表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貴方様と私の計略  作者: 羽柴玲
出会いそして約束
3/52

辺境伯の苦難(ユミナ視点)

はぁ。どうしたものか。

不調法(ぶちょうほう)な令嬢ときな臭い家の令嬢しかいないのか?



私の名前は、ユミナ・シュトラウス。

我が国の国境に領地を構える、しがない辺境伯である。

現在は、信頼できる兄に一時的に領地運営と防衛を任せ、久々に上京している。

平たく言えば、友人でもある王弟殿下(おうていでんか)に呼び出されたからだ。


何でも、国王が自ら私の婚約者を決めるために動こうとしているらしい。

27歳にもなって、婚約者はおろか恋人すら居ない現状に、危機を感じているらしい。

シュトラウス家としては、兄の息子が居るし、少々難はあるが弟も居る。

後継に困らないのだから、ほっておいて欲しいと思う。

まぁ、王の考えもわからないでもない。

兄は結婚に関して、国と若干揉めているし、弟は決して品行方正ではない。

とは言え、私自身が従順で品行方正かと言われると、そんな事はないのだが。


まぁ、社交のシーズンだし、相手探しも何とかなるだろう。私は、そう軽く考えていた。


が!舞踏会に出席した今、そう考えていた自分を殴り飛ばしたい心境である。



「ごきげんよう。シュトラウス様」


私は、声をかけてきた令嬢を一瞥し、誰であったかを考える。

確か、きな臭い事業に手を出していると噂されている、ベルディナル公爵家の令嬢だ。

後ろに控えているのは、取り巻きだろう。確か、クロムウィル侯爵家の令嬢とメリル伯爵家の令嬢だ。


「御機嫌よう。ベルディナル嬢」


私の返答に、ベルディナル嬢は、にっこりと品の良い笑みを浮かべ、話しかけてくる。


「舞踏会でシュトラウス様をお見かけするのは、久しくありませんでしたから、思わずお声かけしてしまいました。不調法をお許しください。ご領地の方はよろしいのですか?」


いや待て、不調法とか言いながら、会話続ける上に、質問してくるのかよ。

私は、少々げんなりしながら、顔に笑みを貼り付けならが会話を続ける。


「そうですね。土地柄、どうしても領地に籠もりがちになってしまいますので、王弟殿下にたまには舞踏会に出席しろとどやされまして。領地を兄に任せて参加させていただいているのですよ」


令嬢たちは、まぁと声をあげながら、何が面白いのかわからないがころころ笑っている。

私は、内心大きなため息をつきながら、令嬢たちから逃れるため、話を切り上げにかかる。


「申し訳ありません。ベルディナル嬢。久々の社交のため、挨拶をしておく方がまだいらっしゃいますので、失礼させていただきます」


少々失礼にはなるが、私は軽く一礼し、相手の返答を待つ事なくその場を離れる。

そして、失礼にならない程度に会場を見回し、今度こそため息をついた。

舞踏会を社交をなめていた。そうそう、我が家に都合が良い令嬢が居るわけがなかった。


はぁ。どうしたものか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ