験をしていた…」


「考えられん…」

「言葉が出ない…」

「っ…」


コター「はは、もうほんと地獄さ…俺も見ていられなかった…。いくら周りが止めようと、奴はやめなかった。そうして生まれたのが、感情が崩壊したあの戦闘マシーンだ。訓練で奴がたまに人格を失うのはそのためだ。人格がない、つまり自我がほぼ崩壊し、理性のブレーキが外れたらもう誰も手が付けられん。」


「確かに…訓練で大将が発狂したときは上官たち、みんな慌ててたな…」

「でも発狂と言っても、いくつか段階があったような…」

「あったね、発狂してもある程度会話は出来てた…制御が出来ないほど発狂してた時は一度も見てない気が…」


アリー「俺は…一度だけ見た…」


「え?」


アリー「あの状態になったらもうおしまいだ…。麻酔弾なんてまず効かない。肌に刺さらないからな。例え麻酔成分が入っても、汗となって体の外に排出しちゃうらしい…。あの状態になれば、自分が発狂前に敵と認識した相手と攻撃してきた相手を攻撃するんだ…。半端な発狂では注意散漫になったりとかデメリットがあるけど、完全に発狂した場合は違う。冷静とは言えない状態なのに、普段冷静な状態より正確に敵を狙う。武器を持たせても同じだ…剣だろうが槍だろうが銃だろうが…同じだ…」


「そんな…」

「あの訓練の時よりつえーのかよ…」

「想像が全く出来ない…」


コター「あぁ、凄いぞ。実際、完全発狂でこなしてきた任務の数は計り知れん。やつのあの能力が、フリーダムフォースをここまで有名にしたと言っても過言じゃない…」


「そこまで…」


コター「奴は完全な戦闘マシーンとなった。しかしそれでは実生活に支障が出る。精神を治す必要があったんだが…いかんせん人格がほぼ崩壊してたからな…みんな奴の狂気に当てられて実験や訓練をしてたし・・・ほぼ暴走と言っていい状態だった・・・。俺も・・・その一人だった・・・」


「コター上官まで・・・」



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