始まりの、終わりの 小話4-10
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コター「あいつが…いつもみんなの前で見せてる姿は、本来の姿じゃない。あれは仮面だ。」
「え…?」
「嘘…」
コター「奴は過去の自分が大嫌いでな。あいつは昔、相当なやんちゃ坊主らしくてな。幼稚園から中学校まで問題ばかり起こしてたらしい。」
「うわ…」
「そんなことが…」
コター「その時はまだ素で振る舞ってたらしいんだが…そのうち自己不信になってな。ああ見えてあいつはメンタルがとても弱い。俺も一度怒ったことがあるんだが…次会うときはとてもよそよそしくなってな。何をしてもすげー他人行儀でさ。さっきまでの明るさなんてとうに消えてた。俺はそんな怒ったつもりはないんだが…それで酷い目に遭ったなぁ」
「え?」
アリー「あぁ、その話ですか。詳しく言います?」
コター「やめてくれ、思い出したくない…。まあとにかく、あいつは案外メンタルが弱い。弱い時もあれば強い時もある。それがいつかは分からん。あれ以来俺もあいつとの接し方に気を付けたよ…。あ、話に戻ろう。あいつは過去に色々やらかして、二度と同じ過ちをしないようある対策を練った。何か分かるか?」
「いえ…」
「全くです…」
「なんだろ…」
コター「仮面だ」
「「「仮面…?」」」
コター「そうだ。あいつは色んな人間と話す際、常に仮面をしている。仮面とは物理的なものでなく、性格だ。相手の機嫌を損ねないよう、自分の感情や考えをコントロールするんだ。」
「コントロールですか…」
コター「そうだ。過去の失敗から得た相手を見るという事。あいつは初対面の相手にはもちろんよそよそしい態度をとる。そこから一定の交流を重ねると、徐々に自分の気持ちを出し相手の限界点を探る。」
「限界点…」
コター「相手がどれだけ自分の気持ちを受け止められるかの限界点だ。相手が限界点を超えて何か不快な思いをしたら、それ以上は自分の気持ちを抑える。そしてそれ以降その限界点を超えないよう努め、相手に合った仮面を作る。次からその人物に会ったら、その仮面を使う。こうしてあいつは接する相手それぞれに対応する仮面を作り、自分の性格もある程度矯正したんだ。それが、今日まで続く奴の人望の根源と考える」
「なるほど…相手に合った仮面を用いて相手と交流する…興味深いです…」
コター「だが、一見高度そうに見えるこのコミュニケーション法も、社会では通常使われているものだ。なんら不思議ではない。」
「え…そうなんですか?」
「おいおい、いつも自分の気持ちさらけ出すやつがいるか?」
「あ、確かに…」
コター「あいつはああ見えて不器用なんだ。人との交流が苦手で、何度も失敗してきた。挙句の果てに人を傷つけまいと考案した最終手段がある。」
「最終手段…?」
アリー「…」
コター「人と一切交流を断つことだ。」
「え…」
「なんだそれ…」
「交流を断つって…今バンバン交流してるじゃないですか!?」
アリー「“今”はな」
「今…は?」
アリー「…」
ため息をつくアリー
コター「人との接し方が分からないあいつが編み出した最終手段だ。だが、常時交流を断つ訳にはいかん。だから必要な時だけ交流する。そしてそれ以外は部屋にこもる。」
「そんな…」
コター「もう一つ聞くが、あいつが一人でいる所を見たことあるか?」
「いえ…」
「常に誰かいるな…」
「大体、コター上官やダンガン上官、それにアリーさん…」
コター「そうだ、常に誰かそばにいる。さもないとあいつは部屋にこもる。」
「でもみんなの相談に乗る時は一人だったような…」
アリー「途中までは一緒さ。大将の仕事が立て続けにある時は一緒にいないけど…。仕事がない時は部屋で訓練してるからね。みんなと訓練する時は仕事って認識なのさ。それ以外はずーっと部屋。こっちから呼ばないと誰とも話さない。自分からは絶対、とは言わないけど、かなりレアだね。
「そうなんですか…」
「そんなに交流が怖いんですか…」
「あの大将が…」
コター「そうだ、怖いんだ。自分のせいで誰かを傷つけるのが。友達を失うのが…怖いんだ。もう一つ重要な情報を教えよう」
「はい」
「次はなんだ?もう何聞いても驚かないぞ?」
「なんだ…めっちゃ緊張する…」
コター「あいつは、人を信用してない。」
「「「え!?」」」
コター「いや、正確には完全に信用はしてない、かな。君らは俺らに対しても、大体80パーセントくらいは信用してるって言ってたな。」
「そんな…」
「俺らは100パーセント信頼してるのに…」
「ああ…」
コター「因みに親などの家族に対する信頼は40パーセントだそうだ。」
「え!?ひっく!」
「俺らの半分じゃねえか…」
「なんで…なんかあったのか…」
コター「あいつは色んな人間の気持ちが分かるって言ってたな?」
「えぇ、だからテロリストや犯罪者の気持ちも分かるって…だからみんなこうやって付いていくんです」
「自分も元テロリスト、というか武装組織出身ですが、こんな自分たちの気持ちを分かってくれる大将を信頼してます」
「俺も」
コター「人の気持ちが分かる。人の気持ちに敏感な故、人間不信なんだ。」
「「「…」」」
コター「それに…まあ色々あったしな…。因みに先ほどの80パーセントという値、本人に言わせれば相当信頼してるって意味らしい」
「え?」
「なーんだ…」
「安心した…」
コター「あ、一つ訂正だ。奴の両親に対する信頼だが…40パーセントではなかった。」
「はぁ…そうですよね…親ですもん…」
「あービビった…」
「何があったんですかね…」
コター「40パーセント未満だ」
「は?」
「もっと低いじゃん!?」
「マジかよ…」
コター「んで、それから続けるが…奴にとって信頼度が81%以上なのは相当珍しいそうだ。因みにこの組織で一番やつが信頼してるのは誰だと思う?」
「えーっと…コター教官…とかですか?」
「んー沢山いそうだから分からないな…」
「でもコター教官が、俺らでも80%って言ってたし…んー」




