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貴方様と私の計略  作者: 羽柴玲
出会いそして約束
1/52

辺境伯様からの申し出

「私と婚約してくれないだろうか」


彼のその言葉に、私は舞い上がる思いだった。

彼の次の言葉を聞くまでは。


(わたくし)は、ミリュエラ・テイラー。

テイラー侯爵家の養女である。表情筋が死滅しているのか、表情が動かない私は、氷の毒華と呼ばれることもあるけれど、養父である侯爵も侯爵夫人も私を愛してくれている。

だから、別に哀しくも苦しくも寂しくもないわ。

駆け落ち同然で、お家から勘当されていた、両親の死と共に私を引き取り、ここまで育ててくれたのですもの。

感謝の念しかないわよね。


そして、私の目の前に座っている彼。

シュトラウス辺境伯様。お名前は、ユミナさま。

ユミナ・シュトラウスさま。

女性のような名前が少しコンプレックスだと、伺ったことがあります。

眉目秀麗(びもくしゅうれい)で、読み物に出てくるような、麗しの美男子様。

それでいて、辺境の治安を守る為、最前線に身を置いている。

そのためか、線が細く見えるにも関わらず、弱々しい印象を受けない。

うん。結論から言おう。私の好みど真ん中!である。

え?私の趣味なんて知らない?知りませんわ!そんなこと。


「テイラー嬢?」


っと、そんなこと考えている暇はありませんでしたわ。

私は、少し震える手を叱咤しながら、目の前の紅茶を一口口に含む。

それから、歓喜に暴れる心をどうにか、落ち着けると口を開いた。


「シュトラウス辺境伯様。私でよろしいのですか?」


だって、私はテイラー侯爵家の養女。たとえ、侯爵様とは血縁関係であったとしても、養女は養女ですもの。


「そうだね。少しいきなりすぎたかな。」


シュトラウス辺境伯様は、苦笑をされると、少し私の話をしようか。と、ご自身の話をされました。


それは、要約すると


一向に婚約者すらいない、辺境伯に焦った国が王命として、結婚をさせようと水面下で動き出しそうなこと。

辺境伯という役割柄、ヘタなご令嬢と懇意に出来ないこと。

それでいて、あまり好ましくないご令嬢方から、熱心にアピールされて辟易(へきえき)しているということ。


そんな話でしたわ。一部、私が聴いても良いのか悩ましい、冷や汗ものの話しもありましたけれど。


「だから、テイラー嬢。私と婚約してくれないだろうか」


彼は、再度そう言い、そして私の歓喜をどん底に貶める、一言を付け足されました。


「一時的に」


私は、ぽかんとしました。おそらく、表情も若干間抜けなものとなっていたでしょう。

そんな私を辺境伯様は、困ったように見つめ、また来ます。その時にお返事きかせて下さい。そう言って、帰って行かれました。


一人取り残された私は、震える手で、冷め切った紅茶を一口飲むと、先ほどの話を整理していきます。


要は、辺境伯様は、私に虫除けとして、一時的に婚約してくれとおっしゃったわけですわよね?

なんて、冷徹で非道な・・・と、そこまで考えて、少し冷静になる。

いえ。辺境伯様は、なるべく誠実であろうとはされていたのだわ。

辺境伯様にとって、私のような令嬢は取るに足らぬはず。いくらでも、丸め込めたでしょうに。

でも、残酷な方ではあるのかもしれないわ。


さて、どうしましょうか。

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