始まりの、終わりの 小話4-9
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コター「今でこそ色々分かってるから、俺とかは最短で強化が出来る。薬も、ちゃんとしたものを使える。だが大将がやってたのは…手探りで答えを探すことだ。寄り道も沢山した。それがどんどん奴の体を蝕んでいった。」
「そんな…」
コター「それから、奴はさっき言った実験以外も沢山やってた。それに加えて常軌を逸した訓練。あらゆるものが奴の体を蝕んでいた。君らも知っての通り、我々外国人幹部はレベル3の治療を受けられる。だが、奴の体はそのレベル3の医療技術でもどうにもならないくらいボロボロだった。いくら治療しても、奴の体自身がそれまでの事を覚えていた。根本的に、つまり遺伝子レベルで治療すれば、その強さが失われる可能性があった。だから奴は拒否した、その根本的な治療を。無理を押して奴は出撃し続けた。俺たちも止めることが出来なかった…いや、止めなかった…。あいつの強さに…甘えてたんだ…。ある出撃を終えた後、あいつは倒れた。ついに体が壊れたんだ。寿命…と言った方が正しいか。ここのレベル3の医療技術なら、寿命は取り返せる。だが根本的には無理だ。取り返してもすぐ減る。だから奴の出撃を止めさせたんだ。表向きは隊員の問題解決のため…だが本当は…奴の延命のためだ。ここでなるべく治療して、寿命を取り戻す。」
「「「…」」」
アリー「だから俺は散々無理するなって言ってるんだけど…聞かないからさ。それに、延命しか出来ないからもう手遅れかなって。あ、もちろん俺はあの人に長生きしてほしいよ?でもさ~彼がその気がないから…」
「え、その気がないって…」
アリー「彼は生きる事をサボってるのさ。生きる事より彼は戦いを選んだ。いんや、戦いじゃない…復讐を選んだんだ…」
「復讐…ですか」
アリー「君らなら少しは同情出来るでしょ?なにせ彼の過去を知ってるんだから」
「「「…」」」
アリー「顔も包帯で覆いたいくらい人との関係を途絶する。本来、あの人はそういう人だ。ここに来るのだって…あ、そうだ。君ら、大将がここで一人でご飯食べてるの見たことある?」
「え?えーっと…」
「あれ、そう言えば…見たことない気が…」
「んー…でも、大将が居たら自然と人が集まりますし…みんなあの人と話したいので、一人にはしないと思いますが…」
アリー「ふ、“居たら”、か。居たらですって、コターさん」
コター「居たらねえ。あいつは、俺らが無理やり引っ張り出してるんだよ。」
「「「え!?」」」
コター「ほっとくとあいつは自室でカップ麵と缶詰三昧だ。本国で高級料亭とかに連れてっても、なぜ美味いのか分からないっていうくらいだ。味音痴…というより好みがあるんだな。本当に美味いと思うなら、素直に美味いって言うんだがなぁ。脂身が苦手で、特に高級な肉って口のなかでとろけるんだが…それがどうも合わないらしくてな…脂だけ食ってる感じがして気持ちわりぃ、なんて言うくらいだ。」
「あ!分かります!たま~に上官たちが高級食材を仕入れてくれますよね、確かに食べたら美味しいですが、なんか食べてる感が無くて…」
「でもめっちゃ旨い」
「それは言えてる。この世のものとは思えないくらい旨い」
コター「あいつはある程度安くて量が多くて美味いのを好むからなぁ。俗にいう貧乏性だ。だからカップ麺と缶詰を食うんだ。あの司令官室、あいつの自室と隣接してるが、なぜか司令官室まであいつの好物のお菓子と缶詰、カップ麺、飲み物が侵略して来てる。」
「あー…」
「なんじゃそりゃ…」
コター「あいつはほっとく部屋にあるもんを食うからな。独りが好きらしい。だからこうして引っ張り出してるんだ。他の隊員とのコミュニケーションも含めてな。」
「あー…そうなんですか…」
「独りが好きって、意外だな」
「そうだね。話すのが好きだから、てっきりみんなと居るのが好きなのかと」
コター「あーそれか…」
アリー「どうします?この際話しちゃいましょう」
コター「あぁ…」
「え?なんのことですか?」
コター「そうだなぁ、まずはあいつの性格、いや、人格について話そうか」
「はい…」
「…」
「ん?いったい何が…」




