侯爵令嬢の心
さて、どうしたものでしょう。
辺境伯様はあれから、3日と明けずに私に会いに来られます。
これは、何が何でも私を取り込む気なのかしら?
「また来ます」
辺境伯様は、そのお言葉の通りに、私のもとに訪れらました。
でも、決して返事を求めて訪れられている感じではないのです。
だって、それについて返答を一切求められないのですもの。
先日だって、他愛のないお話をされて帰られました。
そう!シュトラウス辺境伯様は、3日と開けず私に会いに来てくださるのに、返答を1回も求められていないのです。
最初の申し込みから、既に2週間ほど経っているにも関わらず。
私だって戸惑いますわ。まぁ、お返事できるわけではないのですけれども。
私は、テイラー家の養女。
お祖父様だって、政略結婚もお考えであったと思われるのです。
ですのに、シュトラウス様へのお返事については、一任されてきたのです。
なんでも、受ければそれなりの利点はあるが、断ったとしてもさして問題もないのだとか。
だったら、何故お祖父様は私とシュトラウス様の顔合わせをされたのかしら。
お祖父様は、何を考えてらっしゃるのかしら。
そこまで、考えたところで、私はシュトラウス様のお言葉を思い出しました。
一時的にとシュトラウス様がおっしゃっていたことを。
お祖父様はご存知なのかしら?まぁ、ご存知よね。
こんな荒唐無稽な話を当人同士だけてされるほど、シュトラウス様は馬鹿ではないはずだもの。
というか、辺境を預かる者が馬鹿では、話になりませんものね。
私の気持ちはどうなのかしら。
シュトラウス様には、好感を抱いているわね。
容姿は好みであるし、お話しした限りはとても好青年な印象を受けていますもの。
年も、離れすぎというわけではないですし。
貴族の婚姻は、かなりの年の差があることも多いのだから、悪い条件ではないのよね。
ただ...問題は、私が耐えれるかという話ですわね。
多分ですけれど、私の心はシュトラウス様へ傾いていますわ。
このままいくと、十中八九...好き...になりますわね。
私は、また眠られそうにない。と、ため息を一つつくと、
宵闇が支配する窓辺から空を見上げた。
本当に、どうしたものかしら。